179話 ラストフォート

 読者の皆様へ: 更新が遅くなって申し訳ないです。PayPay詐欺にあって暫く萎えてました。皆さんも気を付けて下さい。



 ★☆★☆


「聞いたこと無い?」


「ここへ来たのは初めてでな。正直疎いんだ。途中で仲間ともはぐれてしまってな」


 ユーナに物珍しそうに見つめられ、俺は正直に話した。


 知ってかぶっても直ぐに嘘だとバレるだろうからな。


「へー。まだ外に生き残りが居たんだ。ちょっと驚いたかも」


 物珍しそうにまじまじとユーナに見られる。


最後の砦ラストフォートはね、全人類が魔人達の支配から逃れるために建てた最後の砦なんだよ。国が次々と滅びていく中、大昔にいたヒーロー?って呼ばれる人たちが集まって砦が出来たんだって!その人達の血をみんな受け継いでいるから、皆『スキル』が使えるんだよ。それにね、こっちの味方をしてくれる一部の魔人さん達もいるから、今まで何とか生きてこられたんだ!」


「そ、そうなのか」


 ユーナの説明を受けて俺は内心で動揺していた。


 一体どういう事なんだ!?俺達以外にも魔人がいたのか?


 いや、いるハズが無い。少なくとも俺達が人間界に居た頃は。


 300年留守にしている間に、地球は随分と変わってしまったようだな。


「でもね....この間魔人達が一斉に攻めてきてね。何とか退くことが出来たんだけど、多くの人達が怪我を負っちゃったの。だからこの森に来て薬草採取に来たんだけど....」


「魔人共に見つかって襲われちゃったと?」


「うん、皆の怪我を直すには薬草が必要なの!少しでも『熾天使』様の負担を減らしたかったから!」


「それで死んだら元も子も無いだろ」


「うっ....」


 図星を突かれて言い返せないのか俯くユーナ。


「お願い!シンジさんは【神聖魔法】が使えるんだよね?どうか力を貸してくれませんか?魔力があまり残ってないのなら薬草の運搬だけでも良いです!お願いします!!」


 それほどまでに切羽詰まっているのか、ユーナは必死に懇願してきた。


「私が差し出せるものは無いけど....身体を好きにしても良いから!!」


「んな!?」


 顔を赤らめてユーナはそう言い切ると、潤んだ瞳でこちらを見つめてきた。


 おい、何を言ってるんだこのマセガキは!!俺はユーナの発言に驚いてしまう。


「子供が大人に身体を差し出すようなことはするな」


「痛ッ。で、でも!」


「無償で手伝ってやるから」


「ほ、本当に!?」


 デコピンをしてそう言うと、ユーナはホッとしたような笑顔を見せた。




 ★☆★☆


 薬草の採取を終え、俺はユーナの隣を歩く。


「アレが最後の砦ラストフォートだよ」


「おぉ....」


 その視線の先には、大きな壁に囲まれた町があったのだった。

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