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「少年、ムーの言ったことは気にするな。奴は死の螺旋から生き延びた化け物だ。そこらの一般人と比べるのもおこがましいぐらいのな」レベッカはらしくもなく、僕を慰めるような言葉を掛けてくる。

「……うるせーよ。生からの救済?なんだそりゃ。僕を、ありすをこんなことに巻き込んでよ。ありすを返せ、返せよ!」僕は、レベッカに向かって叫んだ。目からは、涙が次からつぎへと流れてくる。

「少年……」

レベッカは、そこで悲しい顔をした。それはまるで、ありすが戻ってきたかのような、そんな表情だった。

しばらく、室内は静寂に包まれた。


僕には心がなかったんじゃなかったのか?怒ったり泣いたり、それじゃあまるで、まるで人間みたいじゃないか。

それは僕のアイデンティティーが、唯一の無個性という個性が失われたことを意味する。

取り戻すんだ、僕を。

心も感情もない、クールで皮肉屋の、僕ってやつを。


「俺は甘えていたのかもしれねーな。少年、そしてその妹君に。許してくれとは言わない。こっちの勝手で巻き込んでしまって、本当に悪かった」

そんなレベッカを見て、僕は心が圧し潰されそうになる。あの不遜で暴虐のかたまりのような奴が頭を下げている。これ以上、見ていられなかった。だから、

「やめよう、レベッカ。いや、また始めようじゃないか。僕たちらしくないよ、こんなのは、さ。見せてくれよ、世界の果てってやつを。それまでは死んでも死にきれないよ」僕はそう言ってウインクした。




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