第3話
「流石に、若い女の所に男が一人で行くのは不味くないか?」
マドウは流石に不味いと反対した。
「大丈夫ですよ、、それとも私の家には来たくないんですか?」
急に悲しそうに、こちらを見てくるので回答に詰まる。
「そういうわけでは、ないが、、、」
彼女はそう言うと、にっこり笑って手を引いた。
「だったら、大丈夫ですよ、ね」
可愛らしい笑顔でそこまで言われると断れない。仕方ないと、首を縦に振った
「分かった。」
「では、いきましょうか」
その時、ゴーンと夕方の鐘が鳴る。この鐘は六時になる鐘だ
「もう六時ですね、、、」
「ああ、もう六時、、、、、、六、、時、、」
その瞬間、朝のリリィの言葉を思い出した。
『一秒遅れるごとに、腕立て1000回プラスでよろしいですか?』
血の気がさあッと引いていくのを感じた。急いで帰らないと、、
「すまない、用事を思い出した、、」
「え?じゃあ、今日は、、、」
どんどん顔色が暗くなっていく。ミナミは悲しみを目で訴えていた
「また次の機械、、、にしよう」
「分かりました。約束ですよ。」
悲しい顔を浮かべながらも、笑っていた。そんな顔を見せられると、マドウも少し悲しくなりそうだ
「ああ、それじゃ、」
「はい、また、」
逃げるように一瞬で離脱した。ミナミは笑って見送ったがマドウが見えなくなると
顔から表情が消えていた。それは、無表情だが、何処か暗くドロドロしたものだった。
「今日で、決めるつもりだったのになあ、、、」
無表情のまま彼女は一言呟いた。それは、風に吹かれて消えて誰の耳にも入らなかった
急いで、家に帰る。ただ、それだけを考えて走る。疾風のようになりながら
もうすでに、六時は過ぎている。このままだと、、、
(トレーニングで死ぬ。ヤバい、ヤバい、ヤバい)
急いで家のドアを開ける。恐る恐る見ると、すでに恍惚な表情でリリィが出迎えてくれた
「お帰りなさいませ。二分十三秒も遅れていますから、、アハ、、何回でしょうね?」
口に手を当て、下品な笑い声も溢れてしまっている。マドウは恐怖を感じた
「勘弁してくれ。頼むから、、、」
何とかしてほしいと、頭を下げる。
「、、、仕方ないですね、、だったら、今日だけ特別に、、」
そう言われて、すっと肩の荷が下りた気がする。頼めば分かってくれるのだ
「腕立て、50000回で勘弁してあげます♡」
「どこか、勘弁してるんだ?」
「さあ、早く準備をしてください。」
そう言うと、部屋に入って行く。マドウは無視だ。
とりあえず、マドウも部屋に入った
目をギラギラさせて、リリィが部屋で待って居る
部屋に入ると早速マドウは両手をついた。
そこから、膝を伸ばし腕立てを始める、、
始めるとすぐに、リリィはその上に乗った。足を組みソファーにでも座るようにくつろぎながら
「おい、今日は重力魔法は止めてくれよ。」
「さあ?どうしましょうか、、」
腕立てをしながら、上に乗っているリリィにお願いするがはぐらかされる。
まだ始まったばかりなので、余裕だ。
しかし、そんな単純なトレーニングにしないのが彼女
口を三日月のように吊り上げ、指先でマドウの背中を少し触った。
「うおっ、、おい、」
鉛のように、マドウの体が重くなった。リリィの重力魔法であり固有魔法
である
しかし、何とか腕立てを続ける
「誰も使わないなんて、いってませんよ?」
苦しそうに、腕立てをするマドウを見ながらニヤニヤと笑いが抑えられないらしい
「ドSすぎるだろ、、、」
マドウがそういうと、再び指先を背中に当てる。さらに、重力が強くなり体が重くなる
「ちょ、、それは、、」
腕が上がらなくなり、どんどん沈み込んでいく。
「体を地面につけたら、もう一回最初からで・す・よ♡」
もう体が着くことを抑えられないのは彼女も分かっているはずなのに、
無理難題を突き付ける。
マドウは何とか、腕を上げようとするが上がらない。下がる一方。汗もどんどん噴き出て、、もうダウン寸前。
あと少しで落ちる
落ちた。落ちると重力から解放され、体は軽くなるが最初からだ
「はあ、はあ、今日きつすぎないか?」
上で座っている、彼女にいうが何食わぬ顔。
「そんなことないですよ。さ、もう一回最初から、」
きついが何とか、腕を上げて腕立てを開始する。しばらくは、彼女は何もしてこなかった
(今日は、このまま終わりますように、、、)
