第4話

何時も通りに、街を歩く。背筋を伸ばして、一定のリズムでとある場所に向って行く


特に用があるときも、無い時も偶に何となくで向かう場所だ。スタール村には幾つもの武器鍛冶屋があるのだが、その中でも気難しい店主の鍛冶屋がある


<剣の叩き>

という店である


店の前で足を止める、外装は古びた歴史ありという感じだ。ただ、これを悪く言うと汚い店とも言えるような感じ


少し、ぼろいドアを開け中に入る


「、、邪魔をする」


(ゴキブリとか居ないよね?)


ちなみに、マドウはゴキブリが苦手だ、、

中には、武器屋なのに武器が全くおいていない。ただ、鍛冶工房が置いてある。

僅かな机や、椅子も置いてある



「来たか、、坊主」


店の店主が奥の椅子に座り、両腕を組んで鋭い目を向けていた。風格のある中年の男性。体はかなりしまっている。


元有名な鍛冶士だったらしい。何時からかこの村に居て気付いたら剣を打っていた。認めた者にしか、武器を与えない如何にもこだわりが強い職人と言った感じだ


「、、、ああ」


(特に用はないけど、、、何となくできちゃった、、、)


マドウがそんな感じで考えていると、店主は机から一本の剣を出した。


(そ、、それは!)


剣というより、それは刀だ。この世界には刀ははそこまで流通していない


「、、頼まれてたやつだ、、」


「、、ああ」


(、、、頼んだっけ?、、、あ、前ノリで欲しいとか言ったんだった)


刀を受け取り手に取る。

刀を抜き、シャキンと鞘から抜く。細い刀身に波のように模様が浮かぶ。


(おお~なかなか、カッコいい。やっぱり日本人は刀だよね!)



刀をじっと無言、で眺め続ける。上から下、下から上、ずっと眺めている


「気に入ったか?、、」


「ああ、、」


満足そうに、店主は頬が上がっていた。店主はマドウの腰の剣を見て指を差す


「それ、少し見せてみろ。」


「ああ、、、」


(やべー。俺、ああ、しか言ってねえ。クール系だとこんな感じになっちゃうんだよね)


そんなことを考えつつも、言われるがまま腰から剣を手に取り鞘に入ったまま渡す

店主は渡されると、鞘から剣を抜いて剣を上に上げじっと見つめる


「、、、、流石だな。ほぼ刃こぼれが無い。」


「フッ、当然だな。」


(まあ、偶にしか使わないんだけど、、、、、一応使うから関係ないよね?」


ちなみにだが、この剣も店主が打ってくれた代物だ。店主からしたら、自身の剣を上手く使ってくれればうれしいだろう

その後、鞘にしまい、マドウに返した。


「何か、他には欲しい武器は無いか?」

 

返しながら、マドウに聞いた。マドウも貰いながら返事をする


「そうだな、、、今は大丈夫だ、」


「そうか。その刀、うまく使え。」


「ああ、、」


(あ、!また、ああって言っちゃった。)



剣と刀を腰において、マドウは踵を返す。去りながら、挨拶をするのがカッコいい


「ではな、、俺は行く」


「ああ、うまく使ってくれ」


(店主も、ああって言った。やっぱり使いやすいよね。この言葉)


そのまま、ドアから出て行き今度はギルドに向って行く。この腰の刀は絶対に騒ぎになる


(フフフ、今から楽しみだな、、あ!お金払うの忘れてた)


刀を貰ったのが嬉し過ぎて、金を払うのを忘れていた。そこで回れ右をし鍛冶屋に向って行く


再びドアを開け、店に入る。


「どうした?忘れ物か?」


店主が不思議そうな顔でこっちを見ている。懐に手を入れながら


「金を払うのを忘れていた。、、、」


そのまま、かなりの札束をだす。大体30万エーテル。店主は僅かに驚く


「こんなに、、、、多すぎだ。ただの鍛冶師に払う金じゃない」


謙虚なのか良く分からないが受け取り拒否をする。前もこんな感じだった


「俺は、見合った金を出しているに過ぎない。貰って置け、、、」


(俺実は、良い武器と悪い武器の違いってわかんないだよな、、、、リリィがかなり、良い武器だって言ってたから、、、多分そうなんだろ。後この店主、如何にも拘り持ってそうだし、、、)


マドウはそのまま、ドアから出て行った。


一人残された、店主は一人笑った


「流石に、奴の目は誤魔化せんか、、、」



実際は全く分かっていないのだが、そんなことは知る由もない


武器を二つ腰に装備して、ギルドに向かう。途中で噂されたりしたのは、言うまでもない


それも十分嬉しいのだが、本命はここ冒険者ギルドである


(早速、ミナミさんのとこへ。)


毎回騒いでくれるギルド職員の鏡ともいえる彼女なら、きっとこの刀にも気付く。

そして、驚きが光の速さで伝わって行く。計画は完璧だ

中に入り、取りあえずは掲示板を見ようと向って行く。何名かの冒険者は刀に気づいたようだ。


(気付いたな?気付いたな?)


周りの反応を気にしつつ、行きながら、受付を見るとあることに気づいた


(ミナミさんが、、いない、、、)


まさかのミナミさんがいない。どういうことだ?と思考に飲まれる。そこで、他の冒険者の声が聞こえてくる


「今日、ミナミさん休みか、、」


「あの人いつも笑顔で、接しやすいんだよな、、、」


まさかの、休み。仕方ないと肩を落とした。一応色んな人にも刀気付いてもらった。このギルド内でも少し波を起こせたことには変わりない


しかし、ミナミなら大嵐を起こしてくれたのだが、、、そう考えるとやはり残念。


(今日は、普通に依頼こなすか、、、)


何時もと違うギルド職員の元へもっていく。


「、、頼む」


心なしか寂しい感じの声だが、そんなの分かる者はいない


「ええ、分かったわ、、」


今返事をしたのは、獣人の女の子であり、物凄く冷たい態度で有名な職員。

ツバキ・ハネールナである。


茶髪、黄色の目。鋭い目。顔立ちはかなり整ってはいるのだが、冷たすぎる雰囲気でミナミよりは人気のない。

でも、一部からは指示があるらしい

スタイルは、、、乏しい


「今日は、ミナミさんが居なくて残念ね、」


「、、、特に変わらない」


いきなり話しかけてきて、しかも確信をついてくる。咄嗟にとぼけるが彼女はジト目で見ていた


「いつも、彼女の所へ依頼を持っていくから、てっきり彼女に気があるのだと思っていたわ」


「、、、そんなことはないが、、、」


彼女は話しながら、依頼の承諾作業をしている。


「どうかしらね?男なんて、彼女の外面にすぐ騙されそうだけど?、」


「、、特別な感情は無い。」


「ふ~ん。ま、まあ興味なんてないけど」


ちなみにだが、机で見えないが彼女のしっぽは左右にかなり揺れていた。

外からは見えないので、中にいる他の職員はそれを見ながらニヤニヤしている


(何か、、他の職員からみられているんだが、、ニヤニヤされて、、鼻毛とかでてるとかじゃないよな?)


承諾作業が終わると、彼女はこっちを見た。恥ずかしそうに見ている。


「終わったわ、、それじゃあ、、、い、いってらっしゃい」


「ああ、、」


特に何も気にしないで、ギルドの外に出て行く。その後ろ姿をツバキをじっと見ていた













  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る