第2話 「悪霊に憑かれた男」
ここ数日、何だか身体が怠い気がする?
会社の健康診断を受けたのは3週間ぐらい前だったが何も異常な箇所は無かったはずだ・・・
そう思って検査結果が書かれた用紙を探し出すとを通してやっと安心することが出来た。
今日は彼女と久し振りのデート!
付き合い始めてもう5年になるが出会った頃のまま、彼女とは未だにキスさえも交わしたことが無い
そんな状況に成りかけたことはあるのだが、俺にそんな勇気が無かっただけでお互いに極めて純粋な愛情を持ち合っている。
仲の良い恋人関係である!
俺は鏡の前に立つとにっこりと微笑んでみた・・・
自分が微笑む姿を鏡で映し出すと意外に気持ち悪いもので吹き出してしまいそうになった俺は慌てて視線を避けた。
そう言えば彼女、誰かに監視されてるような気がして怖いって話してたけど大丈夫かなぁ?
取り敢えず今日は彼女と2人で警察に行って相談することにしたんだが俺も何となくだけど誰かに見られてるような気がして気味悪いのだが・・・
そんなことを色々と考えながらチラッと鏡を見た瞬間、俺とは違う誰かが鏡に映ったように感じた!
ほんの一瞬だったが真っ青に変色し、血まみれの顔はまるで映画に出て来るようなゾンビみたいだった。
今のは俺の目の錯覚か!?
信じたくない俺は無理やり自分の心にそう言い聞かせようとしたがもう一度、鏡の方を見る勇気など無かった。
もしかして幽霊みたいな何かに憑かれて身体が怠いのか?
心霊特集か何かのテレビ放送で観た記憶があるぞ。
俺も明日、彼女と一緒に警察で相談してみるか!?
いや、落ち着け・・・落ち着くんだ!
何とかパニックに陥るのだけ逃れた俺はインスタントコーヒーをコップに入れるとポットからお湯を注ぎ飲もうとするが、熱いのと身体が震えている為に上手く飲むことが出来なかった。
飲むことを諦めた俺は彼女との待ち合わせ場所に向かう為に服を着替え、出掛ける支度を始めた
動き出すと同時に恐怖心も徐々に沈静化していく
玄関のドアを開けるとまるで風が吹き抜けるみたいに隙間から外へ流れ出て行ったので窓でも開けたままだったかと部屋の中に戻って確かめたが開いてはいなかった・・・
俺はドアを閉めて歩き出そうとしたが鍵を掛け忘れていたことに気づき、鍵をバッグから取り出して施錠した。
この街もビジネス街と変貌を遂げ、背広に身を包んだ人々は戦士みたいな勢いで通り過ぎる為に時々、すれ違う際に他の誰かと接触してしまうことがある。
お互いに少しだけ頭を下げて通り過ぎて行けばそれで済んでしまうことなのだが一方的に無言のまま睨みつける人も居て、俺が謝罪することになってしまう場合もある・・・
本来、怒りとは他人に対し抱くものではなく自分に対して抱くものだと思っているので謝ることに抵抗は感じない。
人混みの中をしばらく歩くと待ち合わせ場所に着いた
約束の時間までまだ10分ほどあったのだが信号が変わった横断歩道を向かい側の道路から小走りに渡って来る彼女の姿をみつけた俺は歩み寄って迎える。
まだ時間前なのに遅れたことを謝った彼女は待ち合わせ時間よりも早く来てしまったことを謝った俺を見て笑った
笑いながらもそれとなく周囲を気にしながら暗い表情に変わるほどに彼女が身の危険を感じているストーカー行為について相談すべく警察署へと行くことにした。
その時だった
周囲の人々が騒ぎ出すと女性の大きな悲鳴が聴こえた!
その先に見えたのは細長い包丁を持ち、不気味な微笑みを浮かべながらこちらに向かって近づいて来る男だった。
怯える彼女に俺がここで何とか奴を食い止めるから早く逃げるように言ったがあまりの恐怖で動けなくなっていた。
その男は俺の背中で震える彼女に向かって
「そんな男と居てお前は何が楽しいんだ!?」
そう叫びながら包丁を振り回しながら近づいて来る男の目は血走り、明らかに狂っていた。
どうする?・・・どうやって愛する彼女を守る!?
そう考えた時、すでに俺の覚悟はもう決まっていた!
奴の凶器が俺の身体を何度貫こうとも彼女を守る為、お前は必ず俺がこの手で殺してやる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます