68話 余は『玄武』
読者の皆様へ 読者様から怪人じゃなくて、もう魔物でいいのでは?という声が多いので、怪人から魔物に変更します。私の意見としてはヒーローの敵=怪人というイメージがあったのですが、魔物の方が受けがいいみたいですので、そちらに変更します。怪人王から魔王、怪人界から魔界、怪人化から魔人化に変更となります。それ以外は変わりません。ストーリーも変更しませんのでご安心ください。
★☆★☆
黒狼から人型に変化して、全力で気配を断つ。
「なぁ...いなくないか?」
「いない...ね...」
2人が大森林に足を踏みいえれてから小一時間が経過していた。
(おかしい。何で見当たらないんだ。)
玄武がいた場所や、その周辺を隈なく探したが一向に見つからない。
(前回はこの辺で木を食べていたのを見てたぞ。それに何だこの森は。)
「それに何か...違くないか?」
「違うね...変化したのかな?」
前回まで無かった大森林に2人は戸惑っていた。
(前来た時は、ここ周辺は何もないただの荒野だったはず。)
荒野がいつの間にか緑豊かな大森林と化していたのだ。
ひび割れた大地に枯れた木々だった場所が、そこら中に草木が生え立派な木々が立ち並ぶ自然に様変わりしていたのだ。
「それに何だ?この眷属は。前までいなかったぞ。」
そこら中に様々な亀がいた。こちらを攻撃してくる様子もなく、ただただ草木を食べていた。
ちょうど良い所に、ノコノコ歩いている小さい亀を捕まえるが、軽く抵抗するだけで攻撃は一切してこない。
まるで2人の存在を、路傍の石とでも思っているかのように無視していた。
(魔力探知を使うか。)
周囲に、魔力の波を流すシンジ。
(おいおい。まじかよ。この大森林そのものが『玄武』ってことかよ!)
玄武の居場所が分かり、冷や汗をかくシンジ。
(マズい。逆探知された!)
急いでその場からエレナを捕まえ、撤退することにした。
さっきまでいた場所に、突如攻撃が襲い掛かる。
地面に紫色の液体がかかり、ジューっと音を立てながら溶けていく。
キシャアアアア
目の前には紫色の巨大な蛇がいた。
「エレナ。ひとまずこの場から撤退するぞ!」
エレナを片手で抱え、急いでこの縄張りから出ることにした。
この蛇は玄武の身体の一部であるからだ。
「獄炎龍」
黒い炎で燃え盛る龍を作り、
「爆炎衝波」
周囲に爆炎の衝撃波を放ち、
「黒大雷」
黒い雷を放電し、
「轟雷」
上空から落雷を何度も落とし、
「爆雷槍」
衝撃と共に爆散する槍を作り、
走りながら、火種となりうる魔法を大森林に打ちまくる。
「ま、マスター追い付かれるよ~。」
蛇に怯え、焦った表情を見せるエレナ。
「お前は俺が絶対に守るから安心しろ。」
(ここでお前に死なれると困るんだよ。今まで何のために魔物を喰わせていたと思ってる。)
「マスター///」
シンジから見えない位置で赤面するエレナ。
(チッ。追い付かれるな。)
後ろを振り向き、確認するシンジ。
「エレナ悪い。今から投げるぞ。」
「え。」
上空にエレナを投げ飛ばすシンジ。
黒狼の姿に戻り、後ろから追い付いてくる大蛇の攻撃を未来視で回避し
「土爪-
両方の鉤爪で貫き、切り落とす。
キシャアアアア
絶叫し暴れる大蛇だったが、頭部を土爪で貫くとすぐにこときれた。
「マスター。」
上空から落ちてくるエレナをキャッチする。
「もう、いきなりn-」
「急げ!その蛇を吸収しろ。」
急げと言う黒狼に
「う、うん。」
大蛇に覆いかぶさり、即座に吸収するエレナ。
「お、終わったよ?」
声をかけるが、さっきから一点だけを見つめる黒狼。
その先には大森林が崩壊し、炎上している光景があった。
ガオオオオオ
何処からともなく聞こえる大音量。
その瞬間、縄張りの地面に亀裂が入り、地震が起きた。
地面から這い出てくる巨大な生物。
「へ?じゃあさっきまでいたのって....」
「あいつの背中だ。」
(通りで見つからない訳だ。足元にいたんだからな。)
地震が収まると、そこには炎上した大森林を、背中から振り落とす『玄武』の姿があった。
黒狼と目が合うと咆哮をあげ、攻撃をしてくるのだった。
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