157話 喜ぶ研究者

 読者様へ:最近タイトル変更しようかと悩んでいます。『魔人薬の適合者~捕食能力で成り上がる』か『黒騎士の叛逆記』だったらどっちが良いと思いますか?(センスが無くて泣けてきます。変えない方が良いですかね?誰か意見下さい【泣】)


 ★☆★☆


 とある研究室で、1人の研究者が呟いた。


「せ、成功したのか?」


 まるで、これは現実なのか?とでも言うように。


 その手には数本の試験管があり、中には赤い液体が入っている。


「ようやく培養に成功したぞ!これで好きなだけ血液を増やす事が出来る。ようやく実験段階に移る事が出来る!!」


 彼はようやく現実を受け入れると、両手を大きく掲げ喜んだ。


「これは、全人類が進化する為の第一歩だ!!2年半かかったが、諦めずに研究して良かった」


 研究者は目から涙を流し、努力した甲斐があったと実感する。


「まずは、実験用のモルモットから行こうかな?どんな反応を起こすのだろう?楽しみだ」


 これからの事を考えると、研究者は嬉しそうにブツブツと1人で語り始めた。


「魔物の血液をモルモットに輸血した場合、その拒絶反応を起こして全身の穴という穴から血液を噴き出して死んだ。それは人間も同じだ」


適応して見せる者も居たが、知能の低下による自我の消失で、ただの怪物に成り下がる者が殆どだった。新人類を作り出すという名目が、人工の魔物を作り出すという結果になってしまったのだ」


「だが、黒騎士殿の血液はどうだろうか?」


 誰かに言い聞かせるように、研究者は語る。


「人と魔物を超越し、魔人と呼ばれる新人類である彼ならば、きっと違う結果になるはずだ。なぜならば、彼の中には抗体があったのだから。それも、。恐らく、他の仲間もそうなのだろう」


「その”抗体”が先天性によるモノなのか、後天性によるモノなのかは分からない。だが、適応して見せたのは事実だ。何処かの研究所の実験体かと思って調べたが、何処にも資料が無かった。恐らくは、ただ一般人だ。そして、偶然摂取したのだろう。魔物の血を。そして、身体を作り変えられていく痛みに耐えぬき、適応して見せた!」


「実に素晴らしイイィィィィ!!」


 荒い息を繰り返しながら、ハァハァと呼吸を繰り返す。


「黒騎士殿は未だに見つからぬが、もうその必要無いだろう。さぁ、実験開始だ!」


 研究者は、恍惚とした表情で試験管を見つめると、実験を開始するのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る