出会いⅣ
その少年、凶暴につき。
「うるせえんだよ」
大の大人を一撃で昏倒させる力、同世代など相手にもならない。性格は傲慢で誇り高く、下働きなどを強要すればすぐに力でものをいう。当然、幾度も売られ、その度に問題を起こし、また別の場所に売られた。
少年の脳裏に焼き付いて離れない悪夢。それが少年を駆り立てる。力の化身、近づくことなど恐れ多い。紅蓮の劫火の中、君臨する姿が拭えない。
遠くで、豆粒のようなサイズで、見ただけなのに――
力で塗り潰された人生。
素晴らしい人生だった。満ち足りた環境だった。食うに困らず、皆が自分を尊重してくれて、自分もまたその信に報いようと皆を愛した。
楽園だったのだ。
「お、お前、誰に向かって――」
「それは、こっちのセリフだ」
引き摺り下ろされ、今は地の底。流れ流れ、もはやここがどこかもわからない。わからないし、興味もない。ただ、わかることは一つ。
力こそ正義なのだ。暴力こそが正しいのだ。
「俺を、誰だと思っている!?」
あの炎が頭から消えてくれない。恐怖と畏怖、二つの感情が少年を歪め、そしてひとところに留まることを失わせる。粗暴で傲慢な少年を受け入れてくれる場所などなく、目を引く体躯につられ購入するも、すぐに別の人買いに売られることを繰り返す。恵まれた体で半端な我を通す内に、気づけば東の果て。
七王国中堅国家アルカディア。
その身に流れる血が、超大国の王の血を継ぐ自負が、国を知る前からアルカディアに対して侮りの感情を芽生えさせていた。
大した人間などいない。しかもここは地の底。
あの楽園からは程遠い、地獄である。
○
奴隷とは誰かに権利を買われている者を指す。
最もポピュラーな奴隷は、市民以上の個人に所有されている者である。彼らの全権はその飼い主にあり、如何様に扱おうとも基本的に問題にはならない。
もちろん、彼らは家事や仕事のサポートなど、幅広く使える労働力であるため牛馬のように働かされることはあっても、玩んで殺されるようなことは稀。それに裕福な家庭であればともかく、大半の者にとって奴隷は安い買い物ではない。
だからこそ、人によっては厚遇されるし、市民になったは良いが、奴隷時代の方がゆとりある暮らしだった、という者も少なくはない。
大半はひもじいながらも衣食住に不自由はなく、飢えて死ぬ者はそれほど多くはなかった。高い値段で買った労働力を容易く死なせる者はそういないのだ。
とはいえ、人としての尊厳が踏み躙られていることに変わりはなく、扱いとしては労働力、牧羊犬や牛馬と同じ枠となるため、望んでなる者はいない。
大概は親がそうであったか、何か失敗して自らの権利を売るほどに困窮した者か、どんな理由があるにせよ、一度落ちれば――
這い上がれる者は、少ない。
もう一つ、個人ではなく商会や団体に権利を保持されている奴隷がいる。身分の扱いとしては同じだが、個人所有よりも仕事の幅が広い傾向にあり、所属する団体によるが自分に合った仕事を割り振られるケースが多い。
大概は人買いが権利を持ち、各種商会等々、労働力として奴隷を派遣するスタイルである。個人所有に比べ、住む場所など多少の融通は利くが、逆に言えばそう言ったものが保証されていない環境である可能性も少なくはない。
本来労働力に対し支払われる対価を、人買いが継続的に懐に収めることが出来るため、別の人買いから権利だけを大量に保持し、アガリを貪る人買いも存在する。
ある意味で買い切りの個人所有よりも下の存在、最底辺とも言える立場。
大体は売れ残った下等な人物か、売り切りよりも価値を創出できる上等な人物か、二極に分かれるのだが――
まあこうして、石を運ぶだけの仕事をしている者は、前者である。
