第239話
*
「おい」
「ん? どうしたの? 朝から機嫌悪いね」
朝、学校に行き俺は高弥の席に真っ先に向かった。
「お前のせいで昨日は大変だったんだぞ!」
「何が?」
「城埼さんには怒られるし、初白はねちねちいろいろ聞いてくるしで……」
「うん、全部平斗の自業自得だよね?」
「いや、お前がいてくれればまだの場も和んでだな……」
「そもそも平斗は人に心配させ過ぎなんだよ。あんな可愛い後輩二人にあんなに心配されて、正直羨ましいよ」
「いや、まぁ心配はされてるけど……」
「じゃぁ、昨日の二人からのお説教はしっかり受け止めるべきじゃない?」
「うっ………」
怒っていたのは俺の方なのに、いつの間にか高弥に言い任されてしまった。
まぁ、確かにこの件に関しては二人の約束を破った俺のせいか……。
「あ、そう言えば見つけたよ金髪の子、どうやら転校生だったらしいよ」
「あぁ、そう言えばクラスの奴らが言ってたな? 可愛い子が隣のクラスにきたけど、少し怖いって」
隣に越してきた子は長い金髪で制服を着崩しており、ヤンキーのような子だと聞いていた。
しかし、かなりの美少女で学校では噂になっていた。
更にその子にはもう一つ噂があった。
「あの子の噂平斗も聞いた?」
「まぁな……前の学校で問題を起してこの学校に引っ越して来たって、なんでも同級生の男子を半殺しにしたとかなんとか……」
もう一つの噂はそれだった。
転校生は前の学校で男子高校生をタコ殴りにして病院送りにしたらしい。
しかもその生徒は別に悪い奴でも無く、生徒や先生からも信頼される優秀な生徒だったらしい。
「どう思う?」
「俺にそれを聞くのか? 前まで酷い噂を流されていた俺に」
「一番気持ちが分かるのは平斗だろ?」
「そうかもしれねぇけど……まぁ、俺から言えるのはそっとしてやれってことだけかな?」
「どうしてだい?」
「その噂が本当でも嘘でも本人が何も言ってないなら、きっとそっとして置いて欲しいと思うんだよ。俺がそうだったし」
しかし、俺には高弥や道場の皆など味方も大勢居た。
彼女にそういう味方は居るのだろうか?
居ないんだとしたら少しくらいは心配だ。
「……そっか」
「何でそんな事を聞くんだ?」
「うーん……僕も彼女の事を良く知ってるわけじゃないんだけど……なんだかそんな事をする子には見えなかったんだよね……」
「一日二日でそいつの何が分かるんだよ、それはお前が一番良く知ってるだろ?」
「……そうだね」
高弥はあの金髪の女の子を気に掛けている。
二人の間に何かあったのかは分からない。
だが、高弥が誰かに興味を示すのは珍しい。
「なんだ? 惚れたのか?」
「え? なんで?」
「あぁ、悪い。お前はそう言うのとは無縁だったな」
真顔で答える高弥を見て俺は自分の思い過ごしだった事に気が付く。
*
「へぇ~真木先輩が……」
「あぁ、どうやら気になってるみたいでな。悪いな、振られた男の女性関係なんて話して」
「別に良いですよ、私の中ではもう終わった事ですから」
「切り替えはえーのな」
昼休み、俺は初白と屋上で飯を食いながら話しをしていた。
なんでそんな事をしているかと言うと初白いわく、目を話すと俺がまたどこかで危険に巻き込まれるから監視をするらしい。
そんなに俺は危険に首をつっこんでいるだろうか?
「でも真木先輩が他人に興味を持つって珍しいんですか?」
「あぁ、お前に興味を持った時もビックリしたよ。正直このまま付き合うかと思った」
「振られましたけどねぇー」
「あ、いや……なんかすまん」
「はぁ……先輩デリカシー無さ過ぎです。罰として明日も私とお弁当しましょう」
「えぇ……毎日お前の顔見るの?」
「はいそこっ! 嫌そうな顔しない!」
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