第8話
「うおおおおお」
いつも以上の勢いで腕立てを実行する。このままだと、自分は咬ませになってしまうから
「今日は随分と気合が入っていますね?」
いつも道理、上に座って足を組んでいる。リリィ。あまり楽しくはなさそう
「リリィ。重力を重くしろ」
何時もなら頼まなくても、やるのにそっぽを向いた
「おい、何でやらないんだ?」
「やってと言われると、やりたく無くなりますね」
腕立てが何時もの何倍ものペースで回数がこなされていく。
「おい、やれよ」
「はあ~。わかりました」
ため息をつきながら、指先で触れるとマドウの体が重くなった。
いつもは、嫌がるのに今日はそんなことは無く。
マドウはやる気満々で腕立てをつづけた
「なんか、今日は楽しくないです」
上で不機嫌そうに、リリィは呟いた。それはマドウにも聞こえ
「何で?」
腕立てをつづけながら、リリィに聞いた。
「嫌がってるときに、きつそうなときに重力を重くするのが楽しいのに、今日はずっとやる気満々。これでは、気分が上がりません」
「お前、、、本当にSだな、、、」
腕立てが終わると、今度は刀を持って外に行く。いつもは腕立てで、もう深夜になってしまうが、今日はまだ時間があるので外で素振りをする
マドウの屋敷はかなり大きく庭も広い。
「シっ!」
特に意味はないが、何となく言葉を発する。そこからずっと振り続ける
時には抜刀術や両手持ち、方手持ちでずっと刀をふるった
「なあ、お前は家にいていいぞ」
マドウがずっと素振りをしているのだが、リリィもずっと近くで見ていた
「いえ、見ています」
「そう、、」
戻る気はないようで、彼女はずっと見ていた。風が吹き彼女の髪が揺れる
その日は日をまたぐまで、マドウは刀を振り続けた
次の日、村の話題は一色だった。天道ハクトSランクに昇格。
世界で一番早くなったとして、既にみんなが知っていた
「いやー照れ臭いですよ。」
ハクトは皆に囲まれていた。新しいSランクの誕生に皆が敬い、驚愕する。いきなりこんなにも人に囲まれるのは、彼の雰囲気、顔、話し方ようは、コミュ力が高い
そこから少し離れ、マドウはリーゼンと一緒に掲示板を見ていた
「僅か一日か、、、悔しいな」
リーゼンがマドウに呟いた。それは、マドウに言っていた。彼がSランクになるまでどれほどの道を歩んできた知っていたから
「人生には、こういう事もあるだろう。仕方ない」
「そうか、、お前がそういうなら何も言わなえよ」
そのまま依頼を持って、そのまま受付の所に行った。
今日はツバキの所だ。ミナミの所に持っていく気にはなれなかった。
ミナミも少し寂しそうに見ていたようなきがする
「これを頼む、、」
「分かったわ」
依頼の紙をツバキに渡す。彼女はただ承諾の作業をしていた
「終わったわ」
「そうか、、助かる」
「ねえ、」
「なんだ?」
依頼に行こうとしたがツバキに呼び止められ、止まった。
「ごめんなさい。なんでもないわ、、」
「そうか、、」
そのまま、ギルドを後にした。
「ドラゴン何処じゃーーー」
森の中を颯爽と駆ける。悔し過ぎた。僅か一日で全部持ってかれた
これを取り返すには、何かいないか
「クソがああ。何かいてくれーー」
ひたすらに森を走りまくり、モンスターを探す。レアな奴をだ
しかし、そう簡単に見つかればレアではない。
結局その日は見つからなった。
荷台を換金するところに持って行った後、荷台を洗っていると、
「おお、、こんなに?」
「亜空間なのでいくらでも入ります」
亜空間から山のように、出していた。自分の十倍はあるだろう
周りでも凄い凄い言っていた。
いきなり、抜かされた気がする、、、
少し、寂しい気がした。ただの嫉妬だと分かってはいたのだが
換金した後、急いで家に帰った。
「リリィ、トレーニングだ!」
ドアを開け直ぐに、トレーニングだと指示を出す。ドアを開けるとリリィはスタンバイしていた
