199話 快進撃
成す術も無く、ただただ滅びを受け入れる運命しかない
魔人王による圧倒的な守備力が付与されていたハズの城門の大破。
仮に
大勢の魔人達が居る城内を、武装した人間の集団が突き進んでいく。
「な、なんなんだよ。コイツ等…」
「攻撃が効かねぇ!」
「どうなってやがる!」
そこへ、すかさずリョウ将軍の強烈な一撃が叩きこまれる。
「死ねぇい!
ズドンと大剣を床に叩きつけ、迫りくる衝撃が数百人の魔人を襲い、身体が千切れ飛ぶ。
「な、なんだよ。あの威力!」
「聞いてねぇぞ!」
「劣等種に仇成す裏切者が!」
「
熾天使ミカエルの放った光の奔流が数百人の魔人達を飲み込み、欠片も残さず消滅する。
「増援はまだ来ないのか!」
「千人長!俺達は一体どうすれば良いんですか!」
「ええい!狼狽えるな貴様ら!我の指揮があればこんな奴ら――」
「
リーダー格の撃破を優先的に狙っていた暗殺者ミコトが、指示を出そうと新たに出現した隊長格の首を即座に刈り取る。
そこへ、武闘派三人衆と恐れられているゴズール、マルルク、ケトルの幹部が遅れてやってきた。
「よくもやってくれたな劣等種如きガァア!
「後悔させてやる。死ねぇ!
「喰らいやがれ!
幹部と認められているだけあって、それに相応しい圧倒的な魔力を放出させながら技を放つ三人だったのだが――
「邪魔だ!どきやがれ!」
先を急ぐシンジが最後まで悠長に技名を聞くハズも無く、魔力を刀に纏わせ横一文字に切り裂いた。
スパンッ!!
「「「はへぇ??」」」
不可避の斬撃が三人だけに留まらず、直線状に居た数千人の魔人ごと通り過ぎた。数瞬後――ブシュウウウ!と、血しぶきを吹かせながら、上半身を失った魔人達が次々と崩れ落ちていく。
「先陣を切る黒騎士様に続けぇ!!我らには勝利の女神が微笑んで下さっている!このまま突き進むぞ!!」
「「「ウオォオオオオオオ!!!」」」
先陣を切るシンジの圧倒的な強さと、次々と死んでいく憎き魔人達。
シンジによる幾重にも及ぶバフの重ね掛けと、最強の装備により、今まで苦戦していた相手をあっさりと倒す事が出来た人間達は、今までに味わった事のない高揚感と一体感に包まれていた。
「コイツ等、こんな強かったか!?」
「いいや!もっと弱かったハズだ!」
「何だよこの装備!?硬すぎんだろ」
「クソ!与えた傷がもう回復しやがった!術者を探せ!」
そうして予想があっさりと覆された分だけ、魔人達は更なる苦戦を強いられ、十万人居た軍勢が短時間であっという間に六万人に減らされていたのだった。
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