第143話

「どうした? 急に大人しくなって、暑いのか?」


「ち、違いますよ! べ、別に何でもないです!」


「ん? なんだよ急に大声だして」


 今日のこいつはなんか変だな……まぁ、いつも変だしいつものことか。

 俺がそんな事を考えながら飯の続きを食べる。


「ごちそうさまでした、美味しかったです」


「うふふ、良かったわ、ゆっくりしてってね」


 俺と初白はキッチンから再び二階の俺の部屋に戻る。


「さて先輩、午後は何をします?」


「いや、だから帰れよ」


「えぇ〜どうせ帰ったって暇だし、先輩だってやることなくて暇でしょ?」


「だからってなんでお前なんかと……」


 俺がそう言いかけた瞬間、家のインターホンが鳴る音が聞こえた。

 誰だろうか?

 今日はやけに来客の多い日だ。

 そんな事を俺が考えていると、一階から母さんが俺を呼んできた。


「平斗! お客さんよぉ!」


 また俺に客?

 今度こそ高弥か?

 そんな事を考えながら玄関に降りていくと、そこに居たのは高弥ではなかった。

 玄関に居たのは私服姿の城崎さんだった。


「あれ? 城崎さんどうしたの?」


「突然すいません。じ、実は夏休みの課題でわからないところがあって……島並さんに教えて欲しいなぁ……って」


 城崎さんはそう言いながら、俺に参考書を見せて来る。

 見るとその問題は丁度夏休み前に授業で教わったものだっt。

 てか、流石レベルの高いお嬢様学校だな……俺らの学校の二年でやる課題を一年のしかも一学期にするなんて。


「あぁ、全然良いんだけど……」


「だけど?」


 あのアホさえ居なければ、部屋に上げてそのまま宿題を見てやるのだが……今日はあのアホが俺の部屋で漫画を呼んでくつろいでやがるしなぁ……。

 どうしようか……和室に通して和室で勉強を見ても良いけど、その間初白はどうしよう?


「あの……もしかしてお忙しかったですか?」


「あ、あぁいや……そうじゃないんだけど……」


 可愛い後輩の頼みを断るのもなんか嫌だしなぁ……どうしよう……。

 なんて事を俺が考えていると、二階から誰かが降りてくる音が聞こえる。


「先輩、一体どうし……って、あなたあの時の!」


「え? えっと……確か島並さんの学校の……え? な、なんでここに?」


 お互いを見てそういう初白と城崎さん。

 はぁ……まさか初白が二階から玄関に来るなんて……。

 こうなっては仕方がない、俺は二階の自分の部屋に城崎さんを通した。


「初白、悪いが今から俺は城崎さんに勉強を教えなくちゃならない、少し静かにしてろよ」


「はいはい、わかりましたよぉ〜」


「何膨れてんだよ?」


「べつにぃ〜」


 なんだこいつ?

 俺に構ってもらえなくて膨れてんのか?

 いや、ガキみたいな理由で膨れるなよ……。


「城崎さんそこに座って待ってて、今お茶持ってくるから」


「あ、すいません、ありがとうございます」


 俺はそう言って部屋を出て、お茶を取りに一階のキッチンに再び降りて行った。


「あら平斗、城崎さんも来たの?」


「あぁ、なんか宿題でわからないところがあるから教えて欲しいって」


「うふふ、平斗って以外とモテるのねぇ〜」


「え? そんな事無いけど?」


「うふふ、自覚が無いのは達が悪いわねぇ〜」


「母さんさっきから何を言ってるんだ?」


「なんでもないわよぉ〜ほら、早く戻らないと二人が待ってるわよぉ〜」


「あ、あぁ……」


 何だったのだろうか、母さんさっきよりもなんかニヤニヤしていたような……。

 まぁ良いか、とにかく早く城崎さんに勉強を教えよう。

 そうしないと初白が後々うるさそうだ。

 まぁ、城崎さんには悪いけど、今日は早めに帰ってもらおう。

 俺はそんな事を考えながら、部屋に戻った。

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