第9話
昨日の疲れは、少し残る中そんなもの表情に出すことは無くお決まりの掲示板前である。
(特に凄い依頼なし。。、、)
仕方ないので、何か適当に選ぼうと手を伸ばすと横に誰かが立った
。依頼が書いてある掲示板なので、誰が来ても不思議ではないのだが
「おはようございます。マドウさん」
まさかの、二日目で成り上がりをした野郎だ。いつもの営業スマイルが凄い、
「ああ、、」
(っち、、来やがった。二日でSランクのクソ成り上がり野郎。もうさ絶対、こいつ俺の事見下してるよね?どっか違う街でも村でも行ってくれよ)
ハクトも依頼を見回し、うーんと頭をひねる。
「何か、特にこれと言ったのはないですね」
(いや、お前ここに来て何日目だよ!!熟練な冒険者のふんいきだすな!!)
無表情ながら、心で文句を言い続ける。この男まだ来て日は浅いのにもう、把握した見たいな口をきくからだ
「、、、そうだな。ドラゴンを倒したお前には、少し物足りないかもな、」
「どうですかね?あはは」
適当に笑って返事をするハクト。マドウからしたら、イライラが止まらない
「マドウさんは、魔力どれくらいですか?」
依頼を探しながら、ハクトが何気なく聞いてきた。マドウは無表情で答える
「あまり、他人のステータスは聞かない方がいい。」
「えっ、そうなんですか?でも、ギルドの人は、、」
ハクトは最初にステータスを表示したから違和感があるようだ。てっきり聞いてもいいと思っていた
「あれは、特例だ。職員が言っていただろ、見せるのは自由と。本来は人には見せないんだ。」
「へえ~。そうだったのか。知らなかったです。ありがとうございました。」
「気にするな」
話しはそれで終わりにして、マドウは、依頼を手に取って受付に向かう。
(ミナミさんのとこ、行きづらい。ドラゴン討伐されたら全部霞むんだよ。大人しく、ツバキさん、の所に)
そう思っていたのだが、ミナミと目が合った。彼女はこちらに話しかけようとして
「あっ、マド、、」
「これお願いします」
そこにハクトが、割り込んだ。急いでいたのかどうか分からないが、、
「っち。てめえはお呼びじゃねんだよ。」
「何か言いました?」
「いえ、何も言ってませんよ?」
何やら不思議な物でも聞いたような、キツネにでもつままれた表情のハクトをスルーして、ツバキの所に紙を持って行った
「、、頼む」
紙を彼女に手渡す。彼女はジト目でこちらを見ていた
「貴方、今ミナミさんの所に行こうとしてたでしょう?」
何やら、余り気分が良くないらしい。
「いや、そんなことはないが、、、」
「本当?」
じっとこちらを見ている。依頼の承諾手続きから手が止まっている。
「ああ、最初からここに来るつもりだった」
「ふ~~ん。まあ、そんなことどうでもいいんだけど。」
そう言うと、ようやく承諾の手続きをし始めた。マドウの角度から見えないが、尻尾が左右に揺れて後ろの職員たちが、笑っている
(まただ。何が面白いんだ?)
これは、前も経験したため既視感を感じてしまう。しかし、その理由は分かることは無い
彼女は手続きを終えて、手を止める。
「終わったわ。」
「すまないな、、」
何となくだが口から出たひと言、お礼を言うのは当然だが彼女は言われるとそっぽを向いた
「別に貴方の為ではないわ。仕事でやってるだけだから」
「それでもだ、、、いつもすまんな」
まあ、なんだかんだ世話にはなっているので二回も言ってしまう。彼女は少し顔が赤いような気もしなくはない。
「いちいち、言わなくていいから。早く行って。私はやることがあるの。」
彼女は、こちらを見て行くように促す。やはり顔立ちは整っている、八重歯も意外と魅力的だ
迷惑だと言われては、行く以外ないのですぐに退散した。
「分かった、、」
彼女のしっぽは、360度回っていたのを後ろの職員たちは見ていたので、キャーキャー言っていた。
ツバキは気付くことがなかった。後ろの声にも、隣からの、、、黒い視線にも
「やっぱり、ドラゴンを超えるの物はないよね、、」
山奥で依頼をあっさりこなした後、探し回る。何かいないかと。、、荷台を引きながら、、
腰には、刀と剣。使いどころがなく、タダ装備してるだけになっている。彼の表情は悔しさでいっぱいだ
「畜生。居ないじゃねえか。ドラゴン、、普通居るか?」
ここで、少し違和感がわいた。ドラゴンは何年も誰も見ていない。それがいきなり現れた
そんなことあるか、、、
(いや、たまたま。偶然いただけか、、、だったら、他にもいるかもしれない!)
