第191話
「初白様、この予備のビキニを乗せるのも有りでは?」
「あ、良いですねぇ! じゃぁこれをこうして……」
「あらあら、ずいぶん立派な物をお持ちで……」
「山ノ内さんまで何をしてんだ! 良いからやめろぉぉぉぉ!!」
結局俺はそれから三人におもちゃにされ、そのまま放置された。
「俺が何をしたっていうんだ……」
「可愛い……」
「何それ? フォローしてるつもり?」
光音はその場に残り、俺の隣でみんなの遊んでいる様子を眺めていた。
「お前は良いのか? 城崎も初白も誘いに来てたのに」
「うん………今はこうしてたい」
「なんだよ、そんなにこんな姿の俺が滑稽か?」
「違う……」
「じゃぁなんだよ?」
「………傍に居たい」
「え?」
「………」
光音はそう言いながら顔を赤く染めていた。
綺麗な白い顔が真っ赤になっており、恥ずかしがっているのが一目でわかった。
いや、恥ずかしいのはこっちなんだけど……。
みんなになれたのかと思ったが、まだまだ時間が必要かな?
「そうか、まぁ知らない奴らばっかりだしな……慣れるまではまだ時間がかかるよな」
「………そう言うことじゃない」
「え?」
「全く、鈍感な人ですね」
「あ、山之内さん」
俺が光音と話をしていると、今度は水着姿の山ノ内さんがやってきた。
黒のビキニとは流石年上、大人っぽい。
「全く、男性というのはなぜこんなに鈍感なんですかね?」
「別に俺は鈍感じゃないっすよ」
「………そう言うとこ、貴方は竹内君と似てますよ」
「え?」
「まぁ良いです。それより、お嬢様の水着どうですか?」
「え? 似合ってますけど?」
「それなら本人にちゃんと言ってあげてください。女性はいくつになっても洋服が似合っていると言われるのは嬉しいものなんです」
「はぁ……なんかすんません」
「ちゃんと竹内君にもその辺言っておいてもらえますか?」
あぁ、竹内さんと何かあったのか……あの人、武道以外にはポンコツだからな。
というか、埋められてて光音の水着見てなかったな。
光音の水着は白色のビキニだった。
似合っているし、可愛いとは思うのだが、それ以上になんだか白い肌と合って綺麗だった。
「私が選びました」
「そうなんですか、センス良いですね」
「えぇ、ちなみに私の水着の色違いです」
「仲いいんですね」
「えぇ、ちなみにブランド物で一着10万円します」
「なぜ値段を言った……」
流石は金持ちといったところだな、水着の値段が俺達とは桁一つ違う。
「どう?」
「あぁ、似合ってるぜ」
「……ありがと」
「おう。それで……そろそろ助けてくれない?」
「嫌だ」
「なんでだよ!!」
「面白いから」
「おい!」
「お嬢様、ここにバナナを置くのはどうでしょうか?」
「……いいね」
「良いねじゃねぇよ! 下ネタやめろ馬鹿!」
結局俺が抜け出せたのはそれから一時間後のことであった。
「はぁ……酷い目にあった」
「お疲れ、大変だったね」
「お前遠くで見て笑ってたろ」
「あ、バレた?」
「いや助けろよ!」
「ちなみに初白さんから写真ももらったよ」
「あの野郎いつの間に……」
俺の恥ずかしい写真が出回ってしまうなんて……。
「良い思い出じゃないか」
「そうか? 俺の写真は黒歴史になりそうだよ」
「あはは、確かにね」
高弥と話をしながら、俺は海で遊ぶみんなを見る。
相変わらず大島と悟はいがみ合ってるし、城崎さんと初白は仲良さそうにしている。
こいつらとまだ知り合って半年も経っていないなんて驚きだ。
「なぁ高弥」
「なんだい平斗?」
「……この旅行が終わった後で良い、俺に付き合ってくれ」
「デートのお誘いかい?」
「ちげーよ馬鹿。お前と組手がしたい」
「……何を言っているんだい? 僕は剣、君は素手だ。組手になんてならないよ」
「じゃぁ、俺の鍛錬に付き合ってくれ」
「……何かあった?」
俺の心情を察してか、穏やかな表情で高弥が俺にそう問いかける。
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