109話 どっち?

読者様へ:更新遅れてすみません。


★☆★☆


パーティは順調に進んでいた。


初めはぎこちなかった会話も、時間が経つにつれて消えていく。


俺の左側の席には狂歌が、右側の席には美香が座っている。


その向かい側に、父さんと母さんが仲良く座っているのが現状だ。


「へー。お二人は大学時代に出会ったんですね。」


「そうなのよ。グレンったら隙あらば口説いてきたのよ?」


美香の言葉に母は反応すると、嬉しそうに両頬に手を置いて、まんざらでもなさそうに話していた。


「それだけ時雨しぐれが魅力的だったのさ。正直に言うと一目惚れだったんだよ。」


爽やかなスマイルを浮かべる父。正直、笑顔が眩しい。


そう思っているとー


「まぁ、今でも物凄く魅力的なんだけどね。」


「もう!あなたったら♡」


突然両親が目の前でイチャつき始めた。


父の決め台詞に母は赤面し、嬉しそうにしている。


(口から砂糖が出そう。)


なんてその場で思っていると


「あ!」


突然声を上げ、何かを思い出したかのような表情を浮かべる母。


「どうしたんだい?」


そう言って父は下から覗き込み、母に声をかけるとー


「あなた。私出来たの。」


母は、嬉しそうに父にそう言った。


「へ?なにが。主語を言ってくれないと分かr-」


しかし、意味が通じなかったのか父が聞き返そうとすると


「子供が出来たのよ!」


母は父の目を見てハッキリと答えた。


「ほ、本当かい!?」


するとそれに驚いたのか、思わず前のめりになって聞き返す父。


「本当よ。」


「ち、ちなみにどっちなんだい?」


肯定する母に、性別はどっちだと父が聞くと


「女の子よ。ついに娘が出来るの!」


そういうと両親は抱き合い、目に涙を浮かべて喜びあっていた。


長年もう1人の子供を欲していた両親だ。


毎晩夜の営みをしているが、中々子供が出来ずに困っていると父に聞いたことがある。知りたくは無かったが・・・


まさか十代後半で妹が出来るとは思わなかった。


その後、パーティが終わるまで妹の名前について、皆で考えることになったのだった。




★☆★☆


「今日はお邪魔しました。」


「お邪魔しました。」


夜10時になる頃、パーティはお開きとなった。


「いいのよ。また今度いらっしゃい。」


「いつでも大歓迎だ。ハハハ」


現在、玄関で美香と狂歌が見送られる形となっていた。


「また来ますね。


「あ、ああ。」


笑顔を浮かべる狂歌に、苦笑いを浮かべて返事をする父。よく見れば額から汗が滲んでいた。


自分に好意を抱いてない人物であっても、ヤンデレはどうやら未だに苦手なようだ。


昔つきまとわれて死にかけた経験があるから仕方が無いだろう。


父はヤンデレ恐怖症なのだ。まぁ女遊びしてた父が一番悪いのだが・・・


「送っていくよ。」


俺は2人を家まで送っていくことにしたのだった。

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