第2話

マドウはギルドを抜け出した後、荷台に車輪のついた物を一人でもって運んでいた


(ああああーーー。収納魔法欲しいいいいいーーーー)


収納魔法は固有魔法なので、マドウは持っていない。というか普通の魔法しか彼は使えない。一応上級魔法は使えるのだが、、、


マドウはお気に召さないようで


(こんなの普通、持たないよ。荷台なんて、、収納魔法は異世界主人公の必須アイテムだろうが!)



車輪が二つ付いた荷台を一人で運んでいる。Sランク冒険者のソロがこんな事をしていたら、絵面はシュールだとマドウは感じていた

スタールの町を抜けて、近くの山奥に向かう。一人で行くので、少し寂しい気もするが気にならない


しばらく行くと、大きい2メートルはある大きい黒い鳥が何匹を気に止まっていた

ブラックイーグルだ。


このモンスターは頭が良く、群れるので手ごわい。一体なら駆け出しでも、十分行けるが群れるとなるとベテランでも難しい。

それを一人で討伐しようというのだ


(よし、、、いるな)


百程度の群れで集まっているブラックイーグルにどう対処するのかというと、、、


いきなりの上級魔法である。


「喰らえ。<エアロブラスター>」


右腕を上げ、それを左腕で抑える。本当は抑える必要などないのだが、、、、

カッコいいから何となくで彼はやっている


風の光線ともいえるものが空に向かって放たれた。今ので大体討伐で来た。

山の一部が崩れたのだが、気にしない。

残りの一部は剣で切った。剣を鞘に納めた瞬間に切れる、あれを、やりたいからだ。


ほとんどをほぼ一瞬で討伐して、さやに剣を収める。

次の瞬間残りの群れを残さず討伐した。


(ふっ、ミナミさんにこの場を見せれない事が残念でならないな、、)


もし彼女がここにいたのなら、キャバ嬢のように褒めてくれたであろう。それを想像するとにやけが止まらない


モンスターを討伐し、これで依頼終了。さあ、帰ろうとはならない。


(あえて、依頼以上の事をする。これが常識。ミナミさんもかなり驚くこと間違いなし)


こうして、彼はある程度のブラックイーグルを荷台に乗せて今度は別の場所に移動した


彼が向かっているのは、オークの巣だ。巣には基本的にリーダー的な奴がいるのでついでに狩る。そして、それを持っていけば群れは討伐されて事になる


先ほどのブラックイーグルもしっかり、主を荷台に乗せている。

ある程度歩くと、大きな洞窟が見える。大体こういうところにモンスターは巣を作る


最初は様子見の初級魔法ウォーターブレット。水を弾丸のように飛ばす魔法だ。

指をピストルのようにして、片目を閉じる。閉じる必要は本来は無いのだが、、カッコいいからだ

洞窟に向けて放つと何やら、うめき声が聞こえてきた


「うぎゃああ」


その声がしてから、少し経つとオークが続々と出てくるではないか。それぞれ木でできた、こん棒などを持ってこちらに向かってくる。


やはり、巣だったようですぐに応戦してきた。マドウは負けじと剣を抜く。

うおおおおとオークの大群がこちらに向かってくる。


次の瞬間、マドウの姿は消えたい軍の後ろにいた。そして、さやに剣を収める

そうすると、

案の定次々とオークは倒れて行く


(決まったな、、、、ミナミさんに見てほしかったこの雄姿)


その後は、主を見つけて荷台に乗せ引いて帰って行った。

何だかんだもう夕方だ。

オークの巣を見つけるのにだいぶかかってしまった


もうすぐ、街に着く。夕方と言うこともあり街はからは、夕食のいい匂いが漂っていた

モンスターの換金と、依頼達成報告の為ギルドに向かっていると


「お、マドウじゃねえか!」


一人の男が声を掛けた。がっちりした肉体に少しこわもての男、リーゼンだ。

ヘアスタイルは何故か、リーゼント。


「、、、リーゼンか、、」


「今仕事終わりか?」


「まあな」


そう言うと、リーゼンは荷台のモンスターを見た。

そして、関心の表情


「ほおー、立派なブラックイーグルとオークだな」


彼もベテラン冒険者。見ただけで主と言うことが分かったようだ


「ブラックイーグルの巣を討伐したら、偶々、、オークの巣も見つけてな、、」


白々しく嘘をつく。本当はわざわざオークの巣を見つけに言ったのだが、それを知らないリーゼンは爽快に笑った


「ついでで、モンスターの巣を討伐か!大したもんだ」


そう言ってマドウの背中を褒めるように叩いた。彼は強面でリーゼントと言う勘違いされやすい性格だが、ものすごくいい奴だ

マドウが初めてここに来たときも、彼が面倒を見てくれたのだ


ちなみに彼は。妻子持ち


「、、、これくらい、当然だ」


(こういう褒められ方も悪くない。)


