モテるのは俺の友達

第93話

「っち！　外した」

「お前、俺の事先輩だって知ってる？」

「あ、思い出しました！」

「んで、なんなんだよ……俺はこれから用事があるから手短に頼むぞ」

「いやぁ、真木先輩にどうやって告白すれば良いものかと」

「そんなもん、勝手にどっか呼び出して勝手に告白でもなんでもしろよ」

「そんな事を言わないで協力して下さいよぉ～」

「いや、んな事言われても俺の出来る事なんてもう何もねーよ！　さっさと告白でもなんでもしてこい！」

　初白の事に構ってる時間は正直無い、それ以上に気がかりな事があるから早く帰りたい。

「協力してくれるって言ったのは先輩でしょ！」

「ま、まぁそうだが……後は本当に告るだけだろ？　俺にこれ以上何をしろと？」

「えっと……じゃ、じゃあ練習台になって下さいよ！」

「練習台？」

「はい、私が島並先輩を真木先輩だと思って告白しますので、それを評価して下さい！！」

「いや、んな事言われても告白の良し悪しなんてわかんねーよ」

「良いから、付き合って下さいよ！　どうせ暇でしょ！」

「帰る」

「あぁ、すいませんすいません！　謝りますから練習付き合って下さい！！」

　こいつは相変わらずだな……まぁでも、あんな事があっても元気なのは少し安心したな……。

「仕方ねーな、悪いが今日はマジで用事があるから一回だけだぞ」

「は、はい……よろしくお願いします」

＊

　私は学校の屋上で島並先輩に告白の練習相手をして貰い、真木先輩に告白する練習をしようとしていた。

「じゃ、じゃあ行きますよ」

「おう、さっさとしろ」

「そんなサクッと告白出来るわけ無いじゃないですか！！　少し待って下さい！」

　まったく、先輩はデリカシーが無いんだから……。

　よし、相手はどうせ島並先輩だし、あんまり緊張しないで言えると思うし、ここは存分に練習させて貰おう。

　そう思い、私が顔を上げ島並先輩の顔を見た瞬間、私は自分の心臓の動きがどんどん激しくなっている事に気がついた。

　あれ？

　なんで？

　どうして？

　相手はたかが島並先輩だよ？

　真木先輩よりも顔も悪いし、私の事を雑に扱う島並先輩だよ？　

　なんで私……こんなに緊張してるの？

「あ……あの……その……」

「早くしろよ、どうせ練習だろ」

「わ、分かってますよ！　えっと……あの……す……好き……で……」

「いや、小さすぎて聞こえねーよ」

「う、うるさいですねぇ！　本番じゃないんだから良いでしょ！！」

「いや、本番はもっと緊張するんだからここでちゃんと言えなきゃだめだろ」

　ごもっともの答え過ぎて何も言い返せない……。

　ま、まさか島並先輩程度でここまで緊張するなんて……真木先輩相手だったら私、心臓が止まるんじゃないの？

　告白がここまで緊張する物だったなんて……はぁ……私大丈夫かな？

「じゃあ、俺はもう帰るぞ」

「え？　本当に一回だけですか！」

「だから、俺は忙しいんだって！　じゃあな」

「あ、ちょっと！　せめて一緒に帰りましょうよ！　帰り道に相談に乗って下さい！」

「面倒臭ぇな……」

　島並先輩は嫌がりながらも私と一緒に学校から出て帰り道を歩き始めた。

　私は道中、先輩にどうやったら告白を成功させられるかを聞いていた。

「で、どうしたら良いと思います？」

「知るか、俺だって告白なんてしたことねーんだ」

「じゃあ、先輩だったらどんな告白されたら、その子にときめきますか？」

「あぁ……てか、どんなに可愛い子でもその子の事を知らなかったらときめかねーよ」

「え？　私みたいな美少女でも」

「あーそうだねーはいはい」

「その適当なあしらいやめてもらえます？　可愛いでしょ！　私！」

「そうなんじゃない……ふっ」

「あ、今笑いましたよね！？　なんですかその笑い！！」