第212話
「な、なんだこいつら……」
もしかしたら、この二人の援軍かとも思ったが、二人を様子を見るに二人もこいつらの事は知らされていないようだ。
しかもこのヤクザらしき男達が放つ殺気は俺はもちろん、この二人にも向けられている。
恐らく、失敗した時を考えてこの二人の依頼主があらかじめ用意していたんだろう。
全く用意周到な黒幕さんだなぁ。
「か、囲まれてる……」
「どうやら、君たち事、僕を抹殺するつもりみたいだね」
「な、なんだって!!」
ヤクザらしき男たちは各々武器を取り出し、じりじりと俺たちに近づいて来る。
まさか、今年に入って二回も裏関係の人とやり合うなんて……。
「仕方ない……」
僕は最初に襲ってきた二人にこっそり耳打ちをする。
「僕が合図したら、僕の後ろに全速力でついてきてくれる? まぁ、出来なかったら死ぬだけだけど」
「え?」
僕はそう言った後、敵の出方を伺いながらその時を待った。
敵も僕らが動くのを待っているようだった。
そして、ヤクザらしき男が一歩足を踏み出した瞬間。
「来い!」
僕はそう言って、目の前のヤクザらしき男に向かって突進していった。
「うぉ!!」
「遅い」
「ぐはっ!!」
僕は目の前の男を殴り飛ばし、そのまま走った。
後ろにはばっちり最初に襲ってきた二人もついてきている。
「まてやぁ!!」
「大人しく掴まれぼけぇ!!」
「お、意外に早いな」
「い、言ってる場合かよ!!」
「次はどうするんだ?」
走りながら二人は俺に尋ねてくる。
さっきまで敵だった彼らを助ける必要は正直ないのだが。
まぁ、一応依頼主の顔を知っているようだし、まだ使い道はあるだろう。
それよりもまずは後ろの面倒な人たちを何とかしないと……。
「ねぇ、木の棒とか鉄パイプ落ちてたら教えてくれない?」
「はぁ? んなもんこんな時何に……」
「まぁ、ちょっと武器が無いと厳しいからね」
「そ、それなら後ろのヤクザの奴木刀持ってたぞ!」
「お、良いねそれ。そうと分かれば、あそこの広場に入って向かえ討とうか」
「はぁ? 何言ってんだよ!! あんたがいくら強くてもあいつらみたいなヤクザ者には……」
「まぁ、普通そう考えるよね……でも僕は普通じゃないから」
「え?」
僕はそんな事を言いながら町から離れた場所にある、広場にヤクザ達をおびき寄せた。
確かにパーカーの男の言う通り、戦闘のヤクザが数人木刀を持っている。
これはラッキーだ。
「さて、じゃぁまずは武器の調達からだね」
「だ、だから無理だって! 早く逃げるぞ!」
僕は大柄の男の話を無視して、ヤクザ達に突っ込み木刀を持っている奴の手から木刀を奪い取った。
「よし、これさえあれば……」
「ガキ、突っ込んでくるとは良い度胸だな」
「あのまま逃げてれば逃げ切れたかもしれねぇのに」
良く言うなぁ、逃げてもどこまでも追ってくるくせに。
まぁ、良いや。
さっさと片付けて平斗のところに行かないとだし。
「おじさんたちさぁ……自分たちがいかに弱い存在かって知ってる?」
「あぁ? 何言ってんだよ、死ね!」
そう言いながら拳銃を突き付けてくる男。
僕はその男に向かってニコッと微笑む。
「な! 消えた!!」
「そんなわけないでしょ」
「あがっ!!」
僕は拳銃を持っている男の腹に突きをくらわせ、地面に倒れさせた。
「てめぇ!!」
「今度は刃物? 良いよ、どんどんどうぞ」
ヤクザらしき男は今度はヤクザが良くどすと呼んでいる刃物で攻撃してくる。
僕はその刃物を避け、相手の頭を木刀で叩きつける。
「な、なんだこいつ……」
「本当にガキかよ!!」
僕は一人、また一人とヤクザを地面に寝かせて行った。
そして、最後の一人を残して他のヤクザは地面に倒れた。
「あ……ま、まさか……」
「おじさん」
「ひっ!! や、やめろ!」
「あぁ、そんな謝らんいで下さいよ。俺は一つ聞きたいことがあるんです」
「き、聞きたい事?」
「あんたらのボスの名前は?」
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