「いやー、カイルは力持ちだねえ」
「呼び捨てにしてんじゃねえよ。黒髪野郎」
「あはは、アルカディアには結構いるけどね、黒髪」
「東の果てだからな」
「僕からしたら世界の中心だけどなぁ」
「モノを知らねえ野郎だな、やせっぽっち」
「なにおう」
同じ現場で働く少年に対し、カイ・エル・エリク・グレヴィリウス、今はカイルと名乗る少年は顔を歪める。とにかく馴れ馴れしく、何を言っても近づいてくるし、暴力を振るおうとすると、遠くから殺気が飛んでくるのだ。
「…………」
同じく黒髪ながら、肌の色が大きく異なる少女。黒髪の少年が喧嘩腰になって、これ幸いと殴ろうとしたら毎度これである。
(このやせっぽっちは気づいてねえんだろうな)
ぷんぷんと頬を膨らませる少年に、カイルはため息をつく。何度もぶん殴りたいと思ったが、どうにもあの見張りがいるとやり辛い。こうして暴力を向けようとして、初めて彼女の存在を感知できるのだ。逆に言えば、普段は気配を察知することが出来ていないということ。王族として特別な訓練を受けている己が、である。
(なんでこんな奴に、あんなのがまとわりついてるんだよ)
あの少女の、冷たい眼が肝を冷やす。いつでも殺せる、暗殺者のような感情のない眼。本職を見たことがあるわけではないが、そうとしか形容が出来ない相手であった。この黒髪の少年自体は、何の取り柄もない存在だが。
「っていうかさ、僕にはやせっぽっちじゃなくてアルって名前がちゃんとあるんだよ。ねえさんがつけてくれたんだ。かっこいいだろ」
「短いし手抜きだろ」
「なにおう!」
いつもなら殴って終わるのに、あの少女のせいで殴ることも出来ない歯がゆさ。いっそ、先にあっちを潰してしまおうか、この時はそんなことばかり考えていた。
○
カイルはその団体が所属する奴隷に分け与えている宿舎、という体のタコ部屋、のような場所でくつろいでいた。簡素極まる食事、それを狭苦しい場所で食べるのだが、彼の周囲にはぽっかりと空間が出来ていた。
皆、カイルを避けているのだ。
ここに来てすぐ、ここのボスを自称する男に従うことを強要され、逆に男をぶちのめしたことで、晴れて腫物扱いとなったのだ。
馴れ合いよりも気楽でいい、とカイルは思う。
味のしない水のようなスープに舌包みを打ちながら、カイルは苦い笑みを浮かべる。こんなクソみたいな環境で、クソほどにも味がしないスープを貪らねば生きていけない立場。笑えるほどに堕ちた、己の無様さ。
(母上、何故、私はこのような場所にいるのでしょうか。何故、こんな想いをしてまで、生きねばならないのでしょうか)
最近、死にたくて仕方がない。生きている意味を見出せず、こうして無様に落ち続けるだけならばいっそ、あの炎に焼かれて死んだ方がマシだった。
あれは怖くて、とても怖くて、近寄り難いが――
(もう少し、大きければ、あの戦場で死ねたのかな? 戦士として華々しく。私は、そっちの方が良かったです。父上、母上)
あれはとても強かったから。
あの炎に身を投じ、焼き尽くされるのはある意味、戦士の誉れなのだろう。
少年は、半笑いで、そう思う。
○
「とりあえず死んで」
「あン?」
夜道を歩いていると、ナイフ片手に首を狙った一撃が奔る。
「……まさか、先手を取られるとはな」
「そっちが先に売ってきた。私は、買っただけ」
「くく、その通りだ」
つう、と垂れる血を拭い、カイルは獰猛な笑みを浮かべて無表情の少女、ファヴェーラに握り拳を向ける。当たれば、殺せる。
同世代相手、加減をせずに拳を振るった経験はないが、いつも思っていた。簡単に壊せるな、と。今日は、それを実行するだけで良い。
「身分無しのネズミが一匹、死ぬだけ、だな!」
