第5話 役者
しばらく彼女と話しているとドアを勢いよく開けて4人の生徒が入ってきた。
「香織!新入部員来たってほんと!?」
ポニーテールの平均より身長が高いであろう人が私と話していた彼女に駆け寄った。
「香織ちゃんがスカウトしたなら間違いないね。」
「香織先輩って人を見る目ありましたっけ?」
「人を見る目は無いけど才能を見抜く力はあるからね。」
上から、
2つ結びのホワホワした感じのタレ目の人、
そしてその人にどことなく似ているが目は若干つり目で立ち姿が綺麗な人、
髪が腰まである綺麗な人、
この人は昼間私に話しかけてきた彼女にそっくりだった。
「みんな、お疲れ様。今この子と話していたの。」
彼女はそう言って私を見て微笑んだ。
「んー、香織がスカウトした割には、意外とふつー。」
彼女に駆け寄った人が私をまじまじ見てそう呟くと、後ろからさっきのホワホワとした空気を出していた人が思いっきり頭をはたいていた。
「こらこら、初対面の子にそんな事言わないの。ケイのせいで入部してくれなかったらどうするの?」
「悪かった、雪音。だからあの、その手を収めてくれないかな?」
「ケイさん、そんな目で私を見ないでください。余計いじめたくなるじゃないですかぁ。」
「始まった。姉妹揃ってドSとかタチ悪いわね。奏、あんまり先輩をいじめない。」
「すみません、双葉先輩。」
「もう、みんな新入生ちゃんがポカンとしてしまってるから。とりあえず、自己紹介するわね。」
彼女はみんなを並ばせて楽しそうに紹介し始めた。
「私は七瀬
「んで私は草間
「私は木戸
「私は木戸
「私は相澤
一通りみんなの自己紹介が終わりの5人の視線が刺さる。
「えと、私は、水野 百合です。申し訳ないんですが、私本当に部活に入る気は無いので、これで失礼します。」
私は急いで立ち上がりカバンを片手に部屋を出ようとした。その時後ろから声が聞こえ足を止めた。
「役者にはあなたみたいな子が1番向いているわ。いつでも来ていいからね。」
私は振り返らずそのまままた歩き出し立ち去った。
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