第168話
「おい」
「あ、なんだおまっぶはっ!」
「な、なんだこのガキ!!」
俺は城崎さんを抑えつけていた男を殴り飛ばし、そのままもう一人の男を蹴り飛ばした。
「大丈夫城崎さん?」
「え? な、なんでここに島並さんが?」
「話はあと……とりあえず今は目の前のクソ野郎を殴り倒したい気分だ」
俺は城崎さんの前に立ち、黒ずくめの男立ちの方を睨む。
「いてて……なんだこのガキ!」
「どっから入りやがった!」
二人組は俺の方に持っていた拳銃の銃口を向ける。
先程のように叩き落とすためには間合いを詰める必要がある……。
しかし、相手は二人だ。
片方の拳銃をどうにかしても、もう片方の一人が俺を狙う。
同時に二人の行動を無力化出来れば問題は無いのだが……。
城崎さんを守りながらのこの状況では少し厳しいな。
「へへ、カッコよく登場したつもりかもしれないが、残念だったな」
「勢いに身を任せるのは若い証拠だが、浅はかだったな」
拳銃を持ちながらもう既に勝った気でいる二人。
まぁ、そう思うのも無理は無いだろう。
あっちは持つだけで優位に立てる武器である、拳銃を持っているのだ。
「泣いて謝るなら許してやったて良いんだぜぇ〜」
「おいおいやめてやれよ。面倒くせぇからさっさとぶっ殺しちまおうぜ」
そう言って二人組の片方は俺に向かって銃を撃とうとする。
しかし、その瞬間俺は足元にあった石を拳銃を向けてきた奴に向かって蹴飛ばした。
「いでっ!」
「フン!!」
「おい! てめぇ!!」
俺はそのまま拳銃を向けてきた片方の男を拘束し盾にし、もう片方の男に迫っていく。
「くそっ! 邪魔だどけ!!」
「は、離しやがれ!!」
俺はそのまま校則していた男をもう片方の男の方に蹴り飛ばす。
「いでっ!!」
「うわっ!」
体制を崩した男二人はそのまま地面に倒れた。
俺は二人の手を足で踏みつけ、拳銃を遠くに蹴飛ばす。
「ガキだと思って甘くみるなよ……」
「く、くそ……まさかこんなガキに……」
「相手がガキでも少しは警戒するべきだと思うぞ」
俺はそのまま二人の顔を殴った。
「うがっ!」
「あがっ!」
「よくもウチの門下生に手を出してくれたなぁ……」
「も、門下生? 一体何を……」
「城崎さん、この近くにロープか何か無いかな?」
「そ、それなら用務員さんが冬に使っている縄がそこに……」
「こいつらを縛るから持ってきてもらってもいいかな?」
「わ、わかりました!」
城崎さんはそう言って少し離れたところにある小屋にロープを取りに行った。
「さて、お前らの目的はなんだ?」
「誰が言うかよあぎゃぁぁぁ!!」
「まぁ言いたくないなら良いけど……この痛みに耐えられるなら」
「て、てめぇただのガキじゃねぇな……何者だ……」
「ガキだよ……知り合いの女の子がひどい目に合わされてるってだけで、取り乱して思わず出てきちまうんだから」
本当に嫌になる……もっと他の良い方法があったのかもしれない。
しかし、俺は感情に身を任せ後先を考えずに行動してしまうのは俺の悪いところだ。
俺は城崎さんの持ってきたロープで黒ずくめの男二人を縛って学校の陰に隠しておいた。
「これで良し」
「あ、あの……なんで島並さんが……」
「ちょっとね……それより大丈夫?」
「あ、えっと……あの……」
城崎さんはそう言いながら涙を流していた。
俺はそんな城崎さんの頭にそっと手を置く。
「怖かったな……泣いて良いんだぞ……」
「……うっ……私……私……」
城崎さんは大粒の涙を流しながら、俺に抱き着いてきた。
よほど怖かったのだろう。
体はまだわずかに震えていた。
「城崎さん、とりあえず君は学校を離れるんだ、異変に気が付いたこいつらの仲間がやってくるかもしれな」
「で、でも島並さんは!?」
「俺は……ちょっと仕事があるんだ」
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