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「ここから先へ行けば、森を抜けられる」


「キャロルは?」


「僕はここからは行けないよ、獣だからね。怖がられるんだ」


「キャロルは怖くないよ?」


 キャロルの目を見て素直に告げるヒカゲ。その言葉にキャロルは目を丸くした。


「そうか。そんなことを言ってくれる者がいるとはね」


「行こっ」


 ヒカゲが手を差し伸べると、キャロルは少し俯き、迷いを見せる。


「僕もそっちに行って良いのかな」


「それを決めるのは、キャロルでしょ」


 その言葉にキャロルの頬が緩む。刹那、キャロルの身体を取り巻く光。次に現れたのは小さな身体。ヒカゲの胸に飛び込み、暗い森を抜ける。背の高い木々が晴れ、高い丘にたどり着いた。元いた場所やコロシアムが目にとまる。その奥には、いつかアカツキと眺めた海が見えた。



 夜が明け切り、暁の空。瞳をつむると網膜に焼き付いたアカツキの笑顔を思い出す。そして、


『大好きっ』


 いつか、二人で空を見上げた日。アカツキが言った言葉。ヒカゲは、まだ知らない言葉。その言葉は、どんな意味を持つのだろうか。


 ──何度涙を流そうと、何度苦しもうと、俺は君の言葉を知りたい。だからもう少し、生きてみるよ

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戦闘奴隷の少年-消えない過去と消えた笑顔- kiriyu @kiriyu

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