第22話

エンナとマドウの場の温度が低い。どうしようもない程、低いのだ。マドウが何度も話題を振るが帰ってくるのは、機械の様な返事。


「しりとりでもしますか?」

「構いませんよ、、」

 

マドウは、流石に決まづくなってきたので何とか会話だけは途切れさせたくないとしりとりを提案。


「では、リンゴ」

「ゴブリン」


「「、、、、、」」


(ええ?え?E?どういう事?終わったよ、しりとり。俺が何とか会話だけは続けようとしたのに、人と話すのが苦手って言ってたけどこれは流石に、、もしかして俺と話したくない?)


人と話すのが苦手とガエンが言っていたが、ここまでとは。最早苦手を超えていると思わざるを得ない


(こいつの親父何が俺と合うだよ!シンクロ一ミリもしてねえわ!)


マドウも、これ以上話すことはできない。あちらが会話を大剣でぶった切った感じだからだ。


だが、エンナも流石にやってしまった。と言う顔をしていた。


「ゴブリンではなく、、ゴーグル、、、」

「、、、、」


(これは、俺の前世の知識に適合する例がない。こんな貴族は聞いたことない。何を考えているんだ???????)


ラノベなどを、呼んでいた前世にもこんな貴族は聞いたことは無く。行動が例外的過ぎて、対応できない


(まぁ、ラノベとかの知識なんてあてにならないよな。だとしても、これは難し過ぎる。取りあえず返そう)



「ルビー。」

「ビー玉」


「マント」

「トング」


「グラス」

「スイカ」


「カラス」

「スイカ」


「二回同じ、事を言ったら負けだな、、」

「スイカではなく、、スルメ」


(待て待て待て。続けるのか?楽しいか?少なくとも俺は、まったく楽しくない。気まずいレベル超えてるだろ!)


エンナは、気難しい顔をしていた。何か思っているのだろうが、マドウは分かるはずもない


「ちょっと待ってくれ。その、、あれだ。俺は他の貴族にあいさつしなければならないから、いったん失礼する。すまんな、、」

「、、そうですか。分かりました。」


かなり残念そうな顔をしているが、何が残念なのか理解が出来なかった。そこからスタスタと去った。


「あ、マドウ殿。去りましたね」

「エンナがあと少し、会話能力があれば、、、、」


流石の、ガエンも頭を抱えていた。エンナはとんでもなく人と話すのが苦手。それが勘違いされ<人嫌い>のあだ名がつくほどだ


「でも、大分話してましたね。しりとりしてましたけど」

「そうだね。そこは嬉しいよ。エンナは基本避けられるから、家族以外であそこまで話したのは久しぶりじゃないかな。しりとりだけどね」



ガエンは、マドウが離れるとすぐにエンナのそばに寄った。


「どうだ?マドウ君は?」

「緊張しました。やはり緊張しました。とんでもなく緊張しました」


エンナが、頬を赤くしていた。目つきは相変わらず鋭い事は変わりないが


「エンナもう少し、話せないのか?後半はしりとり、しかも、いきなりゴブリンと言ったな?マドウ君が大分気を使っていたぞ?」

「あれは、緊張してしまい、、、思わず、、、」


エンナは、下を向き恥ずかしそうに人差し指同士を合わせた。


「まぁ、良い。彼と関係を持てればな。、、、、あと少し、、エンナが、、、」

「すいません、、」


ガエンも関係を持たせられたのは良いが、エンナの対話能力にあきれているようだ。エンナも自分が悪いので謝る。

赤い目と髪を持つ二人は複雑な心境だった。


(ようやく、解放された。もう帰りたいな。貴族が騒いでくれたからもう満足だし、、)


エンナから離れて、会場を少し歩く。貴族からは話しかけてこないので、話すにはマドウから行かないといけない。 

 

此処にいる貴族は、全員が権力が高い。貴族には階級があり、一等級、二等級、三等級。

数字が小さくなるほど、偉い貴族であり国の重要な役職に配属される。四大貴族<エレメンタル>は、一級貴族であるが少し例外であり、ただ権力があるだけでなく物理的な力も大きい。


その一つが、いきなり大きく動きが出ると他の貴族もさらに動きずらい。


(誰に話しかけよう、俺も話すの得意じゃないんだよな。)


