168話 修羅場の前兆

 読者の皆様へ:最近更新時間が遅くて申し訳ないです。


 ★☆★☆


 むにゅん むにゅん


「....ん?」


 気が付くと、腕に2つの柔らかい感触があった。


 それは、いつまでも触っていたいと感じるほどで、万物を優しく包み込む柔らかさを持っていた。


 むにゅ むにゅ


「ん?なんだこれ。柔らかい」


 こんなにゆっくりと眠れたのは、いつぶりだろうか?嫁達と同居する以前か?


 それに、片腕が動かしずらいぞ。なんでだ?


 疑問に感じながらも、片手で目を擦って目を覚ますとー


「おはよう、おにぃ」


 横から声を掛けられた。


「.....っな!」


 その瞬間、惰眠を貪りたいと感じていた俺の意識が覚醒する。


 そこには、裸ワイシャツとなっている雫がいたのだ。


 続けて笑顔を浮かべ、嬉しそうに抱き着いてくる。


 むにゅう~


 なんだこの感触は!?


 胸を押し付けられ、直に感じる感触に俺は戸惑った。


 おかしいと感じ、服を見ればー


「って、なんで俺上裸なんだ!?」


 いつの間にか脱がされていることに気が付いた。


「まさか.....脱がせたのかシズク!?」


「てへ」


 問い詰めると、雫はあっさりと白状した。


 その瞬間、俺は雫と一緒に寝た事を後悔するのだった。




 ★☆★☆


「年の離れた妹は、何をしでかすか分からんな。ついでに俺のワイシャツを着るし」


 家の帰り道で、思わずそう呟く。


 あれから、服を着たあと俺は家に帰る事にした。


 昨日以上に、距離の近い妹に戸惑ったからだ。


 なんで恋人みたいに甘えてくるんだ!?


 昨日は直ぐに眠ったから何もしてないよな?


 そもそも実妹を相手に、何かをする気もないが!


『今度遊びに行っても良いよね?』


 帰り際に、そう雫に駄々をこねられた。


 今まで兄らしい事を1つもしてやれなかったんだ。このくらいは良いだろう。


 それに、流石に嫁達の居る前では、自重をするだろうからな。


 そんな期待もあって俺は承諾する事にしたのだ。


 ピロン ピロン ピロン ピロン ピロン


「やべっ。早く戻らないと」


 さっきから嫁達のメールが大量に届いてくる。


 内容は、『早く帰って来て!』や『どこに居るの?』といった要件が多い。


 何故そんなに送って来るのだろうか?


 疑問に思いながらも、俺は急いで帰るのだった。




 ★☆★☆


「おにぃ、帰っちゃったな」


 部屋で1人、雫は寂しそうにそう呟く。


「でも、取ったからいいかな?ついでに


 雫は狂歌達に送った写真をみて、ニヤニヤと歪んだ笑みを浮かべた。


「おにぃは私のモノなんだから」


 ハイライトの消えた瞳でうっとりとした表情を見せる雫。そこにはー


 手で顔を隠し、上裸で眠っているシンジに、裸で抱き着く雫が映っていたのだった。

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