第184話
俺と悟、そして光音はプレイルームでダーツをしていた。
「兄貴上手いっすね!」
「まぁな、良く高弥とやってたからな」
そう言えば高弥の奴はどこに行ったんだ?
解散になった瞬間にすぐにどこかに行ったけど。
「えい」
俺がそんなことを考えていると光音がダーツを投げていた。
残念ながらダーツは的に当たらず、当たる前に手まで失速して落下した。
「惜しい……」
「いやどこがだ!」
「当たってたら真ん中だった……」
「まず当てろよ……」
「姉さんも筋は良いですよ!」
「そう?」
「はいっす! 流石は兄貴の彼女だ!」
なんでか知らないが、大島は光音の事を俺の彼女だと勘違いしている。
ずっと一緒に居たからだろうか?
それにしても彼女と断定するのは早すぎないか?
「おい大島、言っておくけど光音は俺の彼女じゃねぇぞ」
「え? そうなんですか? ずっと一緒だから俺はてっきり……」
「アホか、俺みたいなの光音みたいなお嬢様が釣り合うはずないだろ?」
「そうっすかね?」
俺がそう言うと、なぜか光音はむすっとしていた。
「……彼女じゃない……」
「ん? あぁ、そうだろ?」
「………そうだね」
「ん?」
なんだ?
なんでこいつ急に機嫌悪くなったんだ?
「おい光音?」
「………何? 変態」
「うっ……なんでお前怒ってんだよ……」
「別に………」
意味が分からない。
俺はただ本当の事を言っただけだというのに。
「あぁ……兄貴って俺以上に鈍感なんすね」
「はぁ? 何を言ってんだよ大島」
「別になんでもないっすよ、それよりもう一セットしましょうよ!」
「あぁ、良いぞ」
「姉さんももう一回!」
「いいよ」
「てか、姉さんって本当にすごいんですね! こんな大きな船を持ってるなんて」
「すごいのはお父さん、私は大したことない」
「いやいや! 城崎から聞きましたけど、学校では頭が良くて美人で有名らしいじゃないですか!」
「そんなことない」
「またまた~」
なんだかんだで大島と慣れてきたな。
この調子で全員と仲良くなってほしいものだ。
「なんで兄貴って呼んでるの?」
「え? あぁそれは尊敬を込めて呼んでるんですよ! 兄貴はすごいんです! 迫りくる敵を涼しい顔で次々になぎ倒す! しかも惚れた女の為に泥を被るような男気にあふれた人間で……」
「やめろ、なんかむず痒いわ」
「いてっ! 全部本当の事じゃないっすか!」
「お前は俺を美化しすぎなんだよ」
「ふーん……尊敬してるの?」
「はい! 俺は兄貴みたいな男になりたいんです!」
「……センス良いね君」
「ありがとうございます!」
「あ? 今何か言ったか?」
さて、大島ともう一セットダーツをしたら他のとこに行ってみるか。
高弥にも光音の事を話しておきたいしな。
てか、山ノ内さんはマジでエステに行ったのか?
あとで話もあるし、少し覗いてみるか。
ダーツをした後、俺と光音は高弥を探しに向かった。
なんだかんだでこの中では一番付き合いが長く、信頼している高弥には光音の事を話しておきたいし、出来れば協力してほしい。
「あ、居たな」
「イケメン……」
「あぁ、甲板で飲み物を飲みながら本なんか読んで……絵になりすぎだろ」
顔の良い奴は羨ましい、何をしていても絵になる。
いや、この中で顔が良くないのは俺や大島、悟くらいだな。
他は控え目に言っても美少女と言って過言じゃない女子と高弥だし。
「はぁ……なんで俺の周りって顔の良い奴らばっかりなんだろ」
「気を落とさないで……それほど悪くないよ?」
「それはどうも……」
気を使ってくれる光音。
そんな俺達に高弥も気が付き手を振ってきた。
「やぁ平斗、デートかい?」
「ちげーよ。たく……お前は行動がいちいちカッコいいな」
「ありがとう、平斗達もドリンクをもらってきたらどうだい?」
「そうだな、喉も乾いたし取ってくるか。光音はここで待っててくれ、取ってきてやるから」
「ありがと」
俺はそう言って光音の元を離れた。
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