第190話
城崎さんも時々変な事をするからな。
まぁでも初白よりはマシか、あの子は良い子だしな。
てか、ここが本当に無人島でよかったな、人の多いビーチなんかに城崎さんを連れて行ったら大変だ。
「先輩、また瑠華ちゃんに何かしたんですか?」
「俺は何もしてねぇよ」
次にやってきたのは初白だった。
ミントグリーンの水着に白いパーカーを羽織っていた。
しかも、いかにも可愛いでしょ?
みたいなどや顔で俺を見てくる。
「はぁ……初白、光音は?」
「おい! なんで今一回見てため息吐いた!!」
「いや、別に……」
「水着か! 水着を見て言ったのか!! てか可愛いって言ってくださいよ!!」
「可愛いと思えないから言わない」
「言えよ! 可愛いだろうが!」
「基本的に俺はお前を可愛いと思ってないから嫌です」
「もー!! 先輩の馬鹿ぁ~」
「揺らすな、揺らすな」
初白はそう言いながら俺の体を揺さぶってくる。
まぁ、似合ってないこともないのだが、そう言うとこいつがまた調子に乗るからな。
「そんなんだからモテないんですよ」
「うるせぇよ、全く……まぁ良いんじゃねぇの?」
「え? 本当ですか? まぁ、そうですよね~私可愛いし、似合わないわけないっていうか~」
「あ、やっぱり嘘、似合ってないわ」
「急になんで!?」
「いや、お前が調子に乗り始めてムカついた」
「そんな理由!?」
まぁでも……本当に無人島でよかったと思う。
城崎さんと初白なんかと一緒にビーチなんかに行けないな。
こんなメンバーで言ったら、ナンパ男達の良い的になっちまう。
「はぁ……なんで先輩は私に厳しいかなぁ?」
「厳しいんじゃねぇ、お前が生意気だからそれにあった対応をしているだけだ」
「んじゃぁ、私が生意気じゃな無くなったら可愛いって言ってくれます?」
「いや、そんなお前気持ち悪くて近づきたくない」
「殴りますよ?」
「お前に殴られても痛くもかゆくもねぇよ」
「えい」
初白はそう言いながら頬を膨らませて、俺の頬に自分の拳をぶつけてくる。
「なんだよ」
「殴りますよって言いました」
そう言いながら初白は不服そうに頬を膨らませ、ジト目で俺を見る。
どうやら初白の機嫌を損ねてしまったようだ。
「どうせ私は可愛くないですよーだ」
面倒臭い感じになってるなぁ……。
うーむ、少し邪険にしすぎたか。
素直にここは誤っておくか。
「あぁー悪かったよ、機嫌直せ」
「別に機嫌悪くないんでー」
あぁ、ダメだ。
完全に面倒臭い感じになってしまった。
高弥でも呼んできて機嫌を直してもらうか?
でもこいつ高弥にフラれてるしな……。
「あぁーわかったわかった、可愛い可愛い」
「そんな仕方なしに言われてもなぁ~」
「じゃぁ、どうすれば良いんだよ?」
「ふふ……」
あ、こいつなんか悪い顔してる……すげー嫌な予感がするなぁ……。
そんな俺の予想は残念なことに当たってしまった。
「よし! こんなもんですかね!」
「おい! テメェふざけるな! ここから出せ!!」
初白は俺を砂浜に寝かせたかと思うと、どんどん上に砂をかけ始め、俺はあっという間に埋められてしまった。
くそっ……いうことを聞くんじゃなかった……。
「あはは! 素直に私の水着を褒めないからこんなことになるんですよぉ~だ」
「クソ!! 随分な量を乗せやがって!!」
「うふふ……先輩の胸辺りにもう少し砂を盛っておきますかねぇ~Cカップ分くらい」
「やめろアホ!!」
こいつ、さっきまでの事を忘れて楽しんでやがる。
そんな俺と初白の様子が気になったのか今度は水着に着替えた光音が近づいてきた。
「……なんの遊び?」
「いや、これは違うんだ……てか助けて」
「光音ちゃんもやる? 先輩を疑似的に女子にする遊び」
「楽しそう……やる」
「おい! どこに楽しさを見出した!! 良いから助けろ!!」
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