103話 確認
読者様へ:更新遅れてすみません。資格の勉強が少し落ち着いたので投稿します。
★☆★☆
「と言う訳で、まずは作戦会議だ。」
現在リビングで席につき、作戦会議を始めることにした。
母さんは、飲み物を全員分出してから、さり気なく席につく。
どうやら気になるようだ。
さっきから少しワクワクしたような表情を見せいている。
「まず今日は、あの触手野郎が来る日だ。」
「「うんうん。」」
淡々と口にすると、狂歌と美香がウンウンと頷いてくる。
流石に変身のきっかけとなった事件であり、原点だ。忘れるわけが無かった。
「しょくしゅ?」
目を上向きにし、どんな魔物だろうかと頬に手を当てながら
さり気なく作戦会議に参加している母だけが、疑問符を浮かべていた。
「正直相手がいつ来るかは分からん。あの時、俺達は学校にいたからな。」
過去の出来事を思い出しながら、話していく。
「そうだったよね。帰ったら家族が惨殺死体になってたから、うち吃驚したよ。流石にあれはショックだったな。現実受け止められなくて、暫くうち寝込んでいたよ。」
「そう。私は別にそこまで落ち込んでなかったわ。あの人を家族だと一度も思った事ないもの。」
共感しながら話しかけてくる美香に、淡々と答える狂歌。
自分の父親をあの人と言うあたり、狂歌にとって父親はどうでもいい存在なのだろう。これが幼少期から親に愛情を注がれなかった狂歌の本音。
さっきから、死んでくれた方がむしろ清々するといった気配を感じる。
「狂歌ちゃん(ボソッ)」
急な暗い話に黙り込む母。思わず小さな声でボソッと呟いていた。
「と言う訳で、今日は各自家に戻り、触手野郎が現れ次第すぐさま殲滅する。これが作戦だ。」
「なるほどね。三人でバラけて自分の家族と、それぞれの地点を守護すれば良いのね。」
すぐさま作戦の意図を理解する狂歌。
「そうだ。俺たちの家はある程度、距離があるからな。離れていた方が直ぐに対応できるだろう。無駄な被害を出す必要はない。それにー」
「それに?」
反復し、疑問符を浮かべる美香。
「俺が過去に戻っている時点で、既に行動が書き換えられている。前回は夕方に辺りに出現していたが、今回も同じだとは限らないからな。」
「そうだと思っていたわ。」
既にある程度予想していた狂歌。やはりねと言った様子で返事をする。
「な、なるほど。」
「へぇ。そうなの。」
美香と母は、説明されてようやく理解出来たのか、呆けた様子を見せながらも頷いていた。
「あっ。そう言えばサラちゃんどうするの?」
「触手野郎を殺したらすぐに日本に呼ぶ。今はまだいい。」
仲間が1人足りないことに気が付いたのか、今更ながらに質問をしてきた美香だったが、サラの蘇生はこの件を片付けてからすることにした。
「そうだ。2人とも変身してみてくれないか?一応変身出来るか、確認する必要がある。」
「へ、変身?」
母は何を言っているの?とでも言いたげな様子でこちらを見つめてくる。
「いいわよ。」
「うちも良いよ。」
承諾した瞬間、すぐさま変身する2人。
そこには、鋭い牙の生えた狂歌と、猫耳に2本の尻尾が生えた美香が現れた。
「うん。しっかり融合出来ているようだな。」
「うそ?ナニコレ。」
急な変身に母が驚き、思わず大きな声を上げてしまう。凄く興味津々な様子で見ていた。
融合の影響で変身出来ない場合、どうしようかと思っていたが問題は無いようだ。
現に、血液魔法で全身鎧を纏い始める狂歌と、全身に闇魔法を纏いシルエットと化した美香がいる。
魔法を平然とした顔で操っている辺り、大丈夫なようだな。
一応自分も変身をして鏡の前で、全身姿を確認する。
「シンジまで?うそ!」
さっきから母が、これは現実なのかと口をパクパクさせながら、驚愕している様子を見せいている。
あれ?変身できるって言ってなかったけ?
(それにしても反応の仕方が、金魚みたいだな。)
思わずそう思ってしまった。
鏡にうつっていたのは、竜を彷彿とさせるような全身鎧の騎士ではなく
そこには、狼のようなデザインの全身鎧を纏った自分がうつっていた。
頭部の鎧の隙間から、2つの異なる瞳が覗く。魔力を込めれば両目が光り、爬虫類のように、瞳が縦長に変化する。
「うん。やっぱり進化の影響で、色々変化していたんだな(ボソッ)」
今更ながらの発見に、思わず小さな声で呟いてしまう。自分の容姿の変化に気が付かなかったから。それほどまでに、余裕が無かった事に気が付いたから。
「あら?鎧のデザイン変化したのね。」
「本当だ。凄くカッコいい。」
確認が終わった2人に声をかけられる。
他に変化したところを探すが、特に変化は見当たらない。
もう無いのだろう。すぐにその場で変身を解いた。
「全員元に戻った....」
目を擦り、再確認する母。幻覚でないと確認したようだ。
「全員問題ないみたいだな。」
「ええ。」
「無かったよ。」
返事が聞けたところで、それぞれの家を起点に守護してもらう事にした。
「と言う訳で移動開始!と言いたいところだが。美香の服装どうするか。」
もう一度服装を確認するが、裸ワイシャツのままの姿となっている。
どうしようかとその場で思っていると
「じゃあ美香ちゃん私の服を貸してあげる。多分サイズ合うと思うから。」
母さんが美香に声をかけ、そのままの勢いで、部屋に連れ去ってしまったのだった。
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