思いっきり振るった拳は、空を切る。
「死なば、同じ」
信じ難い動きに、カイルは眼を見開いた。咄嗟に後方へ飛びのかねば、今の一閃で喉笛を切り裂かれていた。カイルはごくりとつばを飲む。
「私の方が、強い」
カイルは速さ、というものにあまり注目したことがなかった。それもそのはず、筋量で勝る己よりも瞬発力で勝る者など存在しない。それが道理である。彼にとって他者は力強き者であれば自らよりも速く、弱き者であれば遅い、それだけであった。そのシンプルな図式が今、崩れ去る。力弱くも疾風の如き存在にて。
「く、そ!?」
決して捉えられない速さではない。単純に直線距離でよーいドン、であればカイルの方が速いだろう。ゆえに、カイルの理解が追いつかない。
もし、あの楽園で、コーバスが本気を出して剣の何たるかをしっかり教えていれば、対応可能だったかもしれない。だが、時すでに遅し。急激な緩急に翻弄され、目が惑い、ついていけていない状況で、生き残ることなど――
「はは、俺が、女に殺されるのかよ」
あまりにも笑える状況であろう。神童と持て囃された自分が、身分も持たない少女に翻弄され、今、命を奪われんとしているのだ。
父も母も、想像すら出来なかった終わり。
今の自分にはある意味、相応しい――
「じゃあ、そろそろ終わり」
たん、と力感なく浮かぶ少女。月に照らされた少女を見て、カイルは思う。
この子に殺されるのも、悪くないかな、と。
「何で笑う?」
「……ああ、今俺、笑ってんのか」
喉元にナイフを突きつけられ、抵抗虚しく少女に生殺与奪を握られている状況。一応、母親の手前抵抗したが、相手の方が場慣れしている。
訓練しかしたことがない自分が敵う相手ではない。
「……やめる」
「は?」
「アルの邪魔になりそうだから殺そうと思ったけど、あなた、死んでるから」
「いや、生きてんだろ!? ピンピンしてるぜ!」
「ちょっと前の私と同じ。アルも馬鹿」
「何の話だよ!?」
「放っておけないお人好し。私はあなたが嫌いだけど、アルにそれを期待しても無理。少し、様子見。今ならいつでも殺せるって分かったから」
そのまま、ひょいと夜闇に消えていく少女。
ようやく終わったと思ったのに、カイルは無言で、立ち尽くす。
○
終わりが遠のいたと思えば、思いも寄らぬ所から現れるのが世の常。
「は、はは。ったく、無様、だな。畜生」
唐突にそれはやってきた。
まとわりついてくるアルを払いのけ、一人裏路地から宿舎に戻っている所を急襲されたのだ。一人一人は大したことない、弱者の群れ。
だが、寄り集まり道具を持てば、彼らも化ける。
「へへ。ざまあねえな、カイル。お前が悪いんだぜ? お前が俺に従っていれば、俺もこんなことしなくて済んだんだ。面子ってのが、あるからよォ」
その中心にいたのは同じ団体に所属する男、ボス面をしてカイルをゆすり、逆にのされた男であった。取り巻きは、奴隷からも外れたならず者たち。
立ち上がろうとするカイルを、一人が棒きれで叩き伏せる。
「無駄だって。こいつら、めちゃ強いからなァ。ほんと、人付き合いってのは大事だねえ。友達はさ、大事にしないといけないだろォ?」
友達って面かよ、とカイルは笑う。
その顔が気に障ったのか、男がカイルの顔を蹴る。
「個人所有の奴隷が死んだら、そこそこ一大事だけどな。俺らみたいなのが死んでも、まあ代わりはいるもんだ。今日は、生きて帰れると思うなよ?」
こんなことなら土下座してでも彼女に殺して貰うんだった、とカイルは後悔する。こんなどうでもいい連中に囲まれて、リンチされて死ぬよりも、華麗にナイフで殺された方が気持ちよかったはず。もはや、手遅れだが。
