お父さん

突然ですがお父さんのお話をさせて下さい。


小さいころからヤクザなのか?と思うくらいには怖くて、しかし変に優しかったお父さん。

私が小学生の時といったら周りはゲームボーイアドバンスを買ってもらえてましたが私は教育に悪い。と買ってもらえなかった為、周りの友人の話題にも私はのれませんでした。

家の障子のバリバリ破ったら最終的にはゲームボーイアドバンスを買ってもらえましたが、ゲーム機というものは一切それ以降買ってもらうという事は許されませんでした。

ですが、お父さんの持っていたPS2は使っていいとのことでグランツーリスモといった車のゲームやバーチャーファイター等をしていました。

そしてオンラインゲームに関しても、していると怒られていましたが、あまりにいう事を聞かずに私がするものなので呆れかえって何も言わなくなりました。

その影響もあってか自分でお金を稼げるようになった成人になってからは家にたくさんのゲーム機とソフトがあります。PS4に関しては別途でストレージを拡張できるHDDつけてるくらいには。



車に乗っているときは「目に緑はいいんだ!」と訳の分からない事を言い、景色を見ない走行中にもかかわらず扉を開けられ身体を蹴られ「降りろ!」と怒鳴るようなお父さん。



思春期に差し掛かった小学校後半にペットボトルの回し飲みを嫌がったら「俺が汚いとでもいうのか!」とすごく怒鳴るようなお父さん。



テレビを見ながらの夕食は勿論許されず、小学生の低学年の時にはテーブルマナーというものも学びました。怒鳴られながら食べる夕食は味がしませんでした。

ですが、そのお陰もありお肉料理、お魚料理、お寿司の本来の食べ方も小学生の時には習得もしてた為今となっては大変感謝しています。



私が中学生に入った頃は反抗期も真っ盛りだったので、しょっちゅう喧嘩してました。胸ぐらも数え切れないほど掴まれました。

手を出されてた事もあったので、喧嘩すると私はトムとジェリーのねずみのジェリーのように御手洗に逃げ込んでトイレの鍵もかける癖がありました。

父親は私が入っているトイレの扉を一目散に闇雲に蹴る為、トイレの扉には穴が三つあります。

その関連なら、寝室にも父親が壁を殴った凹みも二つありました。



夜間の外出に関しては、元気に遊んでくれていればそれでいい。と言い、特に何も言わず。

しかし、家にいる時は『いい加減寝ろ!』と基本的に怒鳴られてました。




そんな父親でしたが優しいところもあり


喧嘩すると2ヶ月は余裕で口を聞かなかったりもしました。仲直りは決まって父親からでいつも決まって私の大好きな大きなモンブランを買ってきてくれました。


私が小学校で色々あった時には、学校に乗り込んでくれました。

(今考えても私はおかしくない理由なのでモンスターペアレントってやつでは無いと思います。)


仕事の同僚の方にも私のお話をたくさんし、写真も見せていたみたいです。


私は高校生の時にボディーピアスにハマったのですがそれに関しても特に何も言いませんでした。

今でも面白いエピソードをお話すると、胸の谷間に空けるピアスの事を通称クリベッチと呼ばれているのですが、「クリベッチって場所にピアス開けたいからピアススタジオ行ってくる〜!」と父親に話すと元気で行ってらっしゃい。と父親は私に言いました。

その日の夜、「パパから聞いたよ!股間にピアス空けたの?!」とお母さんは私に聞いてきましたが、確実に違う意味で説明されました。

そして、もしも股間に空けるとしたらそれはさすがに止めようよ…と思いました。



そんな厳しいのか優しいのかよく分からない破天荒なお父さんでした。



そして、たまにお父さんが作ってくれる炒飯がすごく美味しかったです。



そんなお父さんでした。


私が高校三年生の時にそんなお父さんは亡くなりました。

七草粥の日でした。

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