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僕は今までこの手でたくさんの生命をあちら側に送ってきた。しかしそれは、生きることからの救済であり、その魂は新たな生命として、またこの世に生まれ変わることができるのだ。

それが黒崎との違いであり、心理であり、真理なのだった。


「レベッカ、そしてその隣のお兄ちゃん、俺とお前たちがやっていることに大した違いなんてねーんだよ」黒崎は天を仰ぐ。「選ばれた人間は超人類へと進化し、貧困も争いもない世界へと変わる。新しい文明、アガスティア文明へと!」

こいつの言っていることは、詭弁だ。かつての独裁者と同じ、狂人の類いだ。しかし、僕の心は揺れていた。僕たちが今までやってきた生きることからの救済ってやつが、こいつの言った通り、大した違いなんてないんじゃないのか、と。

そんな僕の心の迷いを見透かしたかのようにレベッカは言う。

「お喋りは終わりか、黒崎。始めようぜ、そして終わらせよう。俺たちの戦争ってやつを、よ!」とレベッカは、黒崎をその右手に握ったピストルで撃った。

しかし、その撃ち出された弾丸は黒崎に当たることなく、逸れた。

いや、逸れたように見えた。

なんということだろう、黒崎はピストルの弾を避けたのだ。しかも、その両目を閉じたまま。

「ちっ、目が見えねーのに、大したやつだぜ。まっ、黒崎ってのはそーゆーやつか」

目が、見えない、だって?


「黒崎ってのは、自分のなかのひとつの才能を神に捧げることで人間を超越した存在になれるのさ」とレベッカ。

そして、今目の前にいるこの黒崎は、その視覚を、あろうことか視覚を神に捧げることで超常の力を得ることに成功したのか。かつての偉人たちのように。


黒崎は、やれやれ、というように頭を振り、僕たちに向かってナイフを投擲してきた。そして、どこから出したのか一丁の拳銃の引き金を引く。その弾丸は、投擲したナイフに当たり、跳弾した弾丸はレベッカへ……!

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