第99話
「俺も初耳だな、その話は」
「まぁ、数カ月に一回のペースだったし、中学卒業してからはあんまりあってなかったからな」
「……親父そんなことまで……」
岡崎は何か考え込むような表情をした後、俺の方を見てゆっくり話す。
「それで、お前はどうする? 久しぶりに見たムカつく俺の顔をまたぶん殴るか?」
「……そう言うお前はどうなんだ? わざわざここに来たってことは、俺に何か話が合ったんじゃないのか?」
「手伝ってやるよ」
「は?」
俺は思わずそんな間の抜けた声を出してしまった。
何を言ってんだこの元悪役さんは……。
「俺だって勝手に名前を使われてイライラしてんだ、手を貸してやる」
「手を貸してやるって……お前俺より弱いだろ?」
「う、うるせぇな! 力になってやるって言ってんだよ!」
「足手まといが増えてもなぁ……」
「お、おまえなぁ……相変わらずムカつくやつだな」
「俺とお前の仲なんてそんな物だろ? そう言うってことは黒幕がどこに居るのか知ってるんだろな?」
「あぁ、あんまり俺を舐めるなよ、これでも高校時代は不良の頭だったんだぞ」
「なら、案内してもらおうか」
「な……平斗! こんな奴を信じるのか! 君をハメた男だぞ!」
俺が岡崎にそう言った瞬間、素早くそういったの後ろの高弥だった。
高弥は岡崎を睨みながら、岡崎に向かって言う。
「もう村谷の心配も無いなら、君はもう関わるべきじゃない!」
高弥の言う事は最もだ、岡崎が黒幕ではなく岡崎を語った偽物が俺を読んでいる以上、もうこの件に首を突っ込む必要はないのかもしれない。
しかし、岡崎の名を語り俺に用事があるという事は何かよからぬ事をそいつは考えているのかもしれない。
「前も言ったが、もう俺は強制的に首を突っ込んじまってるんだ、さっさと行くぞ」
「……君は危ないことに首を突っ込みすぎだよ」
「その度になんとかしてきたろ? 岡崎案内しろ」
「あぁ良いだろう、行くぞ」
俺はと高弥は岡崎に連れられ、今回の事件の黒幕の元に急いだ。
*
学校を出た私たちは四人でゲームセンターまでの道を歩いていた。
「兄貴も誘おうと思ったのに」
「まさかこんな早くに帰ってるとはなぁ」
ゲームセンターに行くのなら、先輩二人も誘おうという事になったのだが、残念ながら真木先輩も島並先輩もすでに教室にはいなかった。
「まぁ、二人も忙しいんでしょ? 島並先輩は道場の手伝いだってあるし」
香奈の言葉を聞き、大島君と悟君は深いため息を吐く。
この二人本当に島並先輩の事好きだなぁ……まぁ尊敬してるんだろうけど。
「まぁ良いか、どうせ明後日には兄貴の道場に行けるし!」
「迷惑かけるんじゃないわよ、馬鹿二人」
「だってよ悟」
「二人って言ってただろうが!」
「あぁ? なんだと!」
「お前こそなんだ!」
「ぁぁぁぁ! もういい加減にして! 早く行くわよ!」
いつも通りの日常、大島君や悟君の様子を見ながら私がそんな事を考えていると、前の方から大学生と思しき一段が歩いてくるのが見えた。
「ね、ねぇ……なんか前の人達私達を見てない?」
「え? なっ……ま、まさか!!」
私がそう言った瞬間、悟君と香奈が驚いた表情で前方の大学生を見た。
「大島、やばいぞ……」
「悟……もしかしてと思うが、あいつらがお前の先輩たちか?」
「あぁ……もうあれ以来縁は切ったつもりだったんだが……」
「コッチに向かってきてるぞ」
「嫌な予感がする……逃げるぞ! 俺たちじゃどうあがいても勝てない」
「わかった……と言いたいところだが、後ろからも来たぞ」
「何!?」
二人がそう話している間にも前方と後方から柄の悪い大学生が近づいてくる。
「よぉ……久しぶりだなぁ……悟」
「せ、先輩……」
雰囲気でわかった。
この先輩が島並先輩の言っていた、この間の事件で香奈達を人質にした先輩。
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