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「レベッカ、あの女、周防だっけか……、互いに顔見知りみたいだけど、お前とどういう関係なんだ?」僕は早口で疑問を投げかけた。
するとレベッカは、「ここでお喋りしている暇も隙もないぜ、少年」と短く答える。
そして、レベッカは躊躇なく拳銃を取り出し、周防に向かって発砲した。
だが、キンッ、という小気味いい音がして、それだけだった。
「これが通じる相手じゃねーよな、周防ってやつは」レベッカは苦笑する。
僕は目の前で起きたことが信じられなかった。
やつは、発砲された弾丸をこともあろうかその刀で斬ったのだ。
レベッカも人間離れしているが、この女もそれに負けず劣らずの化け物ってわけだ。
僕の逡巡などお構いなく、周防が踏み込んで、刀を振り下ろしてきた。
殺られる!
だが、その刀の軌道は僕から逸らされた。横からレベッカが周防に向かって、また一発撃ったからだ。しかし、周防は易々とその弾丸を刀で斬り落とした。
「少年、刀ばかりに囚われるな。奴の目を見ろ肩を見ろ足を見ろ」そして、呼吸を聞け、とレベッカは言う。簡単に言うよな、ほんと。
周防がまた一太刀繰り出してきた。
僕はその太刀を拳銃の腹で受け止める。そこにレベッカが周防に向かって、銃を撃つ。それを周防はバク転でかわして、僕たちと距離を取った。
「レンジを取るのは、得物を比べて奴にとっては得策じゃないはずだけどよ、周防に取っては関係ねーってわけだぜ、少年」レベッカがギリッと歯を鳴らす。
「次の一太刀で終わらせてあげる、レベッカ。あなたという概念そのものをね」
僕は呼吸ができなかった。する間もなかった。その刀の軌道が見えない、そんな一太刀がレベッカに向かって振り下ろされる、そして。
ズンッ、という衝撃が部屋を、いや、建物全体を包んだのだった。
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