10話 不登校

 5月13日 月曜日


 8時くらいに起きた。今日は月曜日。


 つまり学校だ。行かないけれど。


「今日は【雷魔法】と【闘気】の訓練だな。」


 動きやすい格好に着替え、道場に行く。


 雷魔法を使ってみた。


 指先に魔力を送り続ける。バチッっと音が鳴り紫電が指から放たれた。


「おお。魔法すげーな。」


 電気を自在に操った。昨日より扱いやすい。きっと魔力操作のレベルを上げたからだろう。


 次は、闘気だ。


 身体に闘気を纏わせる。


「ぐぬぬぬぬ...ハァハァ...ぐぬぬぬぬ...もう無理。」


 闘気は纏えた。2秒だけだが。


「無理。マジ無理。は?無理だろこれ。」


 アルフォースから【闘気】は奪えても流石に使いこなせない。


 闘気は本来幹部級にしか使えないのだ。中級である俺にはまだ使えないのかもしれない。そこから3時間闘気を纏う練習をしたが、一向に上達しなかったので流石に諦めた。




 ★☆★☆


「魔物狩りをするか」


 訓練後そう決めた。竹刀袋に刀を入れて肩に背負ったあと家を出た。


 魔力探知をする。前回より操作範囲が広がった。


「お?山のほうに三体いるな。」


 俺の探知に引っかかったやつがいる。


 学校とは反対方面にある山に向かう。


 山につくとそこには緑色の小鬼が3体いた。


(ん?ゲームとかで出てくるゴブリンみたいだな。)


 解析をする。


「名前」-

「 L V 」 5

「階級」下級

「種族」ゴブリン

「体力」80/80 

「魔力」40/40

「筋力」40

「耐久」30

「俊敏」70

「能力」-

「称号」-


(やっぱり格下かよ。)


「gagagaga」「gyagaga」「gigigi」


 俺に気が付かず3体で会話をしているようだ。


 竹刀袋から刀を取り出した。


 魔力を刀に纏わせる。成功した。変身して接近し、3体を刀で切り捨てた。


 魔力を纏わせるだけで、簡単に抵抗する間も無く切り捨てることができた。


(やっぱ。魔力ってすげーな。)


 死体に近づき捕食する。


(いつも思うが、骨ごと喰って大丈夫なのか?ちゃんと消化出来てるんだろうな?)


 ちょっと不安になりながらも全て完食する。


「微妙だな。食えなくもない。」


 力が流れ込んできた


 ・・・


「は?能力は?」


 ・・・


 解析通り、どうやら普通に持っていなかったようである。


「まぁいい。次だ次」


 能力を手に入れられずガッカリしたシンジであったが、次の獲物を求めるため魔力探知を行う。彼を中心に魔力が波のように広範囲に流れていく。


「見つけた。」


 ここから近くにある商店街で魔物の反応が3体あった。


 この場所で竹刀袋を置いてくる。邪魔だからだ。


 変身して刀を手に取り、急いで現場に向かう。そのほうが早いからだ。


「きゃあああああ」


 女性の叫び声が聞こえた。


 そこにいたのは二足歩行する豚。オークみたいだった。それが3匹。


 解析する。


「名前」-

「 L V」 17

「階級」中級

「種族」オーク

「体力」1050/1050

「魔力」300/300

「筋力」600

「耐久」800

「俊敏」300

「能力」【体力強化】【鉄壁】【魔力操作Lv7】

「称号」-


「オークだと思ったぜ。」


 一気に身体強化で加速する。刀に魔力を纏わせる。


 今回は武器を持ってる。前回のように素手で倒す必要はない。


 まずは一体、後ろから首を刀で切断する


 2人が俺に気付いた。


「Baaaaaaaa」「Buhaaaaa」


 仲間を殺されて激怒したのだろ。2体は怒り狂いこっちにきた。


 手に魔力を集める。2体に向けて雷撃を放つ。


 手から青い雷が放出され、2体を感電させた。


 ビクビクっと体が痙攣して倒れた。体に力を入れようとしても力が入らないのだろう。


 その間に2体まとめて首を切り落とす。


 3体をあっという間に倒した。食事の時間だ。捕食する。


 ばきばきと骨を噛みちぎる。肉を食いちぎる。


「ひ...ひぃ」


「ば...ばけもの」


 逃げ遅れた一般人がなにか言ってくる。


 あっという間に喰い終わった。力が流れ込んでくる。


(うん豚肉。生で喰っちゃったよ。寄生虫とかいないよな?)



 少し不安になりながらも待っていると



「【鉄壁】を獲得しました。」


「【体力強化】を獲得しました。」


『【魔力操作Lv7】に成長しました。』



 【鉄壁】・・・防御力が上昇する。


 【体力強化】・・・スタミナが上昇する。



 と脳内で表示された。



 下級からは能力が手に入らなかったので、中級からは能力を持ってるみたいだな。


(ん?頭部から出血してるのか?病院に連れて行かないと不味いだろ。)


 頭から血を流している女の子がいた。病院はここの近くだ連れて行ってやろう。


 怪我をしている女の子に近づく


「お...おい...まさか喰うつもりか」


「きゃああああああああ」


 と一般人は騒いでる。


(馬鹿じゃねーのか。俺がそんなことをする訳ないだろ。)


 刀を鞘にしまい口に咥えた。


 女性を抱えてその場から急いで病院へ向かう。


 道中『きゃあああ』や『魔物だー』など色々言われる。


 あっという間に病院についた。


 俺に気付くと中にいた看護師や患者たちが騒いでいた。ちょうどいいところにムキムキな男性看護師がいたので女の子を手渡す。


 男性は戸惑いながらも受け取ってくれたので俺は病院からすぐに撤退した。


 ちんたらしているとヒーローどもが来てしまうからだ。


 雷魔法を体に纏いその場で一気に加速した。


 病院からオークのいた商店街へ。商店街からゴブリンのいた山へ。数秒で山に到着した。


 魔力で身体強化して走るより、雷を纏ったほうが一気に移動できるのだ。


 この技を『電撃加速ライトニング アクセル』とそう呼ぶことにした。


 魔力探知を行ったが反応がなかった。


(この辺ではもういないのだろう。)


「やっぱりだが変身すると、服に影響はないんだな。」


 変身を解いて体を確認するが一切に汚れておらず、何処にも傷は無かった。


 全身鎧の影響はないようだ。


 不思議だと感じながらも、討伐をする必要がなくなったシンジは、竹刀袋に刀をしまい家に帰ったのだった。

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