腕立てをしながら、誰かに祈っている。どうにか終わってくれと願っているマドウの顔をリリィは横目でしっかり見ていた
「今日は、あと一万回出来たらそこで終わりでいいですよ」
「よっしゃ。」
かなり回数が縮んだので喜びこれなら乗り切れると、続きを終わらせようとする
「フフッ」
それを見ながら、思わず笑い声が出てしまうリリィ。それはマドウにも聞こえていたので何か起こると危険を察知した
再び指先が背中に当たり、体が重くなる。しかし、先ほどより大丈夫なので何とか続けられる
「あと、百回だ、、、」
汗だくになりながら、呟く。
「ええ、そのようですね、」
答えながら、指先で二回つつく。重くなるが何とか続ける
「あ、、、と三十回、、」
リリィが指先でまた触れた。こんな感じで十回少なるごとにドンドン重くされる
「うおお、、、おおお」
「アハ、その表情、、。ギリギリの、、極限。アハハ」
下品の笑みがあふれ出て、口に手を当てる。マドウはあと少しなので何とか踏ん張る
そして、、
「あと、、、十回、、だ」
リリィは指を三回背中に当てた。マドウが固まった。そのまま動けない、、、
「お、、い、これ、、は」
「あと、十回ですよ。さあ、頑張ってください」
笑いながらマドウを見ていた。
「こ、、の、、ど、エスが、、」
あと少し、で終わる。その事実が火をつけた
物凄くゆっくりだが何とか、続けられる
「あと、、、、さん、、か、、い」
「フフフ、少し意地悪したくなっちゃいます、、」
(いや、ずっと意地悪してただろ)
心の中で突っ込みをかますが聞こえることは無し。リリィは座りを止めて、馬乗りで背中に乗った。
そのままゆっくり手を伸ばす。脇に
「お、、、い、まさ、、か」
「あと、少しですから耐えてくださいね?」
そして、湿っている脇に手を当て
「こちょ、こちょ、こちょ、」
くすぐり始めた声に出して。汗を大分かいているのだが、彼女は気にしないようだ。
「お、、、い、、そ、、れ、、は」
先ほどから、おい、としか言ってないがそこまで余裕がないという事、力が抜けていき腕が下がり始める
「フフフ、腕が下がってきてますよ?」
笑いながら、脇をくすぐる。一向にやめない。マドウもこれには、、重力、背中に人が乗り、さらにくすぐり。フルコースだ
「分かっているとは、思いますけど、、体が地面に着いたら、、」
体を上に持っていきリリィは今度は耳元で囁いた。
「また、やり直しですよ♡」
「く、、そが」
あと三回、何としてもやり遂げる、、、二回、、、、一回、、、、ゼロ
「はあ、はあ、はあ、」
「お疲れさまでした。今日はここまでで勘弁してあげます」
「ありがとう、はあ、、ございます、、、、、はあ、、」
何故か敬語でお礼を言ってしまう、マドウ。主人なのに、相手は自分のメイドなのに、、、それに思わずリリィは恍惚な笑みで答えた
「そんなに、怒らないでください。」
「あれはやりすぎだ、、」
あの後、すぐに風呂に入り今は夕食を食べていた。マドウはあれは、ダメだと少し不機嫌
「ご主人様が可愛くて、つい、やってしまいました」
テヘッと照れた感じで誤魔化そうとするが、そんなもの通じない
「つい、じゃない。お前メイドだよね?メイドって普通もっと優しんだけど?」
「あまり、固定観念にとらわれないほうがいいですよ」
涼しい顔で答える。リリィ。
「はあ~、、もういいよ」
呆れてしまいもうこれ以上は何も言うまいと、諦めた。リリィはそれを見ながらもとはと言えばと話を切り出した
「まず、ご主人様が帰るのが遅れたのが悪いんですよ?」
「俺は主人だぞ。この家の、、遅れてもいいだろ」
「約束は守って頂かないと、、それよりなぜ遅れたのですか?」
「食事に誘われてな、、でもお前が帰って来い、と言っていたのを思い出して帰って来たんだ」
それを聞くと、まあ、と口元に手を持っていき笑顔を浮かべた。何時ものSな感じではなくクリーンな感じの笑みだ。しかし、少々わざとらしい
「私を優先してくれたなんて、、、嬉しい」
「ウザイんだが、、、」
「そう言わないでください。メイドの戯れです」
「あっそ。」
くすくすと笑いながら、メイドと主人の優雅?な食事の時は過ぎていく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます