第8話 駄女神の説明 その1の2

 駄女神‥‥‥もとい女神エスティは、思い違いで、自分がコウと千代に好かれていると思っていが、当の本人は何とも思ってないんですよね。で、話は魔王の事へと。



 「で、さっきも話したけど、貴方達に魔王を倒してほしいのよ」



 エスティはマジな顔をして、二人に言ってきた。

 ただと言うか、やはりと言うか、コウと千代はそんな事が出来ないとした表情をエスティに見せる。



 「そもそもどうやって魔王を倒すんだよ!俺達、武器やそれらしいのは持ってないぞ!」

 「ええ、それに元いた世界に戻れる保証もないし‥‥‥」

 「それにだ、もしあんたが女神なら、あんたが魔王をなんとかすればいいんじゃないか!」



 コウが強く言うと、千代も不安げな表情で、エスティに言う。

 エスティもごもっともと頷く。

 ただ、エスティにも何らかの事情があるらしく、少し悩んで言葉を出した。



 「そうねぇ‥‥‥私が魔王を倒せればいいんだけど‥‥‥」

 


 エスティは更に腕を組んで、う〜んと唸りながら、言葉を選ぶ様にまたコウと千代に話す。



 「う〜ん‥‥‥そうよねぇー‥‥‥まあ、貴方達が言いたいのはわかるわよ‥‥‥私もできることならねぇ〜‥‥‥けどぉ‥‥‥」

 「けど、なんなんだよ」

 「う〜ん‥‥‥ぶっちゃけて言うとねぇ〜‥‥‥」

 「はあ?ぶっちゃけ?」



 エスティが言葉を濁す様に言うので、コウは少し苛立ちを覚えるが、横に居る千代になだめられる。

 で、エスティ曰く女神にはルールがあるらしい。


 その1、女神は勝手に女神の力で世界を変えてはいけない。

 その2、女神の力で全ての物を解決してはならない。

 その3、女神はやたら力を使ってはならない(時と場合による)。


 と、三箇条みたいな内容をエスティはコウと千代に話した。

 それを聞いて千代は、



 「‥‥‥つまりは、女神様は見守るだけと‥‥‥」

 「そう、簡単に言うとね。あっ!ただね、女神か神に選ばれた人にはルールは関係ないのよ。ただし‥‥‥」

 「では、私達が女神様に頼んで魔王を倒してとかは‥‥‥」

 「そう、その1の女神の力で世界を変える、にあたるからダメなの‥‥‥ホッ」



 そう言うと、エスティは最後に何故かホッとしたような表情をする。

 まあ、普通の女神ならこの「ホッ」は、何とか理解してもらえた安堵感からでるものなのだが、流石、コウと千代に駄女神と思われているエスティ、



 『て、私にそんな世界を変えれる程の力があるわけないじゃないのよ!‥‥‥しかも相手は魔王よ!魔王!そんなの無理に決まってんじゃないの!』



 なんて心の中で叫んでいたんです。

 まあ、エスティはまだ見習いみたいな女神ですから、それ程大きな力は持ってないんですよね。

 そうとは知らない、コウと千代。



 「エスティ、つまりは俺と千代にこの世界を救って欲しいと‥‥‥」

 「そう♡『なにこいつは!女神の私を呼び捨てにして!』」

 「けど女神様、私達に魔王を倒す力なんて‥‥」

 「えっ?あるわよ♡『こっちの子は様と呼ぶのに、なに?この男は!』」



 エスティがそう言う。

 コウと千代は驚き、どこにそんな力があるか尋ねる。しかしエスティは、この時はまだコウと千代の力がどれ程の物かわからなく、自分が一番、自分は偉い、なんて女王様気分になっていたが‥‥‥



 「え〜とね♡まずは目を閉じて、自分の気を‥‥‥気持ちを額に集中させてみて♡」



 エスティは自分の眉毛と眉毛の間に右手の人差し指を当てる。

 二人はエスティに言われるように、額に指を当て、集中する。そしてエスティが、何か体から感じない?と二人に尋ねる。



 「なにかって‥‥‥‥‥‥あっ!」

 「コウちゃんも感じた⁈」

 「ああ、千代もか!」

 「うん!‥‥‥何か体の中から湧いてくるような感じ」

 「そう!それが貴方達の力。目を開けて前を見てみなさい」



 コウと千代はゆっくりと目を開ける。

 すると目の前には、半透明のウィンドウが二人の目の前に現れていた。

 




 


 


 

 



 

 


 

 



 

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