第185話



 また平斗が女の子と知り合いになったと思ったら、今度はお金持ちのお嬢様だ。

 まさか城崎さんや初白さん以外にもまだ女の子をたらし込むとは思わなかった。

 というか、このままじゃ初白さんヤバイな……なんか城崎さんとの仲もどんどん良くなってるみたいだし。

 それに加えてこの高柳さんだ、お金持ちだししかもこの容姿だ。

 それになんだか訳ありらしいし、現在一番平斗に近しい間柄の女の子はこの子かもしれないぞ……。


「えっと、高柳さんはいつもは何をしてるの?」


「ゲーム」


「あ、そうなんだ。僕も良く平斗とゲームはするんだよ、だけど平斗は弱くてねぇ」


「知ってる……相手にならなかった」


「リアルだと向かうところ敵なしなんだけどね」


「……それも知ってる」


 彼女はそう言いながら、何やらうれしそうに頬を赤く染める。

 確か平斗の話では、この子をボディーガードのアルバイトで二回助けているらしい。

 でも、父さんの話ではうち一回は平斗の兄弟子さんである竹内さんが助けに入ったって言ってたな。


「……あいつの事どう思ってるの?」


「え?」


「あぁ、別に答えたくないなら良いんだけど……そう言う目をしてあいつの話をする女の子を他に三人知ってるからね……」


 これで四人目だけど。

 きっとこの子も平斗の優しい部分に触れて平斗を好きになってしまったのかもしれない。

 僕はこの子と平斗の間に何があったのかはわからない。

 でも、友人がモテることがこんなにもうれしく思えるのはなぜだろう?

 

「僕もね、平斗が好きなんだ」


「え……ほ、ホモ……」


「違うよ」


「じゃ、じゃぁ……BL……」


「同じ意味だよ。そうじゃなくて、僕は友人として島並平斗って人間が好きなんだ」


「………どっちが受け?」


「うん、そっちの話は一旦忘れようか?」


 僕の言い方も悪かったかもしれないが、あまり誤解しないで欲しい。

 というか、なんで少し目が輝いてるんだろうこの子……。


「……私も好き」


「え?」


「………島並が」


「そっか、じゃぁ気が合いそうだ」


 その意味が男としてなのか、それとも友人としてなのかはわからなかった。

 でも僕は知っている。

 彼を好いている人間に悪い人はそうは居ない。

 類は友を呼ぶという。

 だから僕も彼女とは仲良くなれる気がした。





 飲み物を取って席に戻ると、なんだか高弥と光音が楽しそうに話をしていた。


「お待たせ、何を話してたんだ?」


「いや、ちょっとね」


「ふーん、なんか機嫌良さそうだな」


「まぁね、やっぱりみんなで旅行してるからかな?」


「お前がそんなことを言うなんて珍しいな、中学の修学旅行の時はだるいって言ってたのに」


「それは行きたくもないクラスメイトと行ったからだよ、今日の旅行は心から楽しめるメンバーだからね」


「そうなのか?」


 たまにこいつは歯が浮くような恥ずかしいセリフをサラッという。

 俺もこういうイケメンに生まれたかったなぁ……。


「私も……楽しい」


「光音もか? てか、まだ出航したばっかりだぞ」


「ううん……来てよかった」


 光音はそう言いながら、笑みを浮かべる。

 なんだかよくわからないが、光音が楽しそうで良かった。

 高弥とも仲良くなれたようでよかった。

 まぁ、こいつはイケメンだし女子には基本優しいからな。

 

「あ、先輩!!」


「ん? なんだ初白か」


 俺が高弥と話しをしていると、今なぜか肌つやつやの初白がこちらにやってきた。


「何してるんですか?」


「ちょっと休憩だよ、そう言うお前はなんかつやつやしてるな」


「えへへ~初めてエステなんてしましたよ! これで私も更に可愛く……」


「テカテカしてるだけのような気がする」


「あははー先輩本当にデリカシー無いですねぇ~城崎さんのシャワーを覗いた変態のくせに……」


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