子どもながらの夢を叶えてみた

べいっち

いちごを一パック、一人で全部食べてみた話

 ⋯⋯いちごが、食べたい。


 寒い冬が過ぎて、風が暖かくなり始めた頃。

 唐突にいちごが食べたくなった。


 風に乗って春が来るのを感じたからか、スーパーで安くいちごが売られてるのを見たからなのか⋯⋯どちらが理由かわからないが、いちごが食べたくなったのだ。


 そしてもう一つ、思ったことがある。


 ――いちご一パック。全部一人で食べてみたい!


 いつもは家族で分け合って食べる一パックのいちごを、ぜーんぶ一人で全部食べてみたかった。


 これは私の中の小さい夢、プチ贅沢だ。


 よし、やってみたいと思ったら即行動。


 まずはスーパーに行っていちごを選ぶ。


 いつもならば迷わず安いいちごを選んでいたが、今日はちょっと贅沢をするのだ。ケチってしまってはダメだろう。


 298円で売っていた一番安いいちごではなく、498円のいちごを買った。


 ⋯⋯その売り場で一番高かったのは698円のいちごだが、さすがにそれには手が出せなかった。


 私が払うと言ったものの、なんだかんだお金を払うのは母。やっぱり申し訳ないと思うし、齢十六の少女が一人で食べていい品物ではないと思ったからだ。


 そして帰ってきて早速いちごを食べ――たいところだが、夜ご飯が待っている。


 とりあえず夜ご飯を食べて、その後のデザートとして食べようじゃないか。


 今日の夜ご飯はたこ焼きで、クルクルと自分で焼いて食べる。


 自分で育てたたこ焼きはとても綺麗な丸に出来上がり、食べるとトロトロでとても美味しかった。


 さて夜ご飯も食べ終わったことだし、いちごを食べよう!


 ⋯⋯と思ったが、お腹がいっぱいで食べれそうにない。


 少しゲームでもしてお腹を落ち着かせよう。


 そして夜ご飯を食べ終わってから二時間が経過した。


 ⋯⋯よし、いよいよいちごを食べよう。


 いちごをパックから取り出し、水でササッと洗う。

 ツヤツヤしていてヘタのところまで赤く色付いている。とても美味しそうだ。


 お皿にいちごを並べて数を数えてみると十四個あった。


 こんなに食べていいのかという気持ちと、こんなに食べれるんだという気持ちでいっぱいになり、まずは一つ頬張ってみた。


 ⋯⋯うん! 美味しい!!


 少し酸っぱいけどとても甘い。しかもジューシーだ。

 断面を見ると、白いところがほとんどなくて、やっぱり甘いんだなと再確認。


 ヘタを取ってヘタの方からまた食べる。

 美味しい。美味しいな⋯⋯。


 もう一個。⋯⋯美味しい。


 そうして手が止まらなくなり、次々といちごがお腹の中に入っていく。まるでスナック菓子のように手が伸びてしまうのだ。


 半分ほど食べてから、ふと「一個食べる?」と、お母さんに言いそうになった。


 何か食べているとき、誰かにちょこっと分け与えるのが私の癖なのだ。


 だが今回は全部一人で食べると決めていた。

 分け合って食べようとしたのを抑え、また食べ始める。やっぱり美味しい。


 たまに物凄く甘いのがあると、「甘い!! 美味しい!!」ってなる。幸せだ。


 そしてあっという間に食べ終わってしまった。

 最後の一個は味わって食べたが、やっぱり美味しかった。


 全部食べてみて、満足感と幸福感を感じた。


 が、それと同時に罪悪感も感じた。


 やっぱりこういったことをするのは自分で一番高いいちごが買えるくらいの器をもったときじゃないのか。

 それに、きっと一人で食べるより、家族と一緒に食べるほうが美味しく感じるんだろうな、と⋯⋯。


 美味しいものは独り占めして食べたくなるけれど、分け合って食べたほうがもっと美味しく感じる。


 今日感じた幸福感とは違う幸福感が感じられると思うのだ。


 ただいちごは美味しいし美味しいので、やっぱり美味しい。

 美味しいものを食べたので私の語彙力は小学生並になりました。まぁ元からないんですけど。


 ということで、いちごを一パック全部食べてみた結果、一人で食べるより家族で食べたほうが美味しいだろうなと感じることができました。


 そしていくら食べてもいちごは美味しいということを再確認できました。


 月一くらいでやりたいプチ贅沢だったと思います!


 ただ、今度食べるときは家族でわいわい食べようかな!




 追記:この出来事は令和二年、三月二十二日に行ったことです。何も投稿するものがないので今になって投稿しました。

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