67話 北の最果て 大森林
???視点
「おや?今度は青ちゃんの生命反応が無くなっちゃったね。」
それは数日ぶりに再び目を覚ました。
「どうやら、イレギュラーな存在が誕生しちゃったみたいだね。ハハハ」
面白そうに、ただただ笑っていた。
「さて、次の相手は玄ちゃんかな?苦戦するだろうね。」
そう言うと再びそれは、眠りにつくのだった。
★☆★☆
「マスター。これ食べてもいい?」
正面から抱き着き、食べてもいいかと許可をとるエレナ。
「早くしろよ。」
「やったー。」
分裂し、それぞれの死体に覆いかぶさっていく赤い液体達。
青龍の鱗や眷属、黒狼の眷属を吸収しようとしていた。
エレナが吸収をしている間に手に入れた力を解析する。
【状態異常無効貫通】…状態異常無効を突破する力。これで相手に状態異常を与えることが出来るようになる。
【魔力攻撃無効】…魔力攻撃を無効化する。
【魔力攻撃無効貫通】…魔力攻撃無効を突破する力。これで相手に魔力攻撃を与えることが出来るようになる。
【龍眼】…【竜眼】の最終派生。使った相手の魔法を即座に解析し、模倣、分解、消滅させることが出来る。赤外線や透視、弱点看破することも出来る。魔眼の一種。
「やっと【竜眼】が進化したか。」
300年使ってきたが一向に進化しなかった。
魔眼だけが成長し、未来視まで出来るようになっていた。
自分で習得した魔眼は違うのだろう。
竜眼は元々ダルファーから奪った力だ。
竜ではない為進化しなかったのだろう。多分だが。
(無効化のせいで魔法が効かなかったのかよ。あいつ。)
「それにしても良い能力が手に入ったな。」
思わずニヤリと笑ってしまう。
「~♪」
鼻歌を歌いながらエレナが戻ってきた。
「マスター。お待たせ。」
どうやら沢山食べれて満足しているようだ。
「俺が捕食している間に攻撃はちゃんと当ててたか?」
「うん。ばっちりだよ。」
これで多少なりともエレナにも経験値が行っただろう。
(もう少しで進化できるな。)
エレナをみて内心で確信するシンジ。
「じゃあ行くぞ。次の戦闘はお前にも参加してもらうからな。」
「え...本気?...」
エレナは、今までに見せたことも無いような表情を見せるのだった。
★☆★☆
「大体ここからー」
北の方角を向きながら、最果てまでの距離を計算するシンジ。
「待ってマスター。考え直してよ。」
必死にしがみつき、考え直してと懇願するエレナ。
「私には無理だよ。白虎戦だったらまだ協力できたけど『玄武』は本当にヤバいんだよ。」
今までで見たことがないくらい焦った表情を見せるエレナ。
「休まずに行けば、3日くらいだな。」
言う事を無視するシンジ。
「ねーマスt」
「そんなに行きたくないのか?」
エレナの言葉にかぶせるシンジ。
「うん。私には無理だよ。だってまだ王級から進化出来てないんだよ?計画ではー」
「そうか。」
納得してもらえたと安堵の表情を見せるエレナ。
王級であっても巨獣同士の戦闘に参加するのは無理があるからだ。
(発破をかけるか。これで『私なら出来るもん。』って言って、やる気を出してくれればいいんだがな。)
すぐに実行するシンジ。
「役目を果たせないのならお前はもう要らない。」
「え....」
まさかの言葉に絶句するエレナ。
「後は好きにしろ。じゃあな。」
その場を立ち去ろうとするシンジ。
(さぁ来い。)
「ま....ますたー....う....嘘だよ....ね?」
それでも立ち止まることなくシンジは進んでいく。
ピタッ
後ろから手を掴まれ、振り返るシンジ。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
目からハイライトが消え、狂ったように御免なさいと連呼するエレナ。
(な、なんだ?エレナのこんな表情初めてみたぞ。)
エレナの初めて見せる反応に、内心驚くシンジ。
「捨てないで....マスター....何でもするから....お願い....」
「お前の役目は何だ。」
内心ではかなり戸惑っていたが、出来るだけ顔に出さず、無表情で問う。
「巨獣クラスに進化して....マスターと共闘して....『朱雀』を倒す事....です...」
敬語で答えるエレナ。涙目となっていた。
「未だに進化出来ないならどうするべきだ?」
「マスターと共闘して....『玄武』を倒し....巨獣に進化すること....です....」
共闘でも経験値は得られる。格の差があるなら貰える経験値さらに多い。
ここで倒せばエレナは巨獣に進化するだろう。
「悪かったな酷い事言って。俺にも余裕が無かったみたいだ。」
(発破をかけるためとはいえ、悪いことしたな。)
反省するシンジ。
エレナの頭に手をのせて撫でる。
「ま、マスター。」
「ただ計画を忘れられては困るんだ。分かってくれ。」
涙目でこちらを見てくる赤髪の美少女ことエレナ。
「エレナの事捨てない?本当に本当?」
「ああ。本当に捨てる訳ないだろ。大事な仲間だからな。」
「大事な....仲間....」
赤面し、ぼそっと呟くエレナ。
(それに、朱雀戦にいてもらわねば困るからな。)
「エレナ。マスターの為に頑張る。」
シンジはエレナに発破をかけることに成功したのだった。
★☆★☆
3日かけて北の最果てに到着したシンジ。
目の前には大森林が広がっていた。
玄武の眷属である亀がそこら中にいる。大きさは様々だ。小さいのから大きいのまでいる。
「エレナ気を引き締めろよ。」
「うん。」
2人は意を決し、縄張りに足を踏み入れるのだった。
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