第211話
「出ないか……」
つながらないなら仕方がないと、僕はそのまま平斗の家に向かった。
早く平斗に話して対策を練ろうと思った。
しかし、少し歩いたところで僕は誰かにつけられているような気がした。
「……なんだ?」
さっきから僕の後をつけてくるフードの男が一人……。
屋敷を出てかたずっと僕の後ろついてくる。
一体誰なんだろうか?
僕は身の危険を感じ、人通りの多い街中に移動し始める。
しかし、それよりも前に目の前にがたいの良い大柄の男性が立ちはだかった。
「何か御用ですか?」
「……真木高弥だな」
「はい、そうですけど」
僕は笑顔で受け答えをする。
しかし、この男が僕を良く思っていないことは表情からわかった。
後ろのフードの男も俺の背後に来て立ち止まった。
完全に挟まれた。
「色々調べているようだが、もうやめておけ」
「なんでですか?」
「邪魔だからだ」
「……どうやら、貴方たちは何か知ってるようですね。大方僕の口でも塞ぐために来たんでしょう……僕には恋人も居なければ人質に取られて困る人物はいない。両親は警官だから、人質にとるにはリスクが多きすぎる……そうなると最後は暴力で僕の口を止めようって魂胆か」
「まぁ、そうだ、理解が早くて助かるぜ……」
「……はぁ……僕はどっちかって言うと、こういう争いは好まないんだけど……や無負えないね」
「おいおい、お前も気が付いてるんだろ? 後ろのフードの奴も俺の仲間だ。二対一で勝てるわけねぇだろ」
「まぁ、数の上ではね……でも実力ならどうかな?」
「綺麗な顔で威勢が良いな……まぁ、その威勢がいつまで続くなぁ!!」
そう言って向かって来るが大柄の男とフードの男。
僕は二人の攻撃を避け、大柄の男に手刀で攻撃する。
「うっ!! て、てめぇ……」
「悪いけど、多分僕の方が強いよ」
「野郎!!」
今度はフードの男が僕に向かってくる。
僕はフードの男の攻撃を避けながら、フードの男に聞く。
「君たち、恐らく誰かに金で雇われたんだろ? 攻撃に統一性が無いし、素人の動きだ」
「うるせぇ!!」
「おっと……はぁ……この様子じゃ、金で雇われただけで何も知らないみたいだね……この件の黒幕は随分慎重みたいだ」
「ごちゃごちゃうるせぇんだよ!!」
今度は大柄の男が僕に向かって拳を振り上げてくる。
僕は振り下ろされた大柄の男の拳を受け止める。
「なに!?」
「あのさ……そろそろ遊ぶのも飽きたし、少しでも情報が欲しいから本気だすけど……いいよね?」
僕はそう言って大柄の男の足を引っかけ、地面に向かって投げつける。
「ぐはっ!!」
「悪いね……少し寝ててよ」
「なんだお前!!」
「君もうるさいから黙ってね」
「ぐはっ!!」
背後から僕を殴ろうとしたフードの男の攻撃を避け、僕はそのまま大きく開いたフードの男のみぞおちに拳をぶつける。
フードの男はそのまま苦しそうにその場にうずくまった。
「さて……じゃぁ、質問だね。君たちを雇ったのはどんな人?」
「誰が話すか……」
「……そっか」
「あがっ!!」
僕は離さない大柄の男の横腹を蹴りつける。
男は苦しそうに再び地面にうずくまる。
「あのさ、君たちは分からないと思うけど、こっちはさっさとこの件をかたずけたいんだ。こっちは君たちを雇った雇い主に親友を殺されかけてるんだ……何をするか分からないけど……それでも話さない?」
「す、すいませんでした!! 俺たちを雇ったのは細身で眼鏡をかけた黒髪の男です!」
「そ、それ以上は何も知らねぇ! ただ、お前をやれば十万もらえるって聞いて!!」
「ふむ……自分の手を汚さず、人の手を汚させるか……随分性根の腐った雇い主のようだね……」
「も、もう手は出さねぇ! だから見逃してくれ! な?」
「僕はそれでも良いんだけど……生憎君たちの雇い主はそうはいかないらしい」
いつの間にか、僕と僕を襲った二人の男はヤクザらしき男達に囲まれていた。
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