『湯呑の鬼火』

ある社家のお手伝いに行った時

「今は真空タンブラーとかあるし、少し使いづらいから……」

と鬼が手に火を持っている絵が描かれた湯呑をもらった


試しにお湯を入れると不思議な事かいつまでも温かいままで

「なるほど、ご主人が言っていたのはそういう事か」

と納得し、しばらく使っていたが猫舌の私には少々熱い


これまた

「なるほど、ご主人が言っていたのはそういう事か」

と納得し、このまま使い続けるか悩んだが、やはり風情というものを好む私にとっては使い続けたい一品でもある


そこで物は試しと

「猫舌なので少し火を緩めてくれませんか?」

と絵柄の鬼に声をかけた所、鬼は申し訳無さそうに少し火を緩めた

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