198話 襲撃

 読者の皆様へ:毎度毎度更新が遅れて申し訳ありません。”めんどくさいから”とかそう言う理由では無く、単純に仕事で疲れて休日酒を飲んでダラダラと眠ってしまう事が多くなって執筆する時間が無いのです。執筆してた頃(1年前)は大学生だったので時間が取れていたのですが、社会人になると色々と環境が変わってしまい、更新がこのような現状となっています。更新を楽しみに待っていた読者の皆様には申し訳ない気持ちでいっぱいです。もっと早く更新出来る様に頑張っていきたいと思います。



 ★☆★☆


「魔人王様!」


 城が激しい揺れに襲われた直後、幹部が慌てる様に研究室へと一斉に駆け込んだ。


「何事だ!」


 跪く四名の幹部の内、一人が現状報告を始めた。


「報告です!城の周辺に突如人間達が現れました!先ほどの攻撃魔法で正門が突破され、現在人間達の侵入を阻止しています!」


「馬鹿な!?」


 予想外の襲撃に思わず声をあげる魔人王。


(城の正門を破壊しただと!? 僕でさえ破壊するのに苦労するほどの防御魔法を、何重にもかけておいたんだぞ――それを破壊するだと!? 一体誰だ!)


「我が兵士達の被害が甚大で御座います!奴ら今まで見た事も無いような装備で攻めてきました!おまけにこちらの攻撃の殆どが鎧で無効化され、仮に攻撃が通用しても瞬時に傷が回復し、戦線を離脱する気配が全くありません!!」


 すぐさま【生命感知】のスキルを使用し、魔王城全体の把握を努める魔人王。


「なに!?だったら急いで他の所から応援を要請しろ!なに、たったの数百人だ。数の暴力でどうとでもなる!」


(まだ貴重な【回復術士】が数人生き残っていたのか?……前回の最後の砦ラストフォート襲撃で『熾天使』以外は全滅させたと思ってたんだけどなー。討ち漏らしか…今回の襲撃の要はきっと『リョウ将軍』だろうね。幹部は手こずるだろうけど僕の敵じゃないね)


「そ、それが…!」


「なんだ!他にもあるのか!」


 口もごりながら言いにくそうにする配下に催促する魔人王。


「実は――数日前から周辺の砦と連絡が取れていないのです!!」


「なに?周辺と連絡が取れないだと…?何故それをもっと早く報告しなかった。報告を怠らなければ未然に防げた襲撃であったものを!」


「ひっ……な、何度か報告に参ったのですが!!『実験に忙しいから後にしろ』って何度も見送ったじゃないですか!」


 重要な報告をしなかった部下を責め立て強烈な殺気を放つ魔人王であったが、部下の嘆きに自分の行動を数日間改めて振り返ってみると、思い当たる節が何個もあった。


[4日前]


『魔人王様、お忙しい所失礼します。至急報告しなければならない事がありまして、実は――』


『マズいね。内臓に肝臓……うわぁこれは酷い…臓器の移植をした方が良さそうだ…僕ので適合出来るか試してみるか?いや…拒絶反応を起こされたらかなりマズいな。ここは安全を取って奴隷から臓器を奪って移植するとしよう』


『あ、あの…』


『報告は明日にしてくれるかな?それと、奴隷は誰でも良いから健康な奴を一人連れてきて』


『は、はい!』


[3日前]


『魔人王様、お忙しい所失礼します。至急報告しなければならない事が――』


『後にして!今、!繊細な作業をしているのが目に見えないかな!!』


『すみませんでしたぁーー』


[2日前]


『魔人王様、お忙しい所失礼します。実は――』


『おぉ、なんという適合率の高さだ。99.9%も適合するとは!?』


『あ、あの…魔人王様?実は――』


『まだ魔人薬を投与していないというのに、この数値の高さ!半魔人の領域でここまで来るなんて流石だよ!』


『あ…えっと……』


『これなら僕が数百年かけて作ったにも耐えられるかも知れない。劇薬であるが故に投与してしまえば誰もが発狂死してきたが、この適合率の高さならギリギリ生き残っていられるハズだ。あはは、楽しみだ。これに適合出来れば僕を簡単に捻り潰す力が手に入る。いやぁ楽しみだよシズク――ってなに?まだいたの』


『……すみませんでした』


[1日前]


『魔じn――』


『五月蠅いぞ貴様!!毎回毎回、何度も何度もしつこく僕の実験室に来ないでくれるかな!?僕忙しいんだよ分かる!?大体君達ね、なんでも僕に判断を仰がないでくれるかな!少しは自分で考えて行動してくれるかな!!』


『すみませんでしたァア』


 ――”そういえばここ数日間、シズクの実験に夢中で全ての事を後回しにしていた気がするな”と。


「それより。なんで幹部である君たちが此処にいるのかな。まさか――人間ごときにビビッてここまで逃げて来た訳じゃないよね?」


 もし、そうであれば殺すと、魔人王が放つ殺気が物語っていた。


「や、奴らの中に、一人ヤバいのが居たんです。我ら魔人を物ともせず圧倒的な力で次々と虐殺の限りを尽くし――危険視したゴズールとマルルク、それとケトルの三人が向かったのですが、成す術も無くあっさりと瞬殺されました。あ、あの武闘派三人衆が抵抗する間も無くあっさりとられるなんて……十万人もいた我が軍がこの短時間であっという間に六万人まで減らされています……このままでは敗走する輩も出てきます!ど、どうか魔人王様自ら出撃を…」


(なるほど。確かにこれ以上無駄死にが続けば兵士達の士気にも関わる)


「僕がそいつを倒そう。で、そいつの特徴は?」


「黒髪でオッドアイの男性です。リョウ将軍や熾天使たちからは――黒騎士と呼ばれていました!」


「っ!?」


 幹部の報告に――その瞬間、魔人王は驚愕するのだった。

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