【外出自粛の街で#4】渋谷・原宿 5月17日13時半~15時

すでおに

2020年5月17日13時半~15時 渋谷・原宿

 3週間ぶりの渋谷。前回の渋谷も、2週前の秋葉原も日曜の昼。いずれも好天だけど暑すぎずで、普段なら絶好のお出掛け日和の皮肉な天気。この日も同じだった。


 人出が戻っていると想像していたものの、スクランブル交差点を渡るのは100人ぐらい。多いように聞こえるかもしれないが、普段の日曜と比べたら微々たるもので、100という数字は渋谷では意味を持たない。


 とはいえ人が増えているのは確かだった。


 センター街にも人出はそれなりに戻っていて、もはや閑散とはいえない。普段なら朝の7時ぐらいがこんな感じかなという様子で、センター街に面した1階の店舗は4割ぐらいが開いていた。こういうところもどこか寝起きのようだった。


 飲食チェーンは厨房と客席の間に透明のビニールのシートを張っている。今は近所のコンビニでも普通に見かける対応も、見慣れてしまっただけで、歴史上初のことに違いない。そしてしばらくすると、いつのにか姿を消しているのだろう。


 こういう光景は生活に馴染み過ぎてしまい、写真に残すこともなく過ぎ去ってしまうが、2020年を語る上で欠かせない歴史の1ページ。

 新型コロナウイルスは人と人と繋がりを遮断した。それを象徴している。


 渋谷西武は地下の食料品だけ開いていて、通りのシャッターは閉まっていた。マルイやパルコなど大手は軒並み閉まっている。

 ドトールやスタバも同様で、再開を心待ちにしている人も多いだろう。


 明治通りも表参道も普段ほどではないにせよ歩行者は増えていて、まるでプレオープンに招待された客が足元の具合をチェックしているようだった。


 竹下通りも前回より人通りは増えてはいたけれど、他と比べるとその数は少なかった。普段の姿からは程遠く、開いている店は4割程度で、まだまだシャッターが目立つ。

 洋服屋や雑貨屋などの非ドラッグストアで販売している1箱50枚入りのマスクの相場が前回の3000円前後から1980円ほどに値下げされていた。

 飲食店はちらほら開いていて『店内でお食事できます』と大きく貼り出された店には潔さすら感じられた。


 某テレビ局の某番組のステッカーを貼ったカメラを持った取材班の姿があって、先ほど(5月18日午後5時頃)その局のニュース番組で『原宿に人が戻っています。クレープ屋に人が集まっています』と放送されていたのですが、そういえば長い時間クレープ屋の前に張っていたようでした。人が集まるのを待っていたのでしょうか。客がいない時はカメラを回さないものなのですね。


 帰りに新宿のビックロに寄ったら営業を再開していて、フェイスシールドにマスクに手袋と完全装備の店員が、入り口で入店客一人一人に検温していていた。手首にピッとかざすタイプで、数秒で終了するから列はできていなかったけれど、店内は普段の日曜ほどではないにせよ結構賑わっていた。

 セルフレジでは客が会計を終えて立ち去る度に、店員がタブレットと商品置き場を1つ1つ拭き取っていて、その様子は餅つきを連想させた。


 緊急事態宣言解除が待たれる東京の日曜。

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