「なあ、そいつぶっ殺してもいいんだろ? 俺にやらせてくれ」
剣を引き抜いたならず者を見て、カイルは反吐が出る思いであった。あんなにも美しくない立ち姿はそうある者ではない。こうやって底辺を見て思う、あそこにいた者は皆、基本を身に着けた戦士だったのだな、と。
(あーあ、俺、何のために生まれて、死ぬんだろ)
ならず者が振り被る。まずは腕、といったところだろうか。
まあ何でもいい。
もう、終わりなのだから――
「あべじ!?」
だが、その剣が振り下ろされることはなかった。
「お見事」
「ふふーん。ねえさん直伝の投石だい!」
ならず者が白目を剥いて倒れ伏す。
皆が呆然と、声のした方に顔を向けると、そこにはやせっぽっちの少年がいた。叩けばへし折れそうな、殴れば一撃で殺せそうなひ弱さだが。
「よっと」
「大当たり」
その投石は、普通に殺傷力を秘めていた。
「あぎ!?」
血を噴いて別の男が倒れる。
「ま、まずいぞ。あいつ、アルレットの弟だ!」
「な、なんだと!? て、てめえ、ふざけんなよ。聞いてねえぞ、あいつら姉弟が絡んでるんなら、話は全然、別なんだよ!」
「え、でも、あんなガキ」
「クソ、これだから他所から来たやつは何年経ってもダメなんだよ。いいか、目ん玉ついてんならあいつの立ち位置を見ろ。上、取られてんだよ!」
高所の利、それは戦いの原則である。
どれだけ屈強な兵士でも、その刃が届かぬ場所から一方的に攻撃されたなら、ただの的でしかない。少し、争いごとに長けた者であれば誰もが知っていること。それでも実体験しなければ、その痛みを知ることは難しい。
そして彼らの大半は、すでに知る者であった。
「じゃんじゃん投げるよー」
屋根の上に立つアルは振り被る。
「ちょ、待て、アル! 降参だ、参った!」
「それは駄目だよ、ボウスン」
アルは構えを解かず、
「そいつ、僕の友達なんだ」
思いっ切り躊躇なく石をぶん投げた。カイルの近くに立つ、先ほど棒でカイルを叩いた男の、棒がそれでへし折れた。ありえない精度である。
そしてもっとありえないのは――
「逃げろ!」
石の、速さ。元来、地肩というのは生まれ持ったものが大きいとされる。どれだけ筋肉をつけても飛距離が伸びるわけではない。もちろん、ゼロではないが。
問題はこのやせっぽっちの少年、凄まじく地肩が強い。
まあ厳密にはこの姉弟、であるが。
「で、でも、何とか屋根によじ登って――」
「そうしようとしたやつが無様に顔面に石めり込まされて、もの食えなくなって死んだ話するか? 俺は今、そんな話してる余裕はねえんだよ!」
「あ、あんなガキに」
「あんなガキでもこの辺に長く住んでるんだ。牙の一つや二つ、誰だって持ってんだよ。クソが、あいつ相手じゃ追いかけっこしても割に合わねえ」
ボウスン、と呼ばれたならず者のリーダーはとにかく退け、と皆に叫ぶ。それに従わぬ者などここにはいない。あのやせっぽっちの少年が、この地獄で身に着けた抑止力である。力を持たねば奪われるだけ。
そんな世界に、彼は生まれた瞬間から、そこに在る。
「…………」
カイルは、唖然としてその光景を見ていた。
ひねれば殺せる、と思っていた少年が秘めていた牙。屈強な己を囲み、下した群れをいともたやすく蹴散らす力。投石という技術。
何よりも、彼は、というよりもこの姉弟は絶対に有利な位置取りをして、リスクを取らぬ立ち回りをすることで有名だった。ゆえに、この貧民街で彼らに手を出す者はそういない。身を守る術に砕かれた者を知るがゆえ。
「あっはっはっは! 正義は勝ーつ!」
「アル、天才」
「まあね。僕はねえさんの騎士になる男だし」
「投石じゃ騎士にはなれないと思う」
「なんだとー!」