「はい、わかりました」
家に入ると、すぐにシャツ一枚になる。下は短パンだ
「よし、やるぞ!」
「はい、今日はスペシャルなトレーニングです」
「スペシャル?」
そう聞き返すと、リリィはリビングのドアを開けた。中から、熱風が飛んでくる。
熱い、熱いただ熱い。
最早サウナだ
「お前、何サウナにしてるの?」
リリィはにやりと笑って、こちらを見つめた
「だって、最近はトレーニングにやる気が、凄いあるようなのでお手伝いしようかと。」
最早、人の家なのにもかかわらず勝手にリビングをサウナにするメイド。
部屋の中は、炎の玉が浮いていて凄い熱を発している。
魔法なのだろうか。
「取りあえず、始めましょう」
「これは、、、やりすぎじゃ。」
と言いつつ腕を下に着いた。そこから、腕立てを始める。しているといつも道理上に座ってきた
「くそ、、熱い」
「それが、いいんですよ。」
既に汗が出始め、全身から吹き荒れる。リリィは大したことがないような表情
「お前、メイド服で熱くないのか?」
「遠回しに脱げと言っているのですか?」
「違うわ。単純に熱くないのか気になったんだ。」
メイド服はこの部屋だったら着ていることなんて、普通は出来ないのだがリリィは余裕。汗を一つもかいていない
「ええ。ダイジョブですよ。」
「マジ?お前ヤバい」
「熱耐性持ってますから。」
「あっそ」
そこから何度も、腕立てだ。熱いのだ。ただ、、
それだけで、体力がなくなる
途中5000回程度で彼の腕は止まった。
「待って、、ヤバい、、ヤバい」
「ヤバくないです。続けてください」
リリィは上で、続けるように指示。無理やり動かし続ける
「出来るじゃないですか。無理だとか、ヤバいとか言ってるうちは大丈夫な証拠です」
「それ、、は、ない」
リリィの表情が徐々に変化してきていた。いつものいじめる時の恍惚な顔だ。
「ようやく楽しくなってきました。やっぱりいじめる時は、ギリギリの時ですよね」
「、、、、」
無視して腕立てを続行する。何とか続けてはいるが、本当に限界だ。のどが渇き、体温も異常なほど上がっている
「リリィ、水。、、、もって、、こい」
「は~い。」
やけに素直に行くなと思ったが気にしている余裕はない。腕立てを続けながら帰りを待つ。
リリィの戻ってくる足跡が聞こえる。
「は~い。持ってきましたよ。」
「よし、飲ませろ。」
一旦や腕立てを止めて、両腕で体を支えたまま口を開ける。
リリィの手には、コップとポットが握られていた。
リリィはマドウの近くまで寄ると、あげずに再び背中に腰を下ろした
「おい、のませろ」
「まだですよ、もう少ししたらあげます。」
「俺が主人だぞ。」
「妥協すると弱くなりますよ。」
「、、、、、」
再び腕立てを再開した。ハクトが現れた以上妥協はできない。このまま引き下がれないのだ
(あいつに負けられない)
そこから、数分後
「むり、、みす、、」
呂律も回っていない。限界だった
「無理と言えるなら、まだいけますね」
「ほんと、、、むり」
腕で体を支えてはいるが、もう限界。腕を伸ばした状態から動かなかった
「仕方ないですね。音だけですよ♡」
耳元にポットとコップ。マドウの耳の近くで、コップに水を注いだ
水の流れる音が聞こえる。潤いが近くにあるのを感じた
「のま、、せろ、、」
「あと百回できたら、あげますよ」
「む、、り」
「じゃあ、これは私が、」
ゴクゴクとわざと、音を立てて飲んでいるように感じられた。
いっぱい飲み干すと、
「、、美味し~い。これが飲めないなんて、可哀そう♡」
そんなこと全く、これっぽちも思っていないのだがわざとらしく言った。
「くそ、、クソ女が、、」
「好きなように言って貰って構いません。」
マドウが力を振り絞って、続ける。再び耳の近くで水を入れる
「お、いそれ、、やめろ」
「気にしないでください。」
そのまま、彼女は氷を作りコップに入れた。再び耳に持っていきコップを回す
