189話 創造魔法

「いつまで続くんだ?もう勘弁してくれ…」


【信仰力】と言う謎の力?を獲得した後も、”おぉ神よ~”と3人に俺はその場でずっと崇められていた。


 止めようにも聞き入られず、いくら誤解を解こうにも、全て良いように解釈され美化されていく。3人の中の俺の人物像は、もはや原形を留めているのかすら危うい。


 いつまで続くんだ?とうんざりしたそんな時だ。

 ハッとなって何かに気付いたのはミカエルだった。


「いけません、早く炊き出しの準備をしなくては!」


「私も手伝うよ、ミカエル」


「ワシも!」


 ミコトに続いてリョウも名乗り出るが、すかさず止められる。


「やせ我慢なのは見え見えです!怪我人は寝てなさい!!」


「あんた興奮して痛みを忘れてるみたいだけど、結構重症なんだからね!」

 

「ぐは!???????」


 ミコトが負傷した箇所を軽く触れると、リョウは床にのたうち回り悶絶し始めた。


 余程重要な事なのか、ミカエルは2人を待たず客室を飛び出して行ってしまう。


 そう言えば忘れてたがコイツ怪我人だったな。至る所に包帯をぐるぐる巻きにしてるが、元気に動いていたからテッキリ平気なのかと…


 全身鎧のせいで表情が全く読めなかったが、やはりやせ我慢を…

 いや、アドレナリンの大量分泌による鎮痛作用で本当に忘れていただけなのか。


 面倒くさい奴だが、悪い奴では無いしな。助けてやるか。


【神聖魔法】で瞬時に完全回復させるのと同時に、俺は床に蹲っていたリョウを叩き起こす。


「俺も滞在してる身だしな、何か手伝うぞ。ほら立てリョウ」


「ぐは!??????急に傷口を叩かないで下さーー?」


 事前に来る痛みに耐えようとしていたのだろう。リョウはその場で野太い声を出し、蹲ろうとするも肝心の痛みが中々やってこない。


 それどころか”むしろ、全身の痛みが消えた気がする”と言った表情を見せてくる。不思議に思ったのだろう。リョウが全て包帯を捲るとー


「あれ?……治ってる?」


 素っ頓狂な声を上げながらこちらを見つめ返してきた。


「あまりにも辛そうだったから治してやった。ほら、さっさとミカエルの手伝いに行くぞ」


「は、はい!」


「うそ!?あの重症だったリョウを一瞬で完治!?【神聖魔法】が得意なミカエルでさえ重症者を完治させるのに数十分掛かるというのに…」


 と、唖然とするミコト。


「ミコト?」


「こ、こっちです」


 先行するミコトに俺とリョウはついていくのだった。




 ★☆★☆


「うめぇ!?なんだコレ!?」


「生きててよかった…」


「なんか今日の炊き出し豪華すぎやしないか!?」


 最後の砦ラストフォート中央広場にて。炊き出しを行っていると言うので手伝いに来て見れば、お粗末な野菜の入った微妙なスープに、釘でも打てるのでは?と思うほどカチコチな黒パンに、しょっぱすぎる程の干し肉が数枚あるだけの質素な食事が準備されていた。


 ミカエルに聞けば、繰り返される襲撃で野菜が返り血を浴びて次々と枯れ、同時に不作が続いているせいか日に日に収穫量が少なくなっている。そんな状況が長く続いている為、食事が質素になって行ってるとの事だった。


 そこで、不憫に思い【創造魔法】で野菜や調味料を次々と生み出すと、涙を流しながら炊き出しの人達に感謝された。


 そうして次々と投入され出来たのが、クリームシチューと焼きたてのパンだった。


「これがシチューってやつなんか!」


「なんだこのパン!?やわらけぇ~」


「肉も最高だな!」


 幸せそうに頬張っていく住人達。


「さっきぶりですねシンジさん。無事で良かったです!」


「さっきぶりだな。ユーナは食べないのか?」


「私はあとでで大丈夫です!それに…」


「それに?」


 給仕同士だったユーナと他愛もない会話していると、言いづらい事なのか急にモジモジとし始めた。


 一体何なのだろうか?


「おかわり!」


「俺もだ!」


 余程飢えていたのだろう。ガツガツと早食いをすると、給仕している俺やユーナ、ミカエルとミコトに殺到する者が大勢現れた。


「おい、順番守れよな」


「うるせー。早いもん勝ちだー」


「ちゃんと皆がおかわり出来る分残ってますから~ 順番守ってください~」


 と、ミカエル。


 そんな中、突然リョウが注目を集める行動に出た。


「注目!! この野菜やパンを提供してくださったのは、全てシンジ様だ!! 心から感謝するように!!」


「「「有り難う御座います!!」」」


 大勢に感謝されるのは初めてだな。うん、案外悪くないもんだ。


「……そ、それに給仕すればシンジさんと二人っきりになれますし///」


「っ!?…わ、悪い……なんか言ったか?」


 、あの時とは比べ物にならない程の量が俺の脳内を埋め尽くしたのだった。


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