第102話
じりじりとにじり寄って来る男たち。
俺はため息を吐き、男たちの方に近づいていく。
「岡崎、高弥……邪魔だら下がっててくれ俺がヤル」
「頼もしいねぇ……それじゃあピンチになったら俺は出ていくわ」
「お前の出番なんて一生来ねぇよ、良いからそこで見てろ」
「わーったよ、まぁ俺もやる事あるから」
そう言って岡崎と高弥は数歩後ろに下がった。
「やる事ってなんですか? 変な動きしたら僕が貴方を叩きのめしますよ?」
「おいおい色男、お前にそんな力あるのか?」
「岡崎、言っておくけど高弥は強いぞ、一回やった俺がいうんだから間違いない」
俺は一応岡崎のためを思いそう忠告しておく。
出会って間もない頃、一度俺は高弥と喧嘩をしたことがあった。
その時はギリギリ勝てたが、本当にギリギリだったので強く印象に残っている。
「へぇ、顔も良くて喧嘩も強いなんて完全に俺らの上位互換じゃん」
「それは俺も同意してやる」
俺たちがそんな話をしていると、そろそろ我慢の限界だったのか弓島が叫んだ。
「ごちゃごちゃ喋ってんじゃねぇ!! お前らさっさとやっちまえ!!」
「おうよ!」
「へへ、三人ぽっち楽勝だぜ!」
弓島の掛け声で男たちは俺を襲ってきた。
「少しは学習しろよ……はっ!」
「ぐほっ!」
俺は向かってきた男たちの腹に向かって拳をぶつけていく。
一人、二人と倒れたところで男たちは手を止め、何か打ち合わせ始めた。
どうやらただぶつかってくるだけの馬鹿ではなさそうだ。
「おら!」
「ふん! 結局変わってねぇのかよ」
「いや……隙あり!」
「あ?」
またしても向かってきた男を殴り飛ばすと、俺は背後に回っていたもう一人の男に腕を掴まれ拘束されてしまった。
「おいいまだ! そこの鉄パイプでタコ殴りにしてやれ!」
「なるほど……少しは考えたな……でも甘いぞっ!」
「うぉ! あがっ!!」
俺は背後で俺の腕掴み拘束していた奴の腰を掴み、そのまま持ち上げてそのままそいつを下敷きにして後ろに倒れる。
「な、なんだこいつ!」
「本当に人間かよ!」
「うろたえるな! 一斉にかかればこいつだって!」
「「「「うぉぉぉぉぉぉ!!!」」」」
「……だから少しは勉強しろよ」
俺は向かってきた男たちを一人また一人と地面に寝かせていく。
そして気が付けばそこにいた二十人の男のうち、立っているのは目の前の弓島だけになった。
「意外と二十人ってあっという間だな」
「おいおい、マジでやっちまったのかよ、やっぱりお前やべーな」
「平斗が負けるわけないだろ? それよりさっきからスマホを構えて何をしてるんだ? 変な事をしたらわかってるんだろうな?」
「バカかお前らも知ってるだろ、こういう証拠が大事だって事をよ……」
「ま、まぁそれはそうだけど……」
「わかったならお前も少し手伝え」
「え?」
後ろで高弥と岡崎が何かをしている。
しかし、もうこれで終わりか……あれだけ前情報があってこれじゃあなんだか拍子抜けだな。
「流石にやるな……」
「おいおい、まさかこれで終わりじゃねぇだろうな?」
「あぁ、安心しろ。もちろんこれだけじゃねぇ……」
弓島はそう言うと立ち上がり、笑いながら俺の元に歩いてきた。
「こいつらはただの前座だ、今からが本番だ」
「それは楽しみだ……少しは楽しませてくれるんだろうな?」
「あぁ……きっと喜ぶぜぇ……なんたって……後輩君たちも一緒だからなぁ……」
弓島はそう言うと、部屋の中にあった扉を開ける。
そこにはボロボロになった大島と悟が縛られた状態で入れられていた。
「……お前……約束を破ったな……」
「あぁ? 約束? 忘れてなぁ?」
「そうか……なら……思い出させてやる!!」
そう言って俺は自分の拳を弓島の顔面に向かってぶつける。
しかし、その俺の拳を弓島は片手で受け止める。
「なに……」
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