191話 雑魚の群れ

 読者の皆様へ:凄いお待たせして申し訳ないです。m(-_-)m ゴメンナサイ


 ★☆★☆


「い、行かせません!」


 4万の軍勢に包囲され、崩落しかけてるこの街を救おうと俺が歩を進めると、目一杯両腕を広げて目の前に立ちはだかるのはユーナだった。


「シンジさんがいくら強くても……この数は…む、無理です…蹂躙されて呆気なく死んでしまいます!だから……行かないで下さい!!」


「俺なら大丈夫だ。すぐに終わる」


 ユーナを安心させようと、作り笑顔で俺は言い聞かせるとーー


 「……嘘です!そうやって魔力を持つ戦闘職の皆さんは特攻して死んでいきました!シンジさんも自身の生命力と魔力を代償に自爆技を使うつもりなんですよね!?街に皆の為に……そんなの嫌です!行かないで下さい…」


 逆効果だったようで、更にその場でポロポロと涙を流し始めた。


 な、何故泣くんだ!?

 それに自爆技って…そんなの俺は知らんぞ。

 そもそも、どうやってやるんだ!?

 魔力を限界まで膨張させればいいのか?

 んなことしたら使用者自身が危ないだろ。最悪大爆発だ。


 ーーってまさか、俺の発言で特攻してくるとユーナに勘違いさせてしまったのだろうか?


「い、いや、俺は特攻なんかしなー」


「ーー聞きたくないです!」


 うーん困ったな。全然話を聞き入れてくれないぞ。


 それにチンタラしている余裕はもう無い。街を守護していた結界ももうすぐ壊れるしな。正確にはあと20秒程だが。


 そこで悩んだ末に俺が出した答えはーー


「…悪いな。リョウ、街の人達をちゃんと守るんだぞ」


「シンジさん!シンジさん!」


 無理矢理押し通り、ユーナをリョウに預ける事だった。


 間も無くして後ろからユーナの悲惨な声が響くのだった。




 ★☆★☆


「いやー。多いな」


 城壁の上から下を見下ろせば、そこにはウジャウジャとウジ虫の如く魔人共がわんさか湧いていた。


『な、1人だけダト?』


『腰抜け共が!』


『所詮は下等生物ネ』


 俺の姿に気付いたのか、統率の取れていない魔人共がざわつき始めた。


「街に入りたきゃ俺を倒してからにするんだな」


 そうして解除されそうな結界をすかさず自前の魔力で侵食させ、前の強度とは比べ物にならない程に強化してやると魔人共がざわつき始めた。


『な、なんだあの濃密な魔力ハ?』


『ざっと見積もっても30倍程に…』


『強化されているダト?』


「なんだ?この程度の事で怖気づいたのか?所詮は雑魚の集まりだな」


 嘲笑うかのように城壁から周りを一斉に見下ろすと、額に青筋を浮かべた魔人共が俺目掛けて魔法を一斉に飛ばしてきた。どうやら直ぐにキレたようだ。


 ドボォーーン


 次々と魔法の嵐が飛んでくるが、一切痛みを受けることは無かった。やはり同格でないと【魔力攻撃無効】を突破する事は出来ないようだな。


 俺目掛けて数千、数万の魔法が次々と飛んでくる。

 放った魔法の軌道が逸れて何度も結界に当たるも、一切傷つくこともない。


『や、やったか?』


『死んだな』


『ざまぁ』


 数十分にも及ぶ魔法の大量放出。

 霧が徐々に晴れていくとチラホラとそんな声が下から聞こえ始めた。


 感情に任せた攻撃。無駄に高いプライド。煽れば直ぐに我を忘れて攻撃してくる愚直さ。耐性の無さ。話している間に魔力を練っている事にも気づかない観察力。群れれば最強だと驕る精神さ。直ぐに動揺するその表情。

 

「…やはり雑魚は雑魚だな」


『『『っな!?』』』


 煙を吹き飛ばしフラグを回収してやると、”ありえない”とでも言いたげな表情で魔人共があんぐりと口を開きこちらを見てきた。


「今度はこっちの番だな」


 魔力を練り上げ、俺は大群殲滅魔法を発動させるのだった。


「【重力魔法】ーー強制混合アブソリュート・ステア

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