氷とコップがぶつかり、金属音の様な物が鼓膜に響き渡る
「ゴクリ、、、」
つばを飲み込んで、腕立て続行。水が飲みたくて仕方がない。
極限の表情になってしまう。
「アハ。これが見たかった。このトレーニングを考えた甲斐がありました。」
マドウを眺めながら、リリィは微笑んでいた
「おい、みず、はやくしろ」
マドウの背中から立ち上がり、コップを口元へもっていく。
口に流し込むマドウがごくごくと水を飲み干す
「はあああああああ。うめええええ」
「今日は終わりでいいですよ。」
飲み干したマドウを見て、そうつぶやいた。もう満足した。要はそう言うことだ
「よし、、この後は素振りだ」
もう腕立てはしたくないが、トレーニングはしないといけない。よって素振りだ
マドウは刀を持って外に出た
リリィもついていく。すぐにマドウは刀を振り始めた。
「最近よくその刀使ってますね。」
「気に入ったんだ。これ」
マドウを眺めながら、リリィは聞いた
「何かあったのですか?」
「別に無いよ」
嘘だとすぐに分かったので追求した。流石にそれくらいは分かるメイドとして、側にいるのだから
「嘘ですね」
「、、、かなり凄いルーキーが現れた。それだけ」
「そんなことですか、、」
何か凄い悩みと思っていたので、自然と落胆の声が出てしまう
「俺にとっては、重要なんだ」
素振りを止めずに、言葉を返す。刀を振ると空気が揺れる
「たかが、ルーキーでは?」
「油断してると全部抜かされそうなんだ。」
「それは、無いと思いますが?」
「あいつは賢者みたいに、魔法が使えるはずだ。しかも、ステータスも高い。これからもっと成長するから油断できないんだ」
ハクトを思い浮かべた。既にSランク自身と同じ。このままだと、、、周りもすでにアイツが凄いと意識しだしている
「考えすぎです。」
「そうか?すぐに追い抜かれるかと、ヒヤヒヤしてるんだが、、」
リリィは真っ向から否定した。目を見ると本気で言っているようだ。気休めじゃない
「たかが、一本長い柱を立てたところですぐに倒れます。」
「?どういう意味?」
あまり理解が出来ないので、素振りしながら聞き返す
「ご主人様は毎日、キツイトレーニングをしています。毎日の積み重ね。コツコツと下地をしっかりひいて実力をつけてきました」
「うんん?」
理解力がないようで、少しイライラし始めるリリィ
「つまり!、ご主人様は簡単には倒れない。太い柱。長さではなく、太さが段違い。と言うことですから心配はいらないかと」
「、、なるほどな。。」
(下ネタ言ってるわけじゃないよな?)
分かったような事を言っているが実は分かっていない。励ましてもらっているのに失礼なことを考えている。リリィもそれは分かったようで
「何か失礼なこと、考えてますね?」
ジト目で見られて、言葉に詰まる。目を逸らした
「いや、別に、、」
だが一つだけマドウにも分かった事があった
「はあ~。私の言いたいことが全く分かってないようですね。」
「、、、つまり、俺を元気づけてくれたんだろ?」
ただ、気を使って純粋に励ましてくれたことは伝わった。
「それが、分かってくれれば十分です」
リリィは少し微笑んだ。クリーンな方の笑顔で
マドウはここで疑問が浮かんだ
「お前って、Sのくせに、励ますんだな。意外だ」
「私はSでは、ありません。ただ、ご主人様の頑張ってる姿が好きなだけです」
「ほお。何か嬉しい」
そういう風に言われると悪い気はしない。どこか照れ臭くなる
「特に、無理。ダメ。限界。の先にある極限、の表情が好きです♡」
「お前は、Sではなく、ドSだな。分かってはいたが、、、」
照れ臭いのは気のせいだったようだ。それからは、マドウは剣を振ってリリィはただその姿をじっと見ていた
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