カイルは笑顔の少年を見つめる。自分の力では対処できなかった群れを、知恵と技術でコテンパンにしたやせっぽっちの少年を見て、何かが崩れ去る。
あの炎は、本当に強かったのだろうか、と。
「ダメだよ、カイル。あんな連中に絡まれているようじゃ、まだまだ下町慣れしてないね。僕が教えてあげるよ、この辺の歩き方」
「アルのは大体アルレットの受け売り」
「……う、売ったもん勝ちだい」
アルがカイルに手を差し出す。あれほど邪険にしたのに、この少年は出会った時から変わらず手を差し出してくるのだ。
「……なんでだよ」
死んだと思った。終わったと思った。
ある意味自分にお似合いな終わりだと、思っていたのだ。
一人寂しく、死ぬ。
それが結末だと思っていたのに。
「僕ら友達じゃないか。友達はさ、守りあうものだろ」
なんでそんな自分に――
「……なんで俺なんだ?」
「おっきいから」
「なんじゃそりゃ」
「あはは。大きくて強そうだし、友達になったら長く一緒にいられそうだからね。ここ、あんまり子どもは長生きしないから」
その乾いた笑みには、己の知らない友達がいて、何かあっていなくなった厚みが込められていた。ここは楽園じゃない。そんなの誰でもわかっている。
それでも必死に生きてきた厚みが、目の前に広がっていた。
「まあ、友達ってのはソーケイだったね。でも、せっかく会ったんだし、いつかはそうなりたいんだ。だからここの裏技とかいろいろ教えてあげるよ」
生きる。ただそれだけのこともここでは難しい。
「そしてゆくゆくは友達になろう!」
「別に、私はアルだけでいい」
「いやいや、カイルがいたら絶対に面白いって」
「そうは思わない」
自分はきっと恵まれていた。恵まれ過ぎていた。ここにいるのは同じ人間で、王族に生まれようが奴隷に生まれようが、ただどこにいるかの違いでしかない。上も下もない。そんなこと、こんなタイミングで知ることになろうとは。
「……悪かったな、邪険にして」
「ジャケン、ってなに?」
「……馬鹿にして悪かったな、って話だよ。このやせっぽっち!」
「あ、恩人に向かってなんて口を。こんにゃろ、石つめてやる!」
「手伝う」
「あ、おいこら、二人は卑怯だぞ!」
「「ここではそれ、誉め言葉」」
「何て場所だ!?」
カイ・エル・エリク・グレヴィリウスは、本当に、本当に、久方ぶりの笑みを、自然と浮かべていた。あの日以来、失ったものであったが――
ここは楽園ではない。そんなことは誰にもわかっている。
彼らは尊厳を踏みにじられ、人扱いされていない。そんなこともわかっている。
だが、彼らは人だった。
今更、少年はそれを知り、ここは楽園ではないが、地獄でもないな、と思った。みんな違う人間で、ここもグレヴィリウスとは違う場所だけど。ここにいるのは同じ人間で、場所は違えど地続き、空だってほら、繋がっている。
何処にも線なんてない。そう見えていた、だけだった。
力にも色々な種類がある。それもまた、今更、知った。
もう少しだけ生きてみよう、彼らのおかげでそう思えた。
だから――
「……まあ、弱そうだし守ってやるよ」
「えー、僕に守られといてそれ言っちゃうのー?」
「うるせえ」
これは一生ものだな、と少年は思ったのだ。
それに――
「あ、アル、おかえりなさい」
「ひゅ!?」
「あ、ねえさんただいまー!」
「あれ、その大きな子は?」
「こいつはねえ、友達の――」
「カイルです! よろしくお願いします!」
「ふふ、よろしくね」
「……な、なんか急に元気になった」
「助べえ」
もしかしたらここも楽園かもしれない、そう、思ったから――
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