心の中では褒めてもらったことが、ものすごく嬉しいのだが、それは表情には出さない。

それは、マドウ・ロッタールはクールな最強系冒険者と言うイメージが、崩れるからだ。



「おっと、そろそろ俺は、帰るぜ。家族が待ってるからな、じゃあな」


「ああ、、またな。。」


お互いに踵を返し、分かれる。リーゼンは家にマドウはギルドに向って行った



荷台にモンスターを乗せて歩くと、悪い事だけではない。討伐したモンスターを町の人に見せびらかして、驚いてもらうと言うことも出来る


「おおー流石」


「見事なもんじゃの」


「流石ね」


老若男女問わず驚いてくれる。この町の人々はいい人ばかりだ。


(よく、、毎回驚いてくれるな、、、物凄く嬉しい)


ちょくちょく驚かれながらギルドに向かった。


(でも、、収納魔法欲しいいいい)


内心忙しいマドウであった。


場所は変わって、ギルド受付のミナミの所へ来ている。


「ええええ!ブラックイーグルだけでなく、オークの巣まで!」


ミナミの驚く声がギルド内にこだました。まだ一部の冒険者は残っているので、ミナミの声が聞こえる


(はい、きましたーー!新鮮な驚きありがとうございます!その反応が聞きたくて、二つも巣を討伐したんだ。周りの冒険者も驚けそして、称えろ)



「な、なんだって?」


「たった一人で巣を?」


「二つもだと?」



それぞれが疑問系でマドウの求めてた通りの反応をしてくれる。


(その反応、グッジョブ!分かってるな最近の冒険者は!)


心の中では、祭りの様に騒いでいる。もちろん表情には出さない


「、、、たいしたことじゃない」


「いや、いや大したもんですよ!」


(あざ~す!)


ミナミは換金した、お金を机に置く。


「えーっと合計で、60万エーテルですね」


大体巣の駆除依頼は50万。そこに、主二匹の換金を加えると、かなりの額になり札束で報酬が渡される


「巣を無償で駆除してくれるなんて、、、流石です。マドウ君」


そう言いながら、ミナミはマドウの手を取り両手で包んだ。柔らかい餅にでも包まれている感じだ。

思わず反応しそうなのをぐっとこらえて、マドウは何とも思ってない感じを出す


「普通だ、、」


(ヤバい、、手が柔らかい、、なんだこれは)


そのまま、彼女はなかなか手を離さない。マドウもどうしたのかと首をかしげる


「あの、今日の夜空いてますか?」


手をつなぎながら、上目遣いで聞いてくる。控えめに言って凄くかわいい


「、、、特には無いな」


「あの、、だったら、夕食一緒にどうですか?」


まさかの食事の誘い。彼女から誘ってくるのはそう言うことなのだろか?


(これは、どうすれば、、、まあ夕食くらい、、、)


「ああ、構わないが」


「ありがとうございます!もうすぐ仕事終わるので少し、待っててもらえますか?」


花のような笑みを浮かべて、彼女は喜んだ。エルフで美人ポイントは凄く高い


「外で待って居る、、、」


そう言うと、そのままマドウは外に出て行った


「すぐ行きますね!」



一人でマドウが待って居ると、すぐに彼女は来てくれた。笑顔で手を振ってくる


「お待たせしました。」


「、、いや、大丈夫だ」


二人はそのまま、歩き出す。


「、、何処で食べるんだ?」


「私の家なんですけど、、大丈夫ですか?」


またしても上目遣い。彼女の碧眼がじっとこちらをとらえる

若い女エルフが男を家に連れ込む事は、はたして大丈夫なのだろうかと不安になってしまう


回答に少し困ってしまった、、、






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る