102話 変化
読者様へ:更新遅れてすみません。夏は資格の勉強もあるので、更新が遅くなり、不定期になります。書くのが面倒とかそういう訳ではありませんので。よろしくお願いします。
★☆★☆
「お待たせシンジ君。」
リビングに、裸ワイシャツで登場してきた美香。
あれ?おかしいな。そういう意味で渡した訳じゃないのに・・・
(しかも下着すら付けていないとはな。目のやり場に困るな。)
内心そう思っていると
「み、美香ちゃんなの?」
戸惑いの表情を見せる母。流石にビフォアからアフターへの変化が凄かったせいで、同一人物に見えなかったのだろう。
「そうです。お義母さん。」
「う、うそ....」
笑顔で挨拶をする美香。更に雰囲気まで変化をすれば、戸惑うのは無理はないだろう。
未だに信じられない様子で、母は呆然と立っていた。
「美香あなた目の色変わってるわね。」
「え?そうなの。」
狂歌からの指摘に驚愕した美香。
急いで鏡越しに確認すると、黒い瞳から深紅の瞳へと変化していた事に気が付いた。
「本当だ。でもー」
通常変身する時にしか目が変化しなかったが、常時赤くなっているという事は、融合の影響でそうなってしまったという事だろう。
「狂歌ちゃんも目の色変わってるよね?」
「へ?」
やはり自覚が無かったか。急いで確認する狂歌。案の定、瞳が青く変化していた。
2人ともそれ以外は、特に変化はない。
まぁ眼だけ変化したという事だ。気にするほどの事でもないだろう。
「そろそろ良いか?今日の予定について話し合うぞ。」
そろそろ本題に入ってもらう為、手を叩きこちらに注目してもらう事にした。
「予定?」
「どういう事?」
鏡で眼を確認していた2人は、振り返りながら疑問を投げかけてきた。
「まさか俺が2人とサラを生き返らせる為だけに、わざわざ過去に帰ったと思うのか。今日は何日だ?」
「まさか!?」
「もしかして!?」
やっと気が付いたようだ。まぁ言ってなかったこっちが悪いのだが。
「未来で最悪な日となった、今日この日を俺たちの手で書き換えるぞ!」
俺達は、今日の予定について話し合うのだった。
★☆★☆
???視点
魔王城の一室の前で、それはブツブツと一人で何かを喋っていた。
「Gugigi」
マズいことになった。
「Gigaga」
6人の幹部が王を裏切ろうとしている。なんてことだ。あの王に刃向かうだなんて。
「Gegege」
ここにいるのはマズい。どこかに逃げなければ。
「Ga?」
どこかにいい場所は無いか?安全で敵の少ない場所は。
「Ga!」
あった!そう言えばあったぞ。安全な場所が。
噂でしか聞いたことが無かったが、貧弱な生物しか生息していないと言われる人間界。
あそこにいけば・・・
「Gihihi」
行くにはリスクがあるみたいだが、そんなの言ってられる場合じゃない。
ここはもうすぐ戦場になる。それに、もうすぐ上級に進化出来そうなんだ。
ここで死んでたまるか。絶対に上級に進化していずれは幹部級に進化するんだ。
コンコン
ドアを触手で叩く。ここの部屋の主は、ノックをせずに勝手に入ると怒るからだ。この間半殺しにされて学習した。
「入れ。」
中から冷たい返事が聞こえる。半殺しにされた時を思い出し、思わず身体が震えてしまった。
扉を開け、慎重に中に入る。現在危険な代物を持っているからだ。
『魔水の泉』から掬い取った『魔水』の入った容器を、慎重に運び入れる。
身体に少しかかっただけで即死するレベルの代物だからだ。
触手を持っているせいで、魔水の補充の役割をいつもやらせられる。
すぐに斬り捨てれば、問題は無いからだ。
長年やっているせいで、自慢の赤い触手に、黒い斑模様が出来てしまった。
他の魔物からは気持ち悪いと言われる始末。この恨み絶対に忘れない。
「おい。貴様早くしろ!」
「Gigaga(すみません)」
ビクビクしながら運んでいると、『強欲』のアルフォース様に怒られてしまった。
眼鏡をかけた、白衣を着ている狐の、変わり者の幹部だ。
「全く使えない奴だ。もういい邪魔だ。さっさと戻れ。」
「Gigi(はい)」
役目を果たすと、興味を失ったかのように研究に没頭し始めた。
魔物の癖に、戦闘をしない腰抜け。いつも変な研究や実験ばかりしている黄金世代の最弱。
いつか、なぶり殺しにしてやる。
この気持ちを胸に秘め、部屋から出ることにしたのだった。
★☆★☆
それは、魔王城を急いで出た後、自分よりも格下の魔物を3匹、無理やり従わせ、仲間にしていた。
自分1人だけでは、空間をこじ開ける事すら出来ないからだ。人気の居ない場所まで行く魔物。
「Gigado」
よし。ここで良いだろう。
「Kika?」
「Lolo?」
「Wawa?」
全員疑問に思っている。ここで何をするのか分かっていないようだ。
その場で人間界に行って、好き勝手出来ることを仲間に言った。
最初は信用していなかったが、幹部にしか知らない情報で、使えていたアルフォース様から特別に教えてもらった、とそう言うと簡単に信じた。
「Kikakika!」
「Lolololo!」
「Wakawaka!」
今も嬉しそうに、その場で喜んでいる。
きっと人間界で好き勝手にできる事を、自分が頂点捕食者になれるのを夢見ているのだろう。
バカな奴らだ。自分が利用されるとも知らずに、ノコノコついてくるなんて。
「Giga!」
3匹に合図を送り、4人でその場で魔力を放出させる。
ピキピキ
空間にヒビが入り始めた。
「Gigagagaga!」
3匹に気合を入れさせ、更に魔力を放出させるとー
パリィィィン
空間をこじ開けることに成功した。
空間が閉じる前に、全員急いで中に入るのだった。
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