169話 超絶ピンチ

「....コレ.....どういうことかしら?....」


「浮気....なのかな?....」


「I can't believe you cheated on me!(浮気なんて信じられない!)」


「■#cお*◇㿗eス4●鈷ゲ拿!!」


 俺は今、人生で一番のピンチを迎えていた。


 家に帰った瞬間、怒気を含んだ嫁達に問い詰められ、有無を言わさず強制的に正座をさせられたのだ。


 狂歌は笑顔を浮かべているが目が全く笑っていない。


 美香は衝撃を受けたかのような顔を浮かべ、サラは思わず英語で問い詰めるほど戸惑っていた。


 エレナに至ってはもう何を言っているのかすら分からない。何語なんだ?


 ていうか一体どういう状況なんだ!?俺何かしたか?


 この状況についていけず、俺は頭の中が混乱する。


 それに浮気!?する訳ないだろ。何を馬鹿な事を言ってるんだ!


「な、なあ?一体どういう状況なんd-」


 どういうことなのかと、事情を聞こうにもチラッと目を上に向ければ、変身した姿の4人。よくは分からないが、何かマズいと本能で感じた。


「まだ惚けるつもりかしら。あなた?」


 正座している俺の前に座り込み、ニッコリと笑う狂歌。


「その首の痕はなんなのかしらねー?見間違いじゃ無ければ、キスマークだと思うのだけれど」


「へ?キスマーク?何を馬鹿な事を...」


 手鏡を渡され、指摘された部分をみれば、薄いピンクの痕があった。


 つまりこれは.....紛れもない.....キスマークだ.....


「な、何故!?」


 そのまさかの事実に俺は衝撃を受ける。


「それに、その服からベーッタリとついたー」


「女の匂いがするんですよね?」


 左右から美香とサラが現れ、ガッチリと両腕をホールドされる。


 嗅覚の優れた2人の意見なら、間違いようもない事実だ。


 女ってまさか....雫の事を言っているのか!?


 マズいぞ。早く弁明しなければ!


「ち、違うんだ!これは雫がー」


 その一言で、狂歌の笑顔が更に深まる。


「あらあら?まだ言い逃れする気なのかしら?確かに雫ちゃんからは、私と同じような雰囲気を感じるのだけれども、流石に実妹は無理があるんじゃない?」


 悪役のような悪い笑顔を浮かべ、更に詰め寄る狂歌。


「いい加減認めたらどうなの?これを見てもまだそんな事が言える?」


 狂歌はそういうと、俺の前にスマホを突き付け、決定的な証拠を見せてきた。


「んな!?」


 そこには眠っている俺に、裸の女性が抱き着いているツーショット写真があった。手で顔を隠してあるが、誰かは分からない。


 だが、その髪色と昨日の状況からして、俺は雫が犯人だと理解した。


 さっきから浮気したと疑わているのも、そしてこんな状況になっているのも、全部アイツのせいか!


 どういう目的なのかは知らないがやられた!悪戯にしては度が過ぎてるぞ!


 どうすれば良いんだ!どうやったらこの誤解を解いてくれるんだ!


 頭の中で、その考えが何度も渦巻く。


「私はマスターを信じるよ」


「エレナ....」


 悩んでたその時、英玲奈エレナは俺の味方をするのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る