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ロンギヌスの槍は、レベッカの弁によれば、使うことに対してあまり気の進まない事情があるらしい。
それは、扱い方を誤れば、この世界を終わらせてしまう威力を秘めているからだそうだ。そんなものを僕に、よりによって僕に託すというのか。その意味を認識して足が震える思いだった。
「少年、俺と昭和チルドレンで黒崎を終わらせることができれば、それが最善だ。あくまでロンギヌスの槍は、保険程度に思っていてくれ」レベッカは、内容とは裏腹に軽い調子で言う。
「なあ、本当に僕でいいのか?シムカ機関には、僕よりもうまくこの槍を扱うことができる奴がいそうだけど……」
そこでレベッカは、先刻までの言葉の軽さを重くした。
「ロンギヌスの槍には扱う者との相性がある。資質といってもいいかな。自分で言うのもなんだけどよ、俺の見立てではな、少年。お前がロンギヌスの槍の真価ってやつを引き出せると思ってる。これは思いつきでも勘でもない、確信さ」
持ち上げてくれるねー。だけど、期待されるのは悪い気持ちはしないけれど、果たして僕にできるのか。
だって、この手で世界を終わらせてしまうかもしれないんだぜ?
「この槍にそんな破壊力があるなら、練習もなし、いきなりの本番、一発勝負ってことだよな。そんなんでうまくいくのか?」
「自分に自信を持てよ、少年。これまでの経験の延長線上さ。少年ならできる。俺が保証してやんよ」レベッカは、軽薄ともとれる態度を崩さない。
かといって、黒崎を終わらせることができなければ、同じく世界は終わる。
まったく、ハードな展開になってきやがったぜ。
それから一週間後。
ムーくんを除く昭和チルドレンのメンバー全員が殺されたことを知ることになる。
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