「探せーー。出てこいドラゴン」
捜索再開。日が落ちかけるまで探しまくるが、見つかることは無い。
「そう、簡単にドラゴンなんていませんよ」
「分かっとるわ」
例の如く、屋敷でもサウナ腕立て。リリィが上に乗ったまま、腕立て続行だ
今日は既に、ポットとコップを手に持っている
「畜生。いいなあ。<ドラゴンスレイヤー>」
「そうですか?特に何も感じませんが?」
リリィは本当に何も思っていない様だった。それをマドウは分かっていないな、と言葉をつづけた
「二つ名、っていうのがいいんだよ。わかないかなあ?」
「わかりませんね。その感情は」
暑い中、今日はまだ始まったばかりなので話が出来る
「それにしても、よろしいのですか?」
「なにが?」
リリィはニヤリと、笑って口を開いた
「まだ、始まったばかりですから余裕そうですが。まだ全然回数残っているのに、そんなに話して体力大丈夫ですか?」
フッと鼻で笑い、余裕の笑みで答える。汗こそはかいているが腕立てのペースは崩れていない
「余裕だね。」
やる気が有り余っているようだ。
「そうですか、、、」
数十分後、
「あジー、、ーみすう、、」
顔から余裕が消えて、顔が崩壊している。汗が滝のように出ている
「余裕なんですよね?あげませんよ。まだ♡」
いつものようにテンションが上がってきたリリィ。
マドウの腕立てのペースが遅く、なって。。
止まった。腕を伸ばしたまま待機。
「どうしたんですかあ~。止まってますよ?」
「はあ、はあ、みず、、くれ」
物欲しそうに、乗っているリリィのコップとポットを見た。
リリィは水をコップに注ぐ。耳元で
昨日もやっていたが、大分はまったようだ
「それ、やめろ!」
大声で、ガツンと残り少ない体力で声を荒げる。リリィは水を一口飲んだ
「そんな声出して、体力を無駄にしますよ?」
「いいから、、みす、、」
もう限界、の表情だが直ぐに上げるわけがない。
「あと、100回♡」
何とか回数をこなす。ゆっくりだが確実にこなしていく
「はあ、はあ」
息が上がり、どんどん頭がもうろうになっていく。
(あ、、ヤバい。、、でも、ここで引かないぞ。俺は!)
心の中で、もうヤバいと思い始めるが何とか続けることが出来た。
心がまだ折れていないからだ
不意に耳元で金属音が響く。氷とガラスのぶつかる音が響く
こうなることは、分かっていたがやはり来ると心に来る
(あああああ、水、、、、、もう無理、、、、やばい、、、)
「あと、少しですから頑張ってくださいよ♡」
耳元でずっとカランカラン、コップを回しながら顔を赤くしている。彼女は熱耐性を持っているので、熱さはあまり効かない。
ただ、興奮してるだけだ
「あああ、、ク、、そ」
ただ、ハチャメチャに無茶苦茶にこなして、意地でこなす。
「あああ、みす、、、、、」
何とか、回数をこなして昨日と同じように下に寝る。腕で体は支えられず仰向けでダウン
「はい。どうぞお飲みください」
コップを差し出す。いそいでリリィに手を伸ばし取ろうとする
受け取るとゆっくり飲み始める
「ああああああああ。うめええええええ」
「それは良かったです。」
ここまで、散々いじめて来たくせに白々しくこんなことを言う。そうなると、疑うのは当然なわけで、、
「、、、本当にそう思ってるか?」
マドウは疑いの目でリリィを見る。リリィは笑顔だ
「もちろん。でも少し名残惜しいですね、、」
寂しそうに、顔を暗くする。急に笑顔が消えた
「あ、、、そう」
そう言う以外何と言っていいか分からない。この問いになんて答えるべきか、正解なんて浮かばなかった
「ところで、先ほどのお話ですが、」
リリィは急に話を振ってきた。既に部屋の温度は下がり始めていた
「何の話?」
「ドラゴンについてです」
先ほど話した、ハクトが倒したので自分も倒すために探している。という話だ。座りながらさっき話したのを思い出した
「ああ、それか。」
「ドラゴンと言うのは、何年、何十年も誰も見ていません。」
「知ってるよ。だから、騒いでんだろ。」
忌々しいように、告げた。それによっていきなり、Sランクに来られたのだから
「それが、どうしていきなり出たんでしょうか?」
「ご都合主義だろ。転移者特有の!」
最早お決まり。これが、格差だ。そういう感情が溢れていた
「何を言ってるにか、分かりませんが。話を続けます。」
理解不能な答えに、特に意見は無く話を続ける
「駆け出しが、何年も討伐されていないモンスターであるドラゴンを討伐?そんなことありえますか?」
「ああああ。お前までやめろよ!その駆け出しが、正体不明、凄いみたいな雰囲気出すの。」
頭を抱えて、縮こまってしまった。その姿にため息を吐く
「その駆け出しは見ていませんが、ドラゴンなら見てきました」
縮こまりながらマドウを無視して、リリィは話しを続けた
「あの、村に展示してあるやつ見たのか?」
ハクトが討伐したドラゴンは、今度王都の持ってかれるらしい。それまでは、展示している。毎日村の人が見ている
他の村から見学する人もいて、少し騒がしい。そして羨ましい
「ええ、ドラゴンなんて見たことは無いのですが死体を見たとき、なんてお粗末なっと思いました」
「ふーん。ドラゴンって、そんなもんだろ。どいつも食い物にされんだよ。」
くそっと吐き捨てながら、お決まりを恨む。しかし、リリィは首を振った
「それは、違います。ドラゴンは伝説クラスの生き物であり、硬い鱗と爪。そして、ブレスを使う強力なモンスターです。あの死体からは、何も感じませんでした」
「ふーん。でもさ、結局ドラゴンを倒したことには変わりないだろ?」
「まあ、そうですね、、、」
事実は事実なので、否定しようがない。違和感があっても事実だ
「じゃあ、意味ないよ。結局実績だし、、、」
また、吐き捨てるように告げた。実績が追いつかれSランク冒険者に一瞬でハクトなったのだから、面白くない
「そんなにふてくされないでください。少しおかしいと言うことを、伝えたかったというだけです。」
「、、、、、、考えても仕方ない。俺はやることをやるしかない。」
少し考える素振りをするが意味がなことに気づき、刀を持って素振りをするために外に出て行った。
「、、、私も行きますか」
切り替えの早い彼に驚きながらも、リリィも彼について行った。
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