190話 敵襲

 読者の皆様へ:三月末まで馬鹿みたいに仕事が忙しくて投稿出来ませんでした。申し訳ないです。



 ★☆★☆


「っ…!?」


「シンジさん、大丈夫ですか!?」


 突然脳内に入り込んでくる膨大な量の情報を前に、俺は視界がぐらつき一瞬倒れそうになるがーー異変を察知したユーナにすぐさま支えられ、何とか踏みとどまる事に成功した。


「わ、悪い、一瞬眩暈がしただけだ」


「…なら良かったです」


 そう言うと、ユーナはホッとした表情を浮かべた。


 それにしても…

 今のは一体何だったのだろうか…


 あの3人に続いて、またもや【信仰力】なるモノを大量にゲットしてしまったぞ。俺が強制進化した際に手に入れた謎の能力【信仰力変換】と何か関係があるのだろうか?


 ……いや、名前からして関係あるのだろうな。今まで何度も試してきたが一度も発動しなかった能力でもあるし。変換に必要な【信仰力】とやらが足りずに発動しなかったとなれば辻褄が合う。


 どんな能力なのか、どんな影響を及ぼすのか、全く不明だしーー全員が寝静まった時に一応確認してみるか。


 ーーと0.1の間に俺は思考加速させた脳内で考えを纏める。


「体調が悪いなら我慢しないで言ってくださいね。あとは私がやりますから!!」


「ありがとう。ユーナは優しいんだな」


「そっ、そんな事無いですよ///」


 笑顔で思った事をそのまま告げると、ユーナは急激に顔を赤らめ始めた。

 …もしかして褒められる事に慣れていないのだろうか?


「ハハハ。ユーナも年相応と言うべきか、随分と可愛らしい所があるんだな」


「か、可愛い!? も、もうっ、揶揄からかわないで下さい///」


 指摘されて恥ずかしいのだろうか?今度は耳まで赤くなり始めた。


「あんちゃん。人の色恋にとやかく言うつもりも無いし、食材の提供してくれたのには感謝してるんだがよー。イチャついてないでそろそろシチューよそってくれよー」


 ん?色恋?

 このオッサンは一体何を言っているのだろうか?


「え? あー悪い」


 適当に返事をし、おかわりで行列の出来ている住民達を前に、すぐさま給仕を再開させようとしたその時ーー


「ま、マズいぞ!!」


 ドオォォォン


 高台で警備をしていた男性の叫び声に続いて、外壁の各方角で大爆発が起こった。


「け、結界が!?」


「ま、マズい。魔人共が攻め込んで来るぞ!!」


 続けて、外壁上で大爆発に巻き込まれなかった見張りが外の様子を伺うと、絶望した表情を浮かべた。


「敵の数は!」


「て、敵の数は……です」


「聞こえん! ハッキリと言わんかぁ!」


「ーーおよそ4万です!!」


「なにィィィ!?」


 リョウがそう問いかけると、見張りはヤケクソ気味に返事を返した。


「戦闘員は武具を身に着けてこい! 非戦闘員は教会へ今すぐ避難だ!!」


 瞬時に指示を出し、次々と住民に命令を下すリョウ。その風貌はさながら将軍のようであった。


「ま、マズいぞ。4万は無理だ。この間の襲撃でワシ等以外の主要メンバー全員戦死したし…」


「ど、どうしましょう。ーー確認だけど、ミコトの指揮官暗殺でどうにかならないかしら」


「む、むむむ無理よ。桁が違い過ぎるわ! 私達が幾ら頑張った所で道連れに出来るのは精々6千人程度よ!」


 緊急の事態に、3人は苦虫を嚙み潰したよう表情になり始める。


 何故そこまで焦るんだ? 雑魚が群れた所で所詮雑魚だろうに。


 ーー【気配感知】と【魔力感知】を駆使して周囲を調べた結果。


「四万三千六百二十三体か…」


「な、なんですと!? 詳細に分かるのですか?」


 俺の呟きにリョウが反応を示した。


「特攻しても三万五千前後…」


「何とか逃がす方法だけでも……負ければ皆が奴隷に…」


 更に深刻な表情をする三人。

 あれだけ勝手に崇めておいて、何故助けを求めないのだろうか?


「俺が行く。お前らは住人でも守ってろ」


「な!?」


「い、いくら何でも無茶ですぞ!」


「そ、そうですよ!このバカの言う通りですよ!」


「大群相手に、俺以外に適任がいると思っているのか? ん? 仮にお前ら3人をここで戦死させたとしよう。必然的に強い俺が此処の住人の面倒を見ないといけなくなるでは無いか。観光気分で来たこっちに来たのに、重責を押し付けられて面倒を見るハメになるのだけは御免だぞ」


 止めてくる3人を前に、俺がそう告げると誰も何も言えなくなる。


 崩れそうな外壁に向けて歩を進めるとーー今にも泣きそうな表情をしたユーナが俺の前に立ちはだかった。


「い、行かせません!」

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