「父ちゃん日記(11/19−11/24)」 2015年12月24日

2015/11/19

黄疸のチェックを乗り越え、無事退院!

退院に際してハルの時よりも淡々としているのは、父親の立場に慣れているからか。ハルの時はなんだか照れくさかった気がする。

久しぶりに自宅に帰る(母ちゃんが入院している間、ハルとばあばの家に泊まっていた)。

両方の祖母が手伝いに来てくれる。本当に助かる。一方で、じっと顔を見られ、気がつかれたりするんじゃないかと、気まずい。

検査結果は一ヶ月検診の日にわかる模様。

家に帰ってきて、一緒にいる時間が増え、愛情が湧いてきた気がする。やっぱり可愛い。小さいけど、おっぱいも一生懸命飲むし。えらい。


2015/11/20

昨晩は親子4人で寝た。

子どもがベッドから落ちることと、ハルがナツを踏み潰すことを避けるため、ナツ−妻ペアと僕−ハルペアの間にベビーフェンスをつけて寝た。ナツは一度も泣かず。

むしろフェンスに頭から突っ込みネットに引っかかっていたハルの救出に何度か起きる。

昼間もほとんど泣かない。沐浴は気持ちよさそうだった。かわいいわ。本当に。小さいし。

母ちゃんといろいろ話した。

いわゆる普通の恋愛や結婚、出産はできないかもしれない。それはかわいそうだということ。でも、幸せっていうのはいろいろな形があるし、ダウン症だってきっと幸せになれるということ。

一方で、僕は今のところ、ダウン症のナツを連れて外を歩くことは辛いと思っている。だけど、きっとその時になれば頑張れると思う。と話した。


2015/11/21

やっぱり小さくて可愛い。だんだんと、本当にどっちでもいいような気がしてきた。

久しぶりにランニングしてきた。昼間に走るなんて本当に久しぶり。

帰り道の途中で、目のつり上がった美人な女性と、ブラスバンド部らしき小学生の女の子とすれ違う。

もしかして、ナツの将来の姿が見えたのかも、と思った。


2015/11/22

これまで、いろいろな困難や問題を解決したり、解決しようとしたり(、問題が大きくなる前に逃げたり)して生きてきた。

でも、ダウン症は全ての細胞の遺伝子の問題で、どんなに努力しても治る病気ではない。

解決できる問題ではない。解決不可能問題。人生で初めてぶち当たった(気がする)。というようなことを妻と話した。

でも、もっと重要なのは、問題なのかそうではないのか。

ダウン症であることは問題ではないと考えれば、解決する必要などない。

ダウン症は問題ですらない、という風に考えられれば、問題にすらならない。

禅問答みたいだけれど、そういう心持ちになれれば、幸せを手にすることができるのかもしれない。


『夢なんて叶えなくても、この世に生まれて、生きて、死んでくだけで、人生は大成功だ。』 北野武


2015/11/24

なんだか、目のつり上がり具合が、緩やかになってきたような気がする。見慣れただけなのかもしれない。

でも、そんな風な気がしてくると、やっぱりダウン症じゃないんじゃないかという期待が大きくなる。期待が大きくなると、診断結果が怖くなる。

どちらでもいいやと思っているのに、期待してしまうと辛くなる。

覚悟が足りないな。

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