中々話しかけやすいような人が見当たらず、動きが停止する。皆顔が険しい途轍もなく生きずらい


「おい!俺様に挨拶もなしか、無法者!」


1人の男貴族が、マドウに怒鳴りかける。年は、マドウより年下のような感じがするがそこまで年齢の差があるように思えない。


「、、、、」

「おい何か言ったらどうなんだ!無法者!」


マドウを、睨め着けてくる。不快感をだして、声を荒げるのでマドウにさらに視線が集中する。マドウは無表情。


「高貴な者が集まる中で、お前の様なドブネズミが来やがって。魔王軍四天王を倒した等と言われているが、どんなインチキを使った?」

「、、、、、」

「所詮、噂だけだろう!ここから早く消えろ!」


マドウは罵倒を浴びせられたが、無表情を貫く。流石に言い過ぎだと、思い始めるが誰も何も言わない

あそこまで言われると、マドウが暴れるのではと警戒する者もあらわれる。


「流石に、言いすぎじゃないか?」

「マドウ・ロッタールが切れて大暴れしなければいいか、、、」

「リット・カマレールと言ったか?あの少年は、、?」

「二級貴族のカマレール家の、次期当主で来年騎士育成学校入学するらしい」



マドウに、難癖をつけたのは二級貴族のリッタ・カマレールと言うらしい。エンナ、ガエンとジークもそこには注目していた


「止めたほうがいいですかね?」

「マドウ君は心配いらないと思うが、相手が心配だ。何かあったら行った方がいいかもね」



ガエン達以外も、マドウ達に視線を注いでいた。これからどうなるのか誰にも予想できない


(全く、、初対面で、ドブネズミだの、ここから消えろだと?異世界貴族のテンプレじゃないか。)


少し緊張感が場を支配する中、当事者の一人のマドウは余り大した考えはなかった。


(異世界の貴族と言うのは、常に下を見下す教育をされているからな。いい功績を取った平民に絡むのは、仕方ないが普通に腹立つ、、)


異世界の貴族に対して過剰な偏見を持っているマドウは、

1人斜め上の考えを持っているが、状況は進みつづける。


「何黙ってんだ!!」


ずっと黙っているため無視されていると思われているようだ


(テンプレは好きなんだが、この後何もできないとどうもスッキリしないな。馬鹿にされてから俺tueeeするまでがセットなんだよね、、

でもここで決闘なんてできないし。パーティー中だし、、、、一矢報いるためにいつもの感じで行こう。ジークすまん、、)

「まずお前は、誰だ?」


ジークの言葉を無視して思いっきりため口で話す。貴族である、リットは顔を赤くする。ため口でしかも、お前など知らないなどと失礼な事を言うからだ


「二級貴族である、リット・カマレールだ!無法者が失礼だぞ!」

「すまんな、無法者故に常識を知らないんだ。カマレールなど全く知らん」


「たかが冒険者たか風情が!余程死にたいようだな!」

「死にたくはないな」


マドウが一切感情の揺らぎを見せないので、馬鹿にされていると感じ怒りがピークに達し青筋が浮かぶ

このままでは、どうなるか分からないのでジークが止めに入る


「落ち着いてください。余りもめごとは起こさないでください」

「こいつが、失礼な態度をとるからだ!」

「、、、、、」


ジークが間に入るが未だににらみ合う二人だが、流石にマドウもこれ以上はもめない方がいいと判断し一歩引いた。


「お二人とも、王国主催のパーティーですから秩序を持ちましょう。」

 

そこまで言われると、リットもようやく落ち着きを取り戻す。周りの視線もあるので彼も一歩引いた。


「少し感情的になりすぎた。謝罪しよう。会場の皆さんも申し訳ない」


マドウが、リットと会場に向けて、一礼した。その後リットから離れていく。リットもマドウが離れると不機嫌そうにしながらその場を離れた



「あれほど、言ったのに思いっきり口調荒かったけど」

「ついな、、、」


ジークがマドウの近くに寄りう再び話しかける。少しあきれている表情だ


「我慢できなかったのかい?」

「すまんな。貴族は下を見下す教育を受けていたのは、分かっていたのだが、やられたら、やり返せないと気が済まないんだ。」


マドウは不機嫌そうに淡々と、ジークも貴族だが、かなり失礼な事を言ってしまう。



「いや、そんな教育貴族受けないから!僕貴族だけど、そんなの受けたことないから!偏見が過ぎるよ!ただ偶にいるんだああいう人、気をつけてよ、、」


「ああ、気を付ける。」



その後しばらくして、国王である。オールズ・スターリアが会場に現れた。

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