第238話
*
「確かコッチに……」
平斗が初白さんに責められ始めたのとほぼ同時に僕は街中で金色の髪をした少女を目撃した。
あの子だ!
そう思ったぼくは直ぐにその場から走り出していた。
しかし……。
「あれ?」
見失ってしまった。
まぁ仕方ない。
人通りの多い時間だし、それに僕の見間違いだったかもしれない。
「怪我が無いか聞きたかったんだけどな……」
いろいろ聞きたいことがあった。
だが、まずは怪我をしていないかが心配だった。
それにあの強さだ。
むちゃくちゃではあったがかなり強かった。
まぁ、恐らく僕や平斗よりは弱いけど……。
「夢中になって二人をおいて来ちゃったな……仕方ない電話して合流しよう」
なんて事を考えながらスマホを取り出した時だった。
スマホと一緒にポケットに入れていたハンカチが落ちてしまった。
「あ……」
直ぐに拾い上げようとしたが、先に誰かの手が僕のハンカチを拾い上げる。
「はい、落としたわよ」
「あぁ、どうもありが……あ」
「何よ、早く受け取り…ってあんたさっきの」
僕のハンカチを拾ってくれたのは、僕が探していた金髪の女の子だった。
「見つけた! やっと会えたよぉ」
「な、何よ。私に何かよう?」
「いや、怪我が無かったか心配でね。あれだけ強くても女の子だからどこあか怪我をしたんじゃないかと思って」
「それなら大丈夫よ、はいこれハンカチ。それじゃぁね」
「あ、待ってくれよ」
俺は歩き始める彼女に話し掛けながら彼女の後ろを歩いた。
「何よ、私にまだ何かようでもあるの?」
「うん、色々聞きたいんだ。なんであの子を助けたんだい? あの子にも聞いたけど、君とは面識無いって言ってたよ?」
「別になんでも良いでしょ」
「それにその制服だ、うちの学校だろ? それなのに君みたいな綺麗な金髪の女の子は見たことないし……」
「まぁ、そりゃそうでしょうね」
「どういうことだい?」
「転校して来たのよ、二学期が始まるのと同時に」
「なるほど、だから学校で見かけなかったのか」
そう言う事だったのか、まさか転校生だとは思わなかった。
「学年は?」
「二年だけど……てか、いつまで付いて来るのよ」
「あぁ、ごめんごめん。立ち話も何だし、どこか店にでも入る?」
「なんでそうなるのよ! 馬鹿なの!?」
「いや、ちょっと君が気になってね」
「何ナンパ? 悪いけど私顔が良いだけでついて行くような女じゃないのよ。他を当たって」
「いや、ナンパじゃないって。ただ君のあの戦い方とか、色々きになってさ」
「別にアンタには関係ないでしょ……それじゃぁ私急ぐから」
「あ! うーん、急に強引に行き過ぎたか?」
とにかく怪我が無いようで良かった。
でもまさか転校生とは……うちのクラスじゃないのは確定だから、別なクラスかな?
また色々話をしてみたいな……。
なんて事を考えていると僕のスマホが鳴った。
どうやら平戸からのようだ。
「もしもし?」
『おいこら! 一人でどこ行きやがった! こっちは大変なんだぞ!』
「あぁ、ごめんごめん。もしかしてもう二人でご飯食べてる? ちょっと急に野暮用が出来ちゃったから二人で食べててよ」
『おい待て! こっちはそれど……』
電話はそのまま切れた。
充電切れだろうか?
まぁ、平斗と初白さんを二人に出来るし良いか。
「それにしても初白さんも早くしないと平斗を取られちゃうよなぁ」
今回の事だって平斗は友人として高柳さんを助けたかもしれないけど、彼女は平斗に別な特別な感情を持っているだろうし。
それにこの前の旅行では城埼さんが大体な行動に出てたし。
「平斗はやっぱりモテるなぁ……」
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