第17話
「そんじゃ、自分はこれで! どうも御馳走様でした!」
「気を付けて帰るんだぞ、竹内」
「事故にあわないようにね」
「竹内さん、捕まらないでくださいね、悪人面なんですから」
「おい平斗、どういう意味だ?」
食事を終え、夜の八時を少し過ぎた時間に竹内さんは帰って行った。
竹内さんが帰った後、俺は自分の部屋に戻り自分の時間を過ごしていた。
今頃、高弥は初白に俺の過去の事を話しているのだろうか?
まぁ、高弥の話を聞いて初白が俺をどう思ったとしても、あんまり支障はないな……。
*
僕は家に帰り、食事を済ませて自室で自分の時間を過ごしていた。
「九時に電話するって言ったし……まだ少し時間あるな」
夜は初白さんに電話をする予定があるが、まだ少し時間がある。
学校からの課題も終わったし、スマホでも見て時間をつぶそうか……。
僕は机の上に置いて置いたスマホを手に取り、アプリでネットのニュースを見始める。
ニュースを見ながら、僕はふと考えた。
「考えてみれば……平斗は初白さんをよく知ってるかもしれないけど……僕は全然知らないな……」
それなのに、簡単に平斗の過去の真実を簡単に話してよいのだろうか?
ファーストフード店では彼女の言葉につい浮かれてしまい、教えるなんて簡単に言ってしまったが……そんな簡単に話ていいのだろうか?
あの真実を平斗が黙っているのにも理由がある。
この真実をあまりおおやけにしたくないと平斗も言っていたし……こんな簡単に初白さんに話すのはまずいだろうか?
「あ! いつの間にか九時に!」
考えてる間に約束の時間になってしまった。
僕はとりあえず初白さんに電話をかける。
三回コールが鳴った後に初白さんは電話に出た。
『も、もしもし!』
「もしもし? 初白さん?」
『は、はい……そうです……こ、こんばんわ』
「こんばんわ……さっそくなんだけど……」
『は、はい……島波先輩の過去の話を教えてくれるって……』
「そのことなんだけど……ごめん、まだ君には真実を話せない」
『え!? ど、どうしてですか?』
「……僕は正直君を全然知らない、平斗のこの話は結構その……重大な話なんだ……」
『そ、そうなんですか?』
「あぁ……だから……仲良くなろう」
『ふぇ!? な、なんですか! 急に!』
「そのまんまの意味だよ、僕は初白さんと仲良くしたいからね……だから話す時が来たら話すよ」
この言葉は俺の本心だ。
初白さんは平斗と普通に接してくれる女の子だ。
もしかしたら彼女がきっかけで、平斗の周囲からの評価が変わるかもしれない。
だから俺は彼女と仲良くなりたかった。
『な、なるほど……それほど島並先輩の過去が重たい物だってことがわかりました……多分、私なんかが軽々しく聞いちゃいけないんですよね?』
「あぁ……平斗は……一回地獄を見てるからね……」
『地獄?』
「うん……で、さっそくなんだけど、明日は暇かな?」
『え? ま、まぁ……ひ、暇です……』
「じゃあ、一緒に帰らないかい?」
『え……えぇ!? い、いいんですか!?』
「良いも何も、誘ってるのは僕だよ? それに初白さんの事をもっと知りたいし」
彼女が信頼に値する女の子なのかどうか知る必要がある。
だから僕は彼女との距離を縮めようと考えた。
*
『じゃあ、そろそろ僕はこれで、また明日学校で』
「は、はい! お、お休みなさい……」
私は通話が終わった後、自分のスマホの真木先輩の連絡帳を見ながら、先ほど起こった出来事を整理していた。
まず、残念ながら島並先輩の噂については何もわからなかった。
そして、真木先輩から一緒に帰ろうと誘われた……。
来たわよね!
これは絶対来たわよね!!
絶対私に気があるわよね!
真木先輩絶対私が気になってるわよね!!
「うふ……うふふふふ……」
私は嬉しくて、思わずベッドの上でゴロゴロ転がり回った。
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