3話 学校

 魔物。ーーそれは、地球に突如現れた謎の生命体。


 2100年に世界各国に突如出現し、人類に攻撃をしかけてきた。


 彼らは知能が低く、好戦的で凶暴な生き物だ。魔力と呼ばれる未知なるエネルギーを使い、異能を使う奴らは、人々を虐殺していった。


 人類は魔物に抵抗してきた。様々な武器で戦ってきた。


 自衛隊によって最初は討伐出来ていた。しかしある日突然、日本で強力な魔物が現れた。強力な魔物は、自衛隊をものともせず殺戮を行っていったのだ。


 銃で射撃しても、強靭な肉体によって阻まれ、仮に攻撃が通ってもすぐに再生する。


 これ以上の犠牲者が出る前に、街ごとミサイルで爆撃しようと政府が判断し、実行に移されそうになったその時、ーーアメリカからの援軍が到着した。


 超能力者達が現れたのだ。彼らは、異能を使い魔物を倒した。圧倒的な強さであった。あれだけ自衛隊員が苦戦していた魔物に、たったの数人で倒したからだ。


 その後、世界各国で強力な魔物が出現すると彼らが援軍として登場するようになる。


 超能力者である彼らの能力は、様々であった。身体能力が常人の数倍ある者。火や水、風や土などを操ることができる者。


 彼らの能力は様々であり、異能を使うことができた。


 なぜ、ピンチの時にタイミングよく彼らが現れたのか?それは、魔物が現れる前から一定多数の超能力者達が世界各地で存在していたからだ。


  軍事利用できないかと考えていたアメリカの極秘研究所では、超能力者達は発見次第裏で政府によって、捕獲もとい拉致され、送られていた。


 そして、科学者たちに解剖や解析などをされて、異能が使える原因が分かった。


 彼らは共通して、魔力なる未知のエネルギーを持っていたのである。


 超能力者達は、この未知なるエネルギーを本能で使いこなせていたために、様々な超常現象を起こしていたのだ。


 そして、超能力者による部隊が編制され出撃出番を待っていると、タイミングよく魔物が世界各地に現れたのである。


 そこで、魔物を超能力者達に倒して貰い。世界に超能力者の存在を知らしめたのである。


 その後、魔物と戦い続け、人々の平和を守ってきた超能力者達はヒーローと呼ばれるようになったのである。


 世界各地では現在、魔力検査をして、魔力持ちと判断された者はヒーローになるための育成機関で力の使い方などを学ぶことになっている。小中高一貫の学校で、常識を学ぶことになっている。通称-英雄学園。世界各地にあり、もちろん日本にもある。学費などは全てタダである。いずれ国民を護ってもらう彼らには、しっかりと学んでほしいからだ。


 ちなみに魔物とは、異界から現れる




 ★☆★☆


 『小さい時は英雄学園に入学したかったなー』と授業中に、ぼーっとしてるとー。


「えーでは。この問題をえー。シンジ答えなさい」


「へぇ?」


 と、急に先生にあてられて、変な声を出してしまった。


 クスクス


 その声に反応し笑う女子生徒たち。


 ていうか話まったく聞いてなかったせいで、問題自体が分からないぞ。恥ずかしい!


「えーと??」


 答えが分からず、考えるふりをして時間を稼いでいると、後ろから答えを知っている委員長が小声で教えてくれた。


 委員長の名前は冬柴美香。俺のもう1人の幼馴染である。


 ショートヘアの黒髪に内気な性格だ。胸はあまりない。貧乳だ。みんなから委員長と呼ばれているので、俺もそう呼んでいる。


 ナイスー。委員長マジ助かった!


「織田信長」


「正解だ。良くわかったな。話を聞いてなかったと思ったぞ」


 と先生は言い。授業を再開した。



 ★☆★☆


「ありがとう。委員長のおかげで助かったよ」


「お…お役に立てることができたなら…それでよかった…です…」


 授業が終わったあと笑顔で話しかけると、委員長は下を向きながら返事をした。


 心なしか、顔が赤いような気がする。照れているのだろうか?


 それにオドオドする癖もある。もっと自分に自信を持てば良いのに。


 そう思いながら、俺は残りの授業を受けた。



 ★☆★☆


 放課後になり、急いで家に帰ろうとするとー。


「悪いな、冬柴。これ職員室に持っていってくれないか?」


「は、はい!」


 委員長がたくさんのプリントやノートを持って、職員室に向かおうとするのを発見した。


 大変そうなので、急遽手伝いを申し出る。


「委員長手伝うよ!」


「い、いいえ…1人で大丈夫ですよ?」


 と言い。後ろを振り向きながら平気そうな顔をするが、歩きづらそうである。


 迷惑をかけまいと、そのまま職員室に行こうとするので、俺は後ろから委員長の持っていたプリントの束を強引に取った。身長差がある為、後ろから簡単にプリントの束を奪うことが出来た。


「遠慮しなくても良いって」


 状況が状況なだけに、偶然通りかかった人が見れば勘違いされそうだ。


「ふぇ?」


 前から可愛らしい委員長の声が聞こえてくる。小動物のようで、不覚にも可愛いと思ってしまった。


「遠慮するなって。昼間のお礼だと思ってくれればいいから」


 と俺は言い。委員長と一緒に職員室までプリントやノートの束を提出する事にした。


 その後、帰り道が同じであるため、一緒に下校する事になった。


「あ…あの…シンジ君ありがとう。さっきは助かったかな」


「委員長。困ったときはお互い様だろ?」


 と言いながらお礼を受け入れる。


「あ、あの。委員長じゃなくて、昔みたいにまた名前で呼んでくれませんか?」


「んー。委員長が俺に対して敬語辞めるならいいよ」


「え?」


 驚いた顔をする委員長。ーーもとい冬柴美香


「だって同い年なのに、敬語はおかしいだろ?俺ら幼馴染だしなんか寂しいぞ。敬語辞めたら委員長呼びを辞めるよ」


「う、うん。わ、わかった」


「それでいいんだよ美香。大体なんで敬語になったんだよ。小学生の時は仲よかったのに。一人称も私じゃなくてだっただろ?なんで辞めたんだよ。中学から付き合い悪くなるし。俺嫌われたかと思ったんだぜ」


 と俺の本音を暴露した。


「周りの人に馬鹿にされるからやめようと思って。それで……別にシンジ君が嫌いになった訳じゃないよ」


 あんまり気にしなくても良いと思ったが、本人の問題である為、それ以上俺は何も言わない事にした。


 こうして俺は、久しぶりにと他愛のない話をしながら家に帰る